昔に比べて、色々な障害の名前が出てくるようになりました。
もちろん同じ名前の障害でも、その子によって特徴は異なります。
乳児では判断が難しいですが、幼児になると少しずつ「気になること」が目立ってきます。
その際には、その子の特徴、フォローの仕方などを理解を深めていくことが重要です。
この記事ではそんな障害の可能性がある子供と気になる子供との違いや接し方について紹介してきます。
これから保育士になるかたや、自分のクラスに上記のような子供いて悩んでいる方は少し参考にしてみてください。
「気になる子」はどういう子?
保育士をしている中で、クラスに必ず「気になる子」という存在はいるものです。
具体的にどのような子が気になる子なのか、特徴を挙げてみます。
- 皆と違う行動をする
- 保育士が言ったこと全てに「嫌だ」と言う
- 友だちを頻繁に叩いたり、噛んだりする
- こだわりが強い
- 怒られるようなことばかりする
- パニックになる
- 自傷行為をする
以上の姿が気になる子の姿の一部です。
どの姿の子どもも、保育士から見て予想していない姿をしたり、マイナスに思えるような行動がほとんどです。
しかし、気になるからといって「障害があるのでは?」と疑ってはいけません。
疑いの目で見てしまうと、その概念が中々消えずに、その子と接してしまいがちになるからです。
まずは「気になる子」として、その子のことを長い目で見ていけるように心掛けていきましょう。
気になる子との接し方
「気になる子」に対し、どのように関わっていけば良いかということを悩む保育士は多いです。
具体的にどのように接していくことがいいのか、実は答えはありません。
実際にその子と関わりながら色々な方法を試し、その時の子どもに合った関わり方を探すのみです。
そうなると更に悩んでしまいがちですが、まずはどのような方法があるのか紹介していきます。
一つひとつの行動を読み取る
その子の特徴によって関わり方は異なりますが、一番理解してあげてほしいことは一つひとつの行動には意味があるという事です。
これは気になる子だけではなく、全ての子どもにいえることです。
気になる子というのは、理解しにくい行動を取ることが特徴的ですが、しっかりとそこには意味があることを頭の中に入れておいて下さい。
そうすると、今まで理解できなかった行動が少しずつ冷静な目線で見てあげることができます。
「見守る」という関わり方
また、保育士も人間です。母親と同様、子どもが思うように行動してくれないと、「どうして?」と疑問を持ち、関われば関わる程、苛立っていきます。
その場合は、無理に関わろうとしなくていいのです。
子どもが自分に整理がつくまで、そっと見守ることも保育士の一つの援助方法です。
時間がかかってしまう子も中にはいるとは思いますが、落ち着くまで時間を作ってあげることが一番の解決方法になります。
子どもの話を聞く
泣きじゃくっている時には落ち着いてから行うことがベストですが、話せる状態であれば子ども自身の思いを聞いてみて下さい。
ただ「なんでこういうことするの?」という否定的な言葉で話してはいけません。
「何か嫌な事あった?」等、子どもが本音で話せるように声掛けしてみてください。
もちろんいけないことをしたら、それは叱るべきことなので、しっかりと伝えなければなりません。
しかし叱るだけではなく、その子にも理由があることを理解し、話をしていけるよう環境を作っていくことが大切です。
また保育士自身の思いも伝えましょう。
「先生も困っちゃうんだよね。」という言い方ではなく、「先生は00ちゃんが何かあったのかな?って心配しているんだ。」と子どもの目線に立って話をしていきます。
中にはまだ上手く自分の思いを言葉にすることが難しい子もいるので、その子が言った話を繋いであげたり、しっかりと耳を傾けていくことが大切です。
スキンシップをとる
気になる子の行動の大半は「自分を見てほしい」という思いが強いです。
だからこそ反対のことをしたり、親や先生の目に留まる行動をしてしまうのです。
もちろんいけないことであれば注意する必要もあるかと思いますが、目立った行動をしていない時が実はチャンスなのです。
普通に過ごしている中で、スキンシップを取る時間は沢山あります。
その際に「どんな時でも見守っているよ」という思いを込めて、抱きしめてあげたり、遊びの中で触れ合いを入れたりと工夫してみて下さい。
そうすると自然と目立った行動をしなくなるというケースも多いです。
グレーゾーンの子の特徴と接し方
気になる子には様々な特徴があります。それは、皆性格が違うからです。全く同じ性格をしている人はいません。
性格的に気になる行動をしている子もいますが、中には「障害」を抱えていることにより、気になる行動をしている子もいます。
「障害」という名前が診断されてはいないが、「障害」の疑いがあるということをグレーゾーンと呼びます。
「障害」を診断するのは、医者や療育の先生が多いですが、普段子どもを見ている保護者や保育士が一番その子のことを理解しています。
少しでも疑いがある個所があるようであれば、その子の為にも療育の先生に診てもらい、解決法を考えていくことが大切です。
グレーゾーンの子には、その子によって異なりますが、大まかな特徴があります。
- かんしゃくを起こし、何を言っても切り替えられない
- 一つのことに執着し、自分のペースが崩れるとパニックになる
- 自傷行為をする
- 座っていられない、目が合わない等の落ち着きがない姿がある
この特徴は絶対ではなく、このような姿が多くみられるということです。
では具体的にそれぞれの姿に対し、どのように関わっていくことがその子にとってプラスになるのか紹介していきます。
かんしゃくを起こし、何を言っても切り替えられない
この時、子どもはパニックになっています。その際に言葉をかけても落ち着くことはほぼありません。
自分の気持ちに折り合いがつくまで、そっと見守ったり、落ち着けるような環境を整えてあげることが一番良い方法です。
その子によって落ち着く方法は様々です。お気に入りの場所にいって落ち着く子もいるので、お気に入りの場所を保育士がしっかりと把握しておくことが大切です。
また、この際に抱っこして落ち着かせようとしてしまいがちですが、実はあまり良くありません。
パニックという行動は、自分を落ち着かせようとする行動です。その際に触れてしまうと、抑制されていると思い、症状が悪化することがあります。
一つのことに執着し、自分のペースが崩れるとパニックになる
障害を持っている子の特徴として、一つのことに執着する傾向が多いです。
例えば飾りの陳列がいつも通りになっていることや、本の背表紙の向きにこだわったり、水道の水の流れをずっと見ていたりと、特徴的な姿が多いです。
その際に「今はダメ!」とその子の行動を妨げてしまうと、パニックを起こすことがあります。
出来るだけ、その子が満足できるまで時間を作ってあげることがベストですが、保育を行う中でその子だけに時間をずっと作ることも困難です。
その際には、その子が違うことに目が行くよう他のお気に入りの物や、他のものに惹き付けるように仕向けて下さい。
自傷行為をする
自傷行為はパニックになっていることと同じで、自分の気持ちを落ち着かせている行動です。
しかし自傷行為の場合は怪我に繋がる場合が多い為、やめさせる必要があります。
その際は、2の対処法と同様に、気持ちが他の方に向くようにしてみてください。
絵本を読んだり、DVDや曲を流す等、その子が切り替えられるようなものを探してみることが大切です。
座っていられない、目が合わない等の落ち着きがない姿
まだその環境に慣れていなかったり、その環境の雰囲気が苦手と感じる際に起きる行動です。
その際は無理矢理に座らせたり、落ち着かせるように仕向ける必要はありません。
もし可能であれば、本人の行きたい場所に行くようにすることが一番いい方法です。
どうしてもその場にいてほしい時は、その子のお気に入りのマークや絵を椅子につけてあげてください。
そうすると落ち着いて座ることができたり、お気に入りの物を置いておくのも一つの方法です。
まとめ
気になる子にも様々な特徴があり、その姿によって関わり方が違うことをお伝えしてきました。
その子に合った関わりは、その子と実際に関わり、実践しなければ分からない事ばかりです。
どういう方法がいいのか分かると、保育士にとっても子どもにとっても良い方向へ行くので、色々な方法を試してみてください。