正社員とその他、すなわち、派遣社員・パート・非常勤職員・アルバイトの違いと言えば、だれでもある程度、思い浮かべるイメージがあるでしょう。

一般には、責任の持たされ方が違うとか、ボーナスが支給されるか否か、社会保険に加入するか否かなどです。

正社員は、安定していて社会的評価も高いのですが、あえて、それ以外の選択をする人も増えてきていると言います。

今回は、正社員と派遣社員の比較において、雇用形態の違いを知り、自分らしい働き方を選択するための参考にしてみてください。

保育士と派遣

保育士は、保育の専門職ということで、資格があれば、正規でもそれ以外でも、子どもをみるという立場で対等という見方ができます。

ここでは、保育士という職業ならではの違いについても、見ていきましょう。

近年、派遣に登録をして働く保育士が増えてきています。

その水準は、他の業種に比べ伸びています。

派遣雇用は、直接雇用ではなく、派遣会社と保育士が契約を結び、保育所などへ派遣されるので、これまでの雇用形態とは違った働き方になります。

派遣社員で働くメリット

派遣のメリットとして、まず、自分が希望する条件にあった環境を選んで働けるということがあります。

希望条件にあった求人を紹介してもらい、面接の調整や給与条件の交渉においても、派遣会社が間に入ってくれるのでやりやすいでしょう。

就職の際は、1人で転職活動をするときのような孤独感もなく、アドバイザーがついているような感じかもしれません。

また実際就業した後も困ったことがあれば、直接保育所に意見するのではなく派遣会社を通して相談し、派遣会社が一緒に考え、問題を解決してくれます。

どうしても解決できず退職することになっても、派遣会社がまた別の仕事を紹介してくれます。

派遣社員の働き方は、ほとんどが時給制です。

しかし、その時給はアルバイトよりも高い場合が多く、希望通りの条件で働きたい人にとっては便利な働き方です。

派遣社員で働くデメリット

ただ、賞与が期待できるところは少ないです。

出勤した分だけの給料になります。

また、契約期間のみの派遣である場合も多く、必ずしも安定した働き方とはいえません

保障も正規職員に比べ、十分ではありません。

また、正規雇用に比べ、責任の任される度合いは低く、業務に制限のある場合もあります。

期間の定めがあり、比較的、短期間になりやすいので、職場内での人間関係が築きにくいことなどがデメリットと言えます。

早朝、遅番のみなのか、常勤・非常勤の別があっても、シフトに組み込まれるかなど、子どもに対して、どういう立ち位置にいるか、園によって、待遇は異なります。

定時にこだわるのであれば、完全シフト制の複数担任の保育園などがよいでしょう。

時間交代制の園の方が残業は少ないように思います。

けれども、これも園の風習によるところがあって、定時にあがれても、連絡帳や製作物、保育カリキュラムの作成などに時間外手当は付けられない、もしくは、自宅に持ち帰ってやらなくてはならないといったことがあるようです。

相手が園児であっても、人の前に立つ仕事は日々勉強です。

どんな仕事にも緊張やストレスはつきものです。

職場の人間関係も連携が重視されるので細やかな気配りも大切になってくるでしょう。

でも、孤立しがちであっても、そこにやりがいを見いだせれば大丈夫です。

辛くなったら、うまくストレスを解消しましょう。

そして、子どもと遊んで、子どもの笑顔からエネルギーを充電してもらえばよいのです

派遣保育士になるためには

派遣社員で自分に合った働き方をしようとする場合は、まず派遣会社のスタッフ登録をする必要があります。

その際に、勤務時間帯や業務内容、時給、保育方針など自分の希望を登録しておけば、その条件に近い保育士求人を紹介してもらい応募することができます。

また、派遣会社に登録した際に是非利用したいシステムが非公開求人です。

派遣社員には、アルバイトより高いスキルが求められることが多く、非公開の求人があります。

そういった情報は登録した人にしか開示がされず、登録をしないと求人の存在すら知ることができません。

したがって、派遣という働き方を選びたければ、まずは派遣会社に登録をすることからはじめましょう。

なぜ、派遣社員を選択する保育士が多いのか

本来であれば、正社員を目指す人が多いはずなのに、保育士では派遣社員も少なくありません。

その理由を少し紹介していきます。

古い体質による足かせ

大企業で働いたことのある人にとって、幼稚園・保育園で働く場合の職場環境はまったく異なります。

強いて言えば、規模の小さい零細企業のようなものです。

特に私立の保育園などの場合、家族経営に近いところがあります。

つまり、園長とか、理事長とか、その組織のトップのいうことが、全世界の常識になってしまうようなところがあります。

良い保育をしている保育園もたくさんある一方で、労働条件や、雇用条件、倫理的、精神面で社会常識からずれるような園もあるようです。

高熱があっても、シフトに組まれていたら保育士は必ず一度は出勤しなくてはならないとか・・・、看護士が「この園の常識は一般常識と違う」と密かにつぶやくような園があることも事実です。

正社員になるということは、そこの保育園の風土に染まることです。

我慢大会を強いるような保育園で、修行と思い頑張り続けることも1つの選択です。

けれども、視野を広く持って、他の幼児教育施設などを見学してみると、まったく違う運営をしていることがあります。

一旦、辞めて、より働きやすい環境を探すという選択肢があってもよいと思います。

残念ながら、あまりよいとは言えない日本的雇用システムの悪習は、保育園にも生きていて、サービス残業や、我慢をするのが当たり前の雰囲気がまだまだあります。

そういうところでは、従わないと、職場の輪の中に入れなくなります。

でも無理をし過ぎて、体を壊し、子どもたちの前で、笑顔でいられなくなっては元も子もありません。

中に入ってみないと実際には、わからない雰囲気というものがあります。

気楽に就職し、ダメだったら辞めればいい。

そんな理由で、パートや派遣社員を選択する人が増えているのかもしれません。

紹介予定派遣があるから

保育士として働く場合に、託児所・無認可園・企業型・病院内・英才教育特化型等、幼保連携型など、選択肢はいろいろあります。

公立保育園は、雇用条件が安定していて、私立に比べ、定年まで勤める方が多いようです。

正規職員として就職したものの、疲れ果てて、数年勤めて退職し、臨時職員やパートに移行する人もいます。

パート勤務のような派遣であれば、自分のペースで無理の無いところから仕事に復帰することができます

もし万が一、職場が合わなかったとしても、さっさと見切りをつけて辞めることも、職員よりは簡単です。

すぐに、次の職場に移りたければ、それも探しやすいでしょう。

健康が1番大切ですし、健康に笑顔で楽しく働ける職場や、人間環境のよい職場が見つかるまで探してもよいと思います。

また、今は、紹介予定派遣といって、正規採用前に派遣という身分で勤務して、仕事の内容が自分に合うかどうか確かめてから、就職することができます。

自分の職場への適性を確認するため

派遣社員はいろいろな場所での保育士の仕事を試してみたいという方にもおすすめです。

一般的にいう保育所のみならず、企業内保育所や認可外保育所、福祉施設でも保育士は、求められています。

0.1、2歳児までの、小規模保育園などには、とてものんびりとした家庭的なところもあります。

保育園といってもいろいろな職場があります。

一般的な保育所での仕事とは異なる、そうしいた環境に、自分が適しているかどうかわからない場合も、派遣社員として有期雇用で働き、経験を積むことができます。

その上で、その職場が自分にあっているかどうかの判断ができます。

保育士業界での非正規社員の割合は半数近くにのぼります。

保育士不足の中で、職場の都合に自分の都合をマッチさせた、派遣社員という働き方も選択肢にいれることができれば、転職活動の幅は大きく広がります。

保育士として働きたいが、時間が限られているといった人にも、おすすめの働き方です。

まとめ

保育士として就業する以上、正職員が一緒にいようと、自分がパートまたは、派遣社員であろうとも、子どもの命を預かっている立場であるのは変わりがありません

正規雇用でない場合に、不安になるケースは、任されようとしている仕事に具体的な予測と対応ができていないことです。

子どもの受け入れに対する不安であれば、早朝登園する子はたいてい決まっていますから、事前に気を付ける点を聞いておきます。

そして、きちんと迎え入れる、安全な環境設定にする、聞いた話はメモする、判断しづらい内容は保留にして、主任などに相談する。

これ以上でもこれ以下でもありません。

あとは、保育士であっても、社会人に共通して問われる問題解決能力の問題になってきます。

自力で解決できないと判断したら、辞めて今回の経験を次回に活かせればよいでしょう。

失敗は成功のもと、という格言があります。

失敗しても、辛い思いを経験しても、それを乗り越えることができれば、保育士として、次のステージへと、一段と成長していることでしょう。

同じような状況に遭遇したとしても、同じ失敗を繰り返すこともなくなります。

配偶者の扶養の範囲内で働きたいといった事情もあるでしょう。

子どもの成長をサポートすることへのやりがいなど、お金以外のところに価値を見いだせないと、苦しくなるかもしれません。

結局のところ、どんな雇用形態でも覚悟と納得をしていれば、乗り越えられるものです。

正社員か派遣がいい悩んでいる人は、参考にしてみてください。