子どもは、日頃色々な壁にぶつかります。大人のように考えて行動することよりも、その時思った気持ちのまま行動します。
そのことにより、色々な発見をし、学ぶことが出来ます。大人にとってみたら、その行動がいけないと判断されてしまうかもしれませんが、子どもにとっては新たな発見でもあるのです。
だからといって野放しするのもいけません。子どもに経験をさせながらも、世の中にはやっていい事と悪い事があることを大人が伝えていかなくてはなりません。
その際、伝え方にもポイントがあるので、そのポイントをおさえて子どもがより良い方向に進んでいけるよう促してもらえたらと思います。
ここでは、そんな子どもを賢く育て叱るコツを紹介していきます。
まずは理由を聞く
保育園や幼稚園は集団という場ということで、色々な考えを持つ子どもが沢山います。
そんな様々な子どもたちがいる中で、唯一共通していることは、子どもの行動には必ず意味があるということです。
どんなに悪いことをしても、まず怒る前に理由を聞きましょう。
絶対にしてはいけないことは、状況がわからないまま子どもを叱ってはいけないということです。
例えば、小さい子が泣いていて、わんぱくな子が隣にいた場合、反射的にわんぱくな子に目が向いてしまいませんか?
前後関係が分からないまま、怒鳴りつけてはいませんか?
大人が感情的になってしまうと、理由を話そうとしても言えなくなってしまいます。
また繰り返し感情的に怒ってしまうと、それがトラウマになり、怒られたくないが故に嘘をつくようになります。
またその嘘を見抜けずにいると、嘘を重ねていきます。
そうならないようにするということを含め、大人から見て感情的になってしまうような出来事でも、ぐっと堪えて、まずは理由を聞いてあげる事を優先してあげて下さい。
また理由を聞く際に、子どもの口から説明できるように促してください。なぜかというと、誘導尋問になってしまうと本当の気持ちが聞けなくなってしまうからです。
子どもの口から、どういう理由で、どうしてその行動に至ったのかという内容を話せるような環境作りが必要です。
子どものペースもあるので、この時には「待つ」ということが大切です。大人が話していいのは、その後です。
まずは、子どもが話すペースに合わせ、話し始めるまで待ってあげましょう。
子どもの存在や人格を否定しない
子どもにとって、一つひとつの言葉に大きな影響を与えます。
つい叱ってしまうと、子どもにその重みを知ってほしいという理由で、つい言いすぎてしまうことありませんか?
「何をやっても駄目だね」
「どうしていつも悪い子なの?」
等、こういう言葉を投げつけられた子どもは、一体どういう気持ちになるでしょうか?
自分に置き換えて考えてみると、きっと大きく深く傷つくはずです。
また子どもは誉められたことと同様に、怒られたこともよく覚えています。幼稚園で怒られたことを、家に帰って家の人に伝えることも多いと思います。
それを聞いた家の人は、子どもが言っている言葉を信じ、先生が子どもに対する言葉の使い方、伝え方に不満を持ってしまいます。そうなると保護者とのトラブルになる原因に繋がります。
そうならないようにする為にも叱る時は理由を聞き、人格を否定せずに、大人から見ていけなかった行為や言動を"部分的に"叱るようにしましょう。
部分的に叱る
例えば、
「友だちのおもちゃ取っちゃだめだよ。自分がされたら嫌だよね?」
「ここは静かにする所だから騒いではいけないよ。」
など、子どもが理解できるよう促していくことが大切です。
また幼稚園で子どもに注意することがあったら、必ず保護者に先生から話をするようにしてください。
内容によって伝えなくてもいいものもありますが、話を聞くだけで保護者は安心する所もありますし、先生の話を聞いて家の人から話をしてみることも出来るかと思います。
その際にも、どのような状況だったのか、どのようにして声を掛け解決していったのか、詳しく伝えるようにしましょう。
そうすることで保護者との関係も悪くならないで済むはずです。
叱っている理由を説明する
子どもの話を聞き、受け止めてあげることが出来た後は、子どもに理解ができるように、
- なぜいけないのか?
- なぜ注意をしているのか?
などの理由を説明して下さい。
その理由がなく感情的になってしまうと、子どもは反射的に泣き出して「ごめんなさい」と、理由も分からず言ってしまう事が多いです。
そうならないように、子どもの目線の高さに合わせて、目を見て、しっかりと理由を説明していくようにしましょう。
簡潔に分かりやすく伝える事
ただし子どもは、理由を説明してもなんで怒られているのかぼんやりとしか分かっていない…なんてこともよくあります。
これでは同じことで何度も叱ることになり子どもが可哀想ですし、怒る方もかなりの体力を使うので、互いに嫌な思いをしてしまう場合もあります。
また、理由が明確ではなかったり感情的になってしまう場合、子どもはなぜ自分が怒られているのかが曖昧だと、不満やストレスなど負の感情ばかりが溜まってしまいます。
なので子どもに話す際は、簡潔に分かりやすく伝える事がコツです。
長々話してしまうと大人でもそうですが、話に飽きてしまいますよね?
だからこそ、伝える際は、子どもに伝える前にどのように話せばいいか考えてから話をしてみることをお勧めします。
そうすると、自然と話す方も冷静になり、子どもにとって一番伝わりやすい言葉が見つかるようになります。
叱る時の環境構成を考える
保育園や幼稚園では一人ひとりクラスがありその集団の中で過ごしています。
集団で過ごす経験が少ない子どもたちは、保育園や幼稚園という場で経験をしていき成長していきます。
その為、クラスの皆で気を付けるべきこと、保育園や幼稚園で過ごすルール等、クラス皆で守れるように全体に話すこともあるでしょう。
しかし比率的に、どちらかというと全体というよりは、まだ個々に注意をすることが圧倒的に多いかと思います。
その際に、他の子どもがいる前で叱っていい内容なのか、個々で向き合って話す内容なのか、先生の判断が大きなカギとなっています
子どもが話しやすい環境を作ることが大切
基本的にはその子のことを考え、個々で話すことをお勧めします。
やはりどんな内容でも叱られるということを周りの子どもに見られるのは、恥ずかしくなったり、自分の思いを中々言えなくなってしまいます。
その際には、子どもが話しやすい環境を作ることが大切です。
環境づくりにも意識を向け、伝えるようにしていってください。
しかし保育中で、部屋から出れない環境で、注意しなければならない場面は沢山あるかと思います。
クラスの部屋で伝えることもいけないことではないのですが、周りの子どもたちも見ていることを意識してください。
注意する子は比較的目立っていて、怒られやすい子が多いです。
同じ子を怒ってばかりいませんか?注意することも大切なのですが、怒られてばかりの子も、それを見ている周りの子にもあまり良い影響はありません。
一つ注意したら、同様にその子の良い所を見つけ、皆の前で誉めるようにしましょう。
その子が「悪い子」というイメージがつかないように工夫することも幼稚園教諭としての務めです。
どのようにすればいいか解決策を一緒に考える
叱った後、叱りっぱなしではいけません。繰り返さないようにする為にも、どうすれば良かったのか?ということを伝えてあげるようにしましょう。
またすぐ答えを出すのではなく、どうすれば良かったと思う?と子どもに投げかけてみるのも一つの方法です。
自分で考えられるように仕向ける事で、同じ繰り返しをしないように防ぐことが出来ます。
理由として全て大人からの目線で、話し続けても頭に入らないので、子どもにも考える時間を与えることで記憶に残りやすくなります。
しかし年齢や内容、その子によっては自分で考える事が難しい場合があります。
その際には選択肢を何個か伝え、どれが一番解決策として正しいか考えさせるのも一つの手です。
その年齢に合わせて解決策を自分で考えられるように仕向けていきましょう。
まとめ
子どもを誉めることよりも、叱る方がとても難しいことです。
子どもにどのようにして伝えれば良いかしっかりとポイントをおさえ、子どもがより良い方向に進んでいけるよう促していってほしいと思います。
また叱った後は、子どもの頭を優しくなでたり、笑顔でぎゅっと抱きしめてあげたり、スキンシップをとってあげましょう。
叱った後に、最後にちゃんと子どもを許して認めてあげることで、子どもにしっかりと愛が伝わるはずです。