保育士として数年間働くと、誰もが中堅保育士という立場になります。

仕事に慣れてきたこともあって、保育士という仕事にやりがいを感じている時期ではありますが、一方で抱えている悩みは深刻なものも…。

実際に中堅保育士になったけど、これからどのようにしていけばいいのか悩んでいる方も少なくありません。

そこでここでは、中堅保育士とはどのような人のことをいうのかという初歩的な部分から、中堅保育士の仕事内容や抱えている悩みをご紹介していきます

悩みを抱えているのは自分ひとりじゃないと知れば、もう少し頑張ってみようかな?という気持ちになりますよね。

日本全国の中堅保育士が抱えている問題を知り、ぜひ、みんなに頼りにされる保育士を目指していきましょう!

そもそも新人保育士と中堅保育士の違いはなに?

どのような企業にも、新人と中堅、ベテランな人間が存在していると思いますが、保育士にとっての新人と中堅は、立場的にどのような違いがあるのでしょうか。

まずは新人保育士と中堅保育士の違いを解説しますね。

新人保育士は3年目くらいまで

新人保育士とは、3年目くらいまでの保育士の総称です。

新人保育士は、保育士という夢を叶えたばかりの初々しい保育士ばかりですので、保護者も一緒に働く仲間も、大きな心で見守ってあげてほしい時期でもあります。

新人保育士は早くひとり立ちできるよう、受け身ではなく積極的に先輩から仕事を教わるようにしましょう。

中堅保育士は主に4年目~8年目くらい

中堅保育士は、4年目~8年目くらいまでの保育士の総称です。

保育士として働き始めて4年もすれば、ある程度仕事に慣れ、自分の理想とする保育が実現できている時期です。

保護者との関わりにも慣れたと思うので、保護者からの信頼も厚く、毎日やりがいを感じて仕事に望めているのではないでしょうか。

ただ、ベテラン保育士かと聞かれれば、まだまだだと思います。

中堅保育士とは、新人保育士とベテラン保育士のちょうど中間に値する立場だということです。

中堅保育士の主な仕事内容

保育士になって4年目~8年目くらい、いわゆる中堅保育士の主な仕事は、

  • 新人保育士の教育
  • 学年主任などの統括業務
  • ベテラン保育士と新人保育士のパイプ役

これらの3つの仕事です。

それぞれ、具体的にどのような仕事内容なのか紹介していきますね!

新人保育士の教育

中堅保育士は、毎年入ってくる新人保育士の教育係に任命されます。

もちろん、クラス担任を任されながらの新人教育なので、体力面や精神面で辛いと感じることもあるでしょう。

ですが、あなたもかつては新人保育士で、先輩保育士の手をわずらわせた経験があると思います。

「自分も通った道だ!」と割り切って、楽しく、時には厳しく、新人教育をしていきましょう。

学年主任などの統括業務

中堅保育士になると、受け持っている学年の主任を任されるケースも。

そうなると、自分のクラスだけをまとめていれば良いわけではなく、他のクラスの面倒も見なくてはなりません。

さらに、同じ学年の後輩保育士の面倒も見なくてはならず、時間に追われる日々を過ごすことになります。

他のクラスのイベントごとの進捗状況(たとえば、お誕生日会の準備は間に合いそうかなど)も気にかけていかなければならないので、脳をフル回転させながら仕事をする必要があります。

ベテラン保育士と新人保育士のパイプ役

ベテラン保育士と新人保育士の間には、見えない壁があることでしょう。

その壁を取っ払うのも、中堅保育士の務めです。

逆をいえば、中堅保育士であるあなたが、いかにベテランと新人との距離感を掴めるかによって、保育園全体の雰囲気が良くなるか悪くなるかが決まるといっても過言ではありません

ベテラン保育士が言わんとしていることを、やんわりと新人保育士に伝えるなど、両者の機嫌を損ねないようしっかりフォローしていく大変気を遣う仕事です。

中堅保育士が抱えている代表的な5つの悩み

中堅保育士の代表的な仕事内容を見てもらうと、相当ストレスが溜まりそうだなということがお分かりいただけるかと思います。

現実、多くの中堅保育士は、日々多くの悩みを抱えながら仕事をしていて、その代表的な悩みは

  • 上司と部下の間で板挟みになっている
  • 新人の教育指導が負担
  • 周囲からの期待の眼差しが怖い
  • 退職する時期を見失ってしまった
  • 保護者との関係性が辛い

これら5つです。

上の立場の人間と新人の間で板挟みにされる

先ほど、中堅保育士はベテランと新人のパイプ役だとお伝えしましたが、これが多くの中堅保育士の悩みの種となっています。

というのも、ベテランは自分が新人だったときのことは棚に上げて、何もできない新人にイライラしてしまいがちです。

一方の新人は、やることなすことすべてが分からない状態なので、自分たちより上の人間の指示を待つことになります。

「なんでもっと自ら率先して行動できないの?」と思うベテランと、「なんで先輩は、次の行動の指示を出してくれないの?」と思っている新人。

ベテラン保育士の年齢が上がるにつれ、両者の溝は広がるばかりではないでしょうか。

思ったことを口にしてしまうベテラン保育士がいれば、新人保育士のフォローに回らなくてはなりませんし、新人保育士に「もっと率先して仕事を覚えていこう!」と教えていく必要もあります。

ただ、昨今はパワハラという言葉があり、それがたびたび問題視されているだけに、「これを言ったらパワハラに当たる?」などと深く考えてしまうことも。

パワハラに怯えて、どちらのフォローもできなくなってしまう可能性もあります。

自分の仕事を抱えながら、上の人間と下の人間の顔色を伺いながら仕事をしなくてはならないのです。

考えただけで、ストレスが溜まっていきそうですよね。

新人の教育指導が負担になる

自分にも新人時代はあったので、あまり大きな声で文句は言えないのですが、新人教育が中堅保育士の負担になっていることも事実です。

保育士の仕事に慣れてきた自分がやってしまえば一瞬で済むことを、新人保育士の勉強のため指導し、間違いがないようフォローもしなくてはならず、非常に効率が悪いのが分かりますよね。

ただでさえ時間に追われている保育士。

効率が悪いことは極力避けていきたいと思っている保育士が多いと思いますが、そうも言っていられないのが新人教育です。

さらに、新人が同じクラスにいて、自分のやることなすことすべてを見られている場合、常に誰かに見られているという圧迫感を抱くことも。

新人が育たなければ保育園が成り立っていかないので、新人教育は重要だということは分かってはいるのですが、たまには自分ひとりで自分だけの保育をしたり、自分だけの時間を過ごしたいと思うのも無理はありません。

周囲からの期待の眼差しがある

中堅保育士も7年目~8年目頃になってくると、周囲からの期待の眼差しが熱くなります。

というのも、実は保育士は5年離職率が高い職業でもあります。

その中で7年~8年も働いてくれている保育士に、今後の期待をしてしまうのも無理はないでしょう。

将来的に就ける役職(主任保育士など)になったとき、〇〇さんはどういう仕事をしてくれるのかしらね~と投げかけられるケースもあります。

退職する時期を見失った

たとえば22歳から保育士として働いている場合、中堅保育士になるころには26歳~30歳ですよね。

周りの友人は次々に結婚し、子どもを育てている人もいるのではないでしょうか。

ですが、中堅保育士になったことで周囲から期待されてしまい

  • 結婚したけれどなかなか辞められない
  • 妊娠を機に退職したいけれど、復帰してねと言われた
  • 時短でも良いから退職はしないでと言われた

というケースもあります。

保育士は特に体力勝負の仕事でもあるので、30代に突入すると体力的にキツイと感じ、「そろそろ退職をしようかな」と退職が頭をよぎる保育士が多いのも事実です。

園としては、担任やある程度の仕事を任せられる中堅保育士に辞めてもらっては困るので、退職の意向を示しても、二つ返事してくれるケースは稀でしょう。

その場合は、どうしても退職せざるを得ない状況を捏造してしまうのも、ひとつの手です。

たとえば、

  • 主人が転勤になったから退職せざるを得ない
  • 妊娠して体調が優れなく退職したい
  • 高齢になった両親の面倒を見なくてはならない

などです。

嘘も方便ということわざがありますが、あまり罪悪感を抱くことのない嘘を見付け、その嘘を貫き通しましょう

保護者との関係性が辛い

保育士は、保護者との関わりは必須です。

しかも、0歳のときから保育園に通っている子どもは、最大で6年間も通い続けることになります。

もちろん、その子どもの親とも6年間お付き合いが続くわけで、一度その保護者に嫌われてしまうと、信頼を取り戻すのがなかなか難しいということも。

特に保育士が悪いことをしたわけではないのですが、自分の子どもが怪我をして帰ってきたなどがあると、担当した保育士をついつい悪く思ってしまうこともあります。

昨今モンスターペアレンツという言葉がある通り、少しのことでも文句を言ってくる親御さんは多くいます。

新人の時にも理不尽な文句を言われることもあるかもしれませんが、中堅保育士になると、「なんでこんなこともできないの?」と改めて文句を言われてしまうケースもあります。

中堅保育士が目指す今後の4つの課題や目標

中堅保育士は、さまざまな悩みを抱えながら仕事をしていることがわかりました。

最後に、中堅保育士の今後の主な課題や目標である

  • 新人保育士に即戦力になってもらえるよう指導する
  • 立場の異なる人間同士の架橋になる
  • 園全体を見回して改善箇所を見つける
  • 園全体の良い面をもっと伸ばせる努力をする

これらについて具体的に紹介していきますね!

新人保育士に即戦力になってもらえるよう指導する

中堅保育士の仕事を少しでも軽くするには、新人保育士に早く仕事を覚えてもらい、即戦力として働いてもらうことが必要不可欠です。

覚えてもらいたい仕事を無理に詰め込むのは逆効果ですが、新人保育士のやる気がある場合は、積極的に仕事を任せてひとり立ちをサポートしていきましょう。

そのためには、ある一定期間、自分の仕事が増えることは覚悟しなくてはなりません。

時には、思い通りに事が進まなくイライラしてしまうこともあるでしょう。

ですが、自分も新人時代があったことを思い出し、「自分もこうやって先輩をてこずらせていたのね」と、温かい目で見守ることも大事です。

立場の異なる人間同士の架橋になる

中堅保育士は、上司と部下の間で板挟みになります。

しかし、「板挟み」ではなく「架橋」とプラスの方向に捉え、前向きに仕事をしてみるようにしましょう。

上の人間と新人は、生きてきた環境・育ってきた環境が違うので、価値観がズレてしまうのは致し方ありません。

そこをうまくフォローし、両者が働きやすい環境を作ってあげるようにしましょう。

さらに、上の人間を反面教師にし、自分がベテラン保育士になったときにはあのような態度はとらないぞ!など、決意を固めるのも良いかもしれません。

園全体を見回して改善箇所を見つける

中堅保育士になると仕事に余裕が出てくるので、園全体のメリットとデメリットを見つけることができるようになります。

今までは特に何も感じていなかった不備箇所や改善箇所も、目に付くことになるでしょう。

たとえば、

  • 行事の際のスケジュールを、もっと簡素化したほうが良い
  • 普段の送り迎え時の約束事をしっかり取り決めたほうが良い
  • 一時保育の申し込みの方法を改善したほうが良い

など、きっと多くの改善箇所を見つけられるはずです。

すべてが改善できる可能性は低いですが、園長や上司に打診してみても良いのではないでしょうか。

改善箇所を上の人間に伝える際は、どうやったら更に良くなるのかの具体例をしっかり提示できるよう、準備をしておきましょうね。

園全体の良い面をもっと伸ばせる努力をする

勤務している保育園には、良いところもあると思います。

たとえば、

  • 園児が誰に対してもしっかり挨拶できる
  • 保護者との連携が取れている
  • お外遊びの際の危険を最小限にするための対策が取られている

などです。

「ここはこの保育園の強みだな」と感じる部分は、年度が変わっても引き継いでもらえるよう、新人教育に取り入れていきましょう。

悩みが多い中堅保育士。でもやりがいを見つけて頑張ろう!

ある程度仕事に慣れてきたことで、さまざまな仕事を任されがちな中堅保育士。

やりがいはあるのですが、体力的・精神的にキツイと感じてしまうことも出てくるでしょう。

ですが、保育園で働いているのはあなただけではありません。

辛いときには先輩にフォローを求めるなどして、少し休んでみるのもひとつの手です。

決して無理をせず、やりがいを見つけて頑張ってください!