保育士だけど処遇改善についてよくわからない

こんな悩みはありませんか?

保育士は、仕事は激務なのに、その対価として支払われる賃金が安いとたびたび話題になる職業ですよね。

最近は夫婦共働きが当たり前になっているのもあり、特に都市部で待機児童問題が毎年恒例のように取り上げられています。

思うように保育園を新設できない理由には、保育士不足問題があります。

日本の将来のためにも、保育園の数を増やすことが必須で、そのためには保育士も増やさなくてはなりません。

そこで、保育士の給料を上げて、保育士の母数を増やす働きが進んでいます。

それの1つが、処遇改善手当です。

この記事では、

  • 保育士の処遇改善手当とはなに?
  • 手当をもらうことで給料が増えるの?
  • その対象者と仕組みは?

という部分について見ていきたいと思います!

処遇改善という言葉が知っているけど、内容があまり分かっていない保育士や保育園の方は是非参考にしてみてください。

そもそも保育士の処遇改善手当とは?

そもそも保育士の処遇改善手当ですが、内閣府が公表している内容を見ると、

平成29年度から実施する「技能・経験に応じた処遇改善」は、新たに副主任保育士など中堅の役職を創設していただき、その職務・職責に応じた処遇改善を行うことにより、保育園等におけるキャリアアップの仕組みの構築を支援するものです。

引用:技能・経験に応じた保育士等の処遇改善について

と記載してあり、要するに保育園等では主任以外にも副主任やリーダーを設置して、給料を上げて上げて新任保育士も増やしていきましょう!という制度です。

保育士の給料は、他の業種と比べても割安だとされてきました。

激務だと言われているのに薄給では、やる気が失せますよね。

そこで誕生したのが、今回ご紹介している「処遇改善手当」なわけです。

2015年にはこれらを実行するために保育士等確保対策検討会が立ち上げられ、保育士をもっと増やすために必要なことはなにか、今後改善しなくてはいけないことはなにかが検討されました。

同検討会でまとめられた資料「保育士等における現状」内の「保育士の経験年数、採用・離職の状況(7ページ)」を見てみると、保育士全体の離職率は10.3%と発表されています。

 勤務者採用者数退職者数離職率
保育士全体320,196人48,733人32,823人10.3%
うち公営保育士116,862人11,904人8,330人7.1%
うち私営保育士203,334人36,829人24,493人12.0%

また、同資料の「保育士における現状の職場の改善希望状況(8ページ)」によると、保育士が離職や他の保育園への転職を考えている1番の理由は、給料や賞与に不満があるからと答えています。

改善してほしいこと
給与・賞与など59.0
職員数の増員40.4
事務・雑務の軽減34.9
有給休暇の取得率31.5
勤務シフト27.4

この図を見てもわかる通り、現役保育士が職場に求める改善内容は、ダントツで「給与・賞与など」ですよね。

それだけ多くの現役保育士が、現在の給料や賞与に不満を持っているということです。

厚生労働省の発表する「賃金構造基本統計調査」によると、保育士の平均年収は約342万円とされています。

全職種の平均年収が約491万円だとされているので、保育士の平均年収は約150万も低いということになりますね。

「子どもが好きだから保育士として働きたい!」と夢見る若者も多いかもしれませんが、実際にその水準で生活をしていくとなると厳しい問題も出てくるのではないでしょうか。

  • 保育士の数が少なければ、保育園の新設が難しい。
  • 保育園を新設していかなければ、都市部に多い待機児童問題が解消されない。
  • 待機児童問題が解消されなければ、今後の日本の経済の安定化も難しい。

待機児童問題の解決のためにも、保育園の数が必要で、そのためには保育士の数も必要なのです。

現役保育士の離職率を減らすため、「保育士になりたい!」という若者の夢を実現化させてあげるためにも、保育士の給料改善は急ピッチでやらなければなりません。

そういう背景があって誕生したのが「処遇改善手当」です。

保育士の処遇改善手当の具体的な内容や仕組み

2013年より、保育士には処遇改善手当が支払われていますが、実際にどのようなものなのでしょうか。

処遇改善手当には

  • 処遇改善等加算Ⅰ
  • 処遇改善等加算Ⅱ

これらの2パターンがあります。

それぞれの違いがこちらです。

処遇改善等加算Ⅰは経験年数で給料が上がるシステム

「処遇改善等加算Ⅰ」は勤務年数で給料が上がるシステムで、手当をもらえる人は、内閣府で以下のように決められています。

➀基礎分
職員1人当たり平均経験年数に応じて加算率を設定(2~12%)。
※ ①の加算額については、適切に昇給等に充てること。当該施設内のみ充当可。
➁賃金改善要件分
賃金改善計画・実績報告が必要。
「基準年度の賃金水準を適用した場合の賃金総額」及び「人件費の改定状況を踏まえた部分」に対し、賃金改善を行うことが要件(5%。平均勤続年数11年以上の施設は6%)。
※ ②の加算額については、確実に職員の賃金改善に充てること。法人内の他の施設への充当も可。
➂キャリアパス要件分(②の内数)
役職や職務内容等に応じた勤務条件・賃金体系の設定、資質向上の具体的な計画策定及び計画に沿った研修の実施又は研修機会の確保、職員への周知等が要件(満たさない場合、②から2%減)。

出典:平成 30 年度 子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料/内閣府

このように処遇改善等加算Ⅰは、「基礎分」「賃金改善要件分」「キャリアパス要件分」の3つの要件で成り立っています。

10年以上働いた人には、最大で18%の賃金が上乗せ。

たとえば、勤続年数11年で月収が20万円の保育士の場合、最大で36,000円も給料が上乗せされるということになります。

保育士は体勝負の仕事なので、経験年数を積めば積むほど、体力面で大変になることは言うまでもありません。

ですが、働いた年数によって賃金が上乗せされるのであれば、10年以上働こうという希望も持てますよね。

処遇改善等加算Ⅰの注意点

ただ、1つ注意点としては「それはとても良いシステム!」と思った方も多いかと思いますが、実はいくら自身が10年以上保育士として勤務をしていても、この加算分がすべて給料に反映するというわけではありません

簡単に説明すると「勤務している保育園に在籍している保育士の勤続年数を合算して、そこから対象となる職員数で平均を出した額が、国から保育園に入るという仕組み」になっています。

ですので、自分が10年以上勤務したからといって、周りの保育士の勤務年数が低いと、もらえる額も減ってしまい、

逆を言えば、保育士の勤続年数が長い保育園(離職率の低い保育園)に就職が出来れば、いずれは高い水準の給料がもらえる可能性がある制度だとおぼえておきましょう。

メモ新規で始める新しい保育園などは特に要注意です。

処遇改善等加算Ⅱは役職に就くと給料が上がるシステム

処遇改善等加算Ⅱをもらえる人については、内閣府でこのように決められています。

☑副主任保育士
☑専門リーダー(月額4万円の処遇改善)
☑職務分野別リーダー
☑若手リーダー(月額5千円の処遇 改善)
等を設けることにより、キャリアパスの仕組みを構築し、保育士等の処遇改善に取り組む施設・事業所に対して、 キャリアアップによる処遇改善に要する費用に係る公定価格上の加算を創設する。

出典:平成 30 年度 子ども・子育て支援新制度 市町村向けセミナー資料/内閣府

このように処遇改善等加算Ⅱは、リーダー的職務に当たっている保育士に対し、給料を上乗せするというものです。

他業種でも、平社員よりも役職がある社員のほうが、給料が高いですよね。

それと同じことを保育士の給料にも設け、それ相応の対価を支払おうとするものです。

ですが、処遇改善等加算Ⅱには人数制限が設けられて、

  • 副主任保育士・専門リーダーは保育園全体の3分の1の人数
  • 職務分野別リーダーは、育園全体の5分の1

と決められています。

たとえば、20名の保育士が在籍している保育園の場合は、副主任保育士・専門リーダーは約6名、職務分野別リーダーは4名という縛り。

ですので、役職に就いている先輩が退職や後輩に立場を譲る等の行為をしてくれない限り、若い保育士が処遇改善等加算Ⅱを貰うということは、なかなか厳しいと考えておくといいかもしれません。

支払いは「国から園へ入ったものが個人に還元される」

保育士は一定の基準を満たしていれば処遇改善手当を給料としてもらえるのですが、処遇改善手当の元々の財源は国です。

国が個人に給料として手当を支給するのは無理なので、先ほどご説明した条件を元に、保育園が国に処遇改善手当を保育士に支給するにあたっての書類を提出します。

その書類を元して、国から保育園に処遇改善手当分の金額が振り込まれるという仕組みです。

実は、この制度はここが問題視されているのです。

というのも、経営が苦しい保育園は、国から入ってきた処遇改善手当を保育士に支払わず、園の固定費などに充ててしまっているという事実があるからです。

保育士の給料を上げるために開設された処遇改善手当なのですが、園を存続させるために使用されてしまっていては、元の意味が失われてしまいますよね。

そこで、独自に処遇改善手当の行き先を調査している自治体もあるようです。

これから保育士として就職や転職をお考えの方は、面接の際に処遇改善手当の行き先についてしっかり聞いてみるようにしましょう。

保育士の処遇改善手当をもらえる人・もらえない人

継続年数やリーダーになれば、給料がアップする制度の処遇改善ですが、保育士の処遇改善手当は、保育士として一定の基準を満たせば、すべての人がもらえるものなのか。

これって気になるところですよね。

特にこの2つ

  • 非正規雇用の場合
  • 産休・育休中の場合

これらの場合は特に気になるところだと思います。

そこで、ここから処遇改善をもらえる人ともらえない人について少し紹介しておきます。

非正規雇用の場合は「もらえる」

保育園には、正規で働く保育士の他に、多くの非正規職員も存在しています。

非正規雇用の場合、多くの企業で正規社員よりも待遇は低いです。

ですが、保育士の処遇改善手当については、非正規雇用の保育士も対象となっているので、一定の基準(勤務年数や役職の有無)などを満たしていれば、手当をもらうことができます。

また、保育園で働いているのは、保育士だけではありません。

毎日の給食を作ってくれている栄養士や調理員、スクールバスの運転手もいますよね。

処遇改善手当は、保育園で働いているスタッフ全員が対象です。

ただし、例外は、園長と主任保育士です。

それ以外の保育園で働いているスタッフは、一定の基準を満たしていれば、処遇改善手当をもらえる仕組みになっています。

産休中および育休中の場合は「もらえない」

産休中および育休中は、国から「産休手当」「育休手当」が助成金として支払われます。

産休手当と育休手当は、産休取得以前の給料を元に国が支払うものです。

保育園が「給料」として支払うものではありません。

そのため、産休中および育休中には、処遇改善手当は対象外なるので注意しましょう。

まとめると以下のようになるので参考にしてみてください。

処遇改善手当
もらえる人正社員
非正規社員
もらえない人園長
主任
産休、育休中の方

保育士の処遇改善手当の成果。施行して給料は増えた?

今年で約7年が経過している、保育士の処遇改善手当。

2013年に施行開始されましたが、手当が出たことで、保育士の給料がどう変わったのかをある程度、把握すること大切なことです。

2020年現在、どれだけの成果が出ているのかまとめてみました。

保育士の給料の5年間の推移

こちらがここ5年間の保育士の給料の推移です。

 増加率増加した金額
平成25年3%9,000円/月
平成26年5%15,000円/月
平成27年7%21,000円/月
平成28年8%26,000円/月
平成29年10%32,000円/月

引用元:「保育分野の現状と取り組みについて 保育士の処遇改善推移

これを見ると施行開始以降、毎年少しずつではありますが、保育士の給料が上がっていることが分かります。

年収で見ると、このようになります。

 保育士の年収
平成25年310万円
平成26年317万円
平成27年323万円
平成28年327万円
平成29年342万円

引用元:「保育分野の現状と取り組みについて 保育士の処遇改善推移

5年で約30万も年収が上がっていることが分かりますよね。

ただ、冒頭でお話しした通り、全職種の平均年収は約491万円です。

保育士の処遇改善手当の施行により、保育士の給料はたしかに上がっています。

ですが、他の職種と比べると、まだまだ保育士の給料は高いとは言えなく地域差があるのも現状です。

地域差がまだまだ激しいのが現状

ただ、実際には地域差があるのも事実です。

東京をはじめとする首都圏や地方都市などでは、保育園不足による待機児童の多さが、毎年問題視されています。

待機児童を無くすため、これらの都市では保育園が次々建ち、保育士は勤務したい保育園を選びたい放題といっても過言ではないでしょう。

そういう状況なので、特に東京23区内では、保育士の待遇を手厚く設定している園が多く、1人でも多くの保育士を確保しようと必死です。

それなので、国から入る処遇改善手当も、比較的多く保育士に還元していることも分かっています。

ですが、地方と呼ばれている場所ではそもそも待機児童数が多くはないですし、保育園の数も少ないです。

有能な保育士を別の園に取られるというリスクを抱えていないですし、そもそも経営難な保育園も多いので、処遇改善手当の十分な額を保育士に支払っていないケースもあるというのです。

もちろん、地方に行けば行くだけ、生活費なども安く済みます。

そのため。、給料も東京に比べれば低くても済むかもしれません。

ですが、保育士は他人の子どもを預かる責任ある仕事ですので、その分の対価はきちんと支払ってもらいたいですよね。

まとめ:保育士の処遇改善手当は概要だけでも知っておこう

保育士の処遇改善手当は、低賃金だといわれていた保育士の給料を上げるための措置です。

しかし、保育士に直接給料として反映されるものではないので、園の資金面次第で、多くも少なくもなるものです。

就職活動中に、その保育園の資金面を正確に判断するのは難しいものがありますよね。

誰だって、良い待遇をしてくれる保育園に就職したいはずです。

2020年現在、東京都や神奈川県、沖縄県などでは、処遇改善制度がしっかり保育士に反映されているかを調査しているといいます。

処遇改善手当は、保育士がもらうべきお金です。ぜひ、良い待遇をしてくれる保育園を探して、長く働きたいものですよね。