保育士は子どもの成長を見守ることのできるやりがいのある仕事です。
しかし、仕事量の多さと責任の重さに心身が疲れ、保護者対応で神経をすり減らし、同僚との関係も上手くいかない、そんな毎日が続けば仕事がきつい、行きたくないと感じるのは自然なことです。
保育士は責任感の強い人が多いので、「まだ頑張れる」「自分の責任だから仕方がない」と自分を追い詰めてしまうことも…。
仕事を「きつい」と感じた時に、とるべき方法とは?頑張りすぎない働き方をご紹介します。
保育士の仕事をきついと感じる時とは?
保育士の仕事を「きつい」と感じるのはどんな時でしょうか?まずはその原因について見ていきましょう。
同僚との関係が上手くいかないとき
保育はチームワークで成り立つ仕事です。どんなに仕事が大変でも子どもとの関りに悩んでも、同じ職場の仲間同士で助け合ったり、悩みを相談し合える環境ができていれば、「仕事がきつくて行きたくない…」というところまで追いつめられることはありません。
保育士同士で悩みや情報を共有し合い、仕事を分担して行える環境が理想ですよね。しかし、実際は理想の人間関係を築けている職場は多くはありません。
保育への考え方の違いから意見が対立し関係が上手くいかなくなったり、後輩のミスを必要以上に攻め立てるなど後輩いじめをする保育士もいるからです。
同僚との関係が上手くいかない同僚の輪に入れないという状況になると、職場での居場所がなくなります。必要な情報共有がされないなど仕事に支障をきたすこともあります。
そうなると、仕事のきつさは倍増。仕事への意力もなくなりますし、いつも周りの目を気にするようになり心も体も疲れてしまいます。
やるべき仕事が終わらないとき
保育士の仕事には終わりがありません。子どもとの関りの合間をみて事務作業や行事の準備を行い、それと並行して保護者対応も行います。
特に行事の前にはいくつもの仕事を抱えて、目がまわる忙しさ。勤務時間内に仕事が終わらない時には、残業や持ち帰り仕事も少なくありません。
1つの仕事を終えても、まだやるべき仕事は山積みという終わりの見えない仕事量に、身体も心も余裕がなくなります。
肉体的に疲れを感じているとき
毎日たくさんの赤ちゃんや子どもを抱き、子どもと遊ぶ時には全力であそび、座っている時間なんてほんのわずか…。保育士の仕事は体力勝負です。
そんな毎日を過ごすうちに腰や膝が痛くなったり、身体が思うように動かなかったりと肉体的にも疲れを感じます。しかし、身体が疲れているからと言って子どもは待ってはくれません。
疲れた身体を何とか動かしているうちに更に疲労が溜まり、身体がきつくて仕事が満足にできないという状態にもなり得るのです。
保護者からのクレームで精神的苦痛を感じるとき
保護者との関りは、時には子どもとの関りよりも難しいものです。子どもが1人ひとり違うことと同じように保護者も1人ひとり違います。同じように対応していたとしても、クレームに繋がることもあるのです。
中には、「絶対に怪我をさせないで」「洋服が汚れないように外遊びをさせて欲しい」など不可能な要求をされることもあります。
理不尽なクレームを受けると保護者対応のことで頭がいっぱいになり、神経がすり減っていきます。
そんな状態が続くと、「精神的にきつい」「仕事に行きたくない」という状況に陥ることも…。責任感が強い人ほどクレームを真剣に受け止め、自分を追い詰めてしまいます。
仕事が「きつい」と感じる時の対処法
では「仕事がきつい」と感じた時にはどのように対処すれば良いのでしょうか?
まずは、自分で「きつい」と感じる理由を書き出してみましょう。原因は1つであるかもしれませんし、複数の原因が重なっている状況であるかもしれません。
- 仕事をする中でどんな部分がきついのか
- どんな仕事内容に苦痛を感じているのか
ということを書き出すことで、自分の気持ちを整理することができますよ。
書き出す時には、自分の正直な気持ちを書き出してみましょう。「これはきついうちに入らないかな?」などの遠慮はいりません。「他の人も頑張っているから…」など人と比べる必要もありません。
仕事を「きつい」と感じる理由は人それぞれです。少しでもきついと感じていることは、積もりに積もってそのうちに体調に表れてしまったり、仕事に行けなくなる可能性もあります。
そうなる前に、自分の気持ちと向き合ってみて下さいね。「きつい」と感じる原因を自分で把握することが、状況を改善する第一歩です。
時には自分の気持ちを優先させて同僚に伝える
仕事が「きつい」と思った理由が同僚との関係にある場合には、時には遠慮をしないで自分の気持ちを伝えてみましょう。
先輩からいじめを受けている、同僚の輪に入れないという人の中には、自分の保育に劣等感を持ってしまう人も少なくありません。
特に保育士になりたての頃は、「自分が仕事ができないから仕方がない」「仕事が遅くて迷惑を掛けているから」といじめや相手からの対応を自分の責任だと思い込んでしまうのです。
しかし、保育士になりたての頃は仕事ができなくて当たり前、もちろんいじめて良い理由などにはなりません。
そんな時には主任や職員をまとめる立場の保育士に、現状や自分の気持ちを話してみましょう。告げ口をしている様で心苦しいと感じるかもしれませんが、職場の環境を改善するためにも必要なことです。
ただ、陰口や悪口になってしまわないような配慮は必要です。あくまでも自分がどの様な対応をされて困っているか、悩んでいるかという事実だけを伝えるようにしてくださいね。
それでも改善されないという場合には、残念ながら後輩いじめや職員間の関係の悪さが、その保育園の体質になってしまっている可能性があります。
その状況に自分も染まってしまわないうちに、転職も視野に入れた方が良いかもしれません。
保育におすすめの転職サイトはこちらの「保育士転職サイト比較してみました」で詳しく解説しているので参考にしてみてください。
気持ちも身体もリフレッシュできる時間を大切に!
仕事量の多さや肉体的な疲労から、気持ちも身体も「きつい」という時には、無理をしてでもリフレッシュをする時間を作りましょう。
仕事終わりに美味しい物を食べに行く、ゆっくりとお風呂につかるというだけでも気持ちや身体の疲れがとれます。
漠然と仕事が終わらない…と考えていると追い詰められてしまいますので、まずは仕事の優先順位を決めて取り組むことも大切です。残業や持ち帰り仕事をする時には、優先順位の高い仕事から行います。
休みの日が持ち帰り仕事で終わってしまうという状況でもできれば避けたいですね。やるべき仕事ではあるけれどまだ期日に余裕があるという時には思い切って翌日に回し、休みの日の午後だけでも自分の時間を持ちましょう。
趣味を楽しんだり、友人と会ったりと仕事から離れることで、かなり気持ちが楽になります。身体が辛い時には好きなテレビを見たり、本を読みながらゴロゴロと過ごすことも立派なリフレッシュ法です。
腰や膝が痛いなど体調面に疲労が表れてしまっている時には、早めの受診をおすすめします。
保護者からのクレームを全て自分の責任と思い込まない
保護者から子どもを預かり保育をする立場として、保護者の意見を聞くこと、信頼関係を築くことはもちろん大切です。
→保育士が保護者から人気のある信頼できる先生になるポイントとは
しかし、保護者の中には理不尽なクレームを言う人も実際にいるのです。責任感が強い保育士は、そのクレームを真剣に受け止め何とか改善しよう、保護者に信頼してもらえるような保育をしようと頭を悩ませます。
保護者の声に耳を傾けることは必要ですが、集団保育の中では不可能なことで「自分の責任でクレームを受けてしまった」と思い悩む必要はありません。
特に、子どもの怪我に対するクレームで頭を悩ませる保育士はたくさんいます。保育園で起きた怪我は保育園と保育士の責任ですが、どんなに気を付けていても子どもの発達段階や友達との関りの中で防げない怪我もあります。
子どもが怪我をしないために、友達と関わらないようにしたり全ての行動を制限してしまったら、子どもの発達に悪影響です。
怪我に対する謝罪と丁寧な説明をしても、保護者の怒りが収まらないという場合には自分一人で解決しようとせずに園長や主任など周りに頼りましょう。
理不尽なクレームも同じです。自分の保育が原因だから…などど自分を追い詰める必要はありません。
保育士を守るのは園長や主任の役割です。保護者対応で毎日がつらい、クレームを言われることがきついと感じた時には遠慮せずに応援を頼んで下さい。
職場を離れる勇気も必要!
改善策を試したけれど効果がなかった、精神的にも肉体的にもきつい状態が続いているという時には、職場を離れるという選択肢もあります。
保育士は基本的には年度末に退職をすることが多いですが、精神的に辛くて体調面にも表れてしまっているという場合などは年度末まで待つ必要はありません。
子ども達のために、同僚に迷惑が掛かるからという理由で無理をして仕事を続け、入院をするまでに体調を崩してしまった人もいます。自分の身体を1番に考えて、仕事を辞めるという勇気を持つことも大切です。
→保育士を辞めたい理由や原因は?後悔しないための辞め方や転職活動
保育士が活躍できる職場は保育園だけではありません。保護者対応が辛い方には、一時保育専門の託児施設もありますし、同僚との関係に疲れてしまったという人には、子どもと1対1で関われる訪問託児という選択肢もあります。
保育士不足の現在、保育士はいつでも求められている状況です。1度職場を離れて身体を休めてから、再度保育士として保育園で働くということも十分可能です。
今働いている職場が全てではありません。きつい状況を変えるためには、退職や転職も1つの方法だということを心に留めて、自分を追い込み過ぎないようにしてくださいね。
まとめ
保育士は常に疲労やストレスと隣り合わせの仕事と言っても過言ではありません。
多くの仕事を抱え、同僚や保護者との関係にストレスを感じ、責任感が強い保育士ほど気付かないうちに自分を追い詰めてしまっていることもあります。
仕事を「きつい」と思えることが、自分の気持ちと身体の疲れに気付ける第一歩です。どんな部分がきついのか、そしてそのきつさは自分の働きかけや心掛けで改善することができるのかということを考えてみましょう。
改善できることは、試してみることをおすすめします。それでも、やはり「仕事をやめたいほどきつい」と感じる時には、職場を離れることは逃げではありません。自分の身体を1番に考えてあげてくださいね。