どの保育園でも最年長の5歳児。身の回りの生活面、製作、食事、友だちとの関わり等、自分で出来るようになります。
最年長として自信を持って活動に取り組めるようにする為には、保育士のサポートが必須です。
就学に向けての一年間、具体的にどのように過ごしていければよいか、また5歳児なれではの姿を捉えながら説明していきます。
5歳児の主な姿や特徴
年齢が上がると共に、出来るようになることもどんどん増えていきます。
例えば・・・
- 手先が器用になり、細かい作業がスムーズに出来る
- 長い時間でも集中することが出来る
- 自分のことは自分でするようになる
- 歳の低い子にお世話をするようになる
- 遊びを自分で展開し、友だちと上手に遊べるようになる
しかし出来るようになったことが増えた分、視野も広がり、今まで見えなかったことが見えるようになり、葛藤することも出始めます。
例えば・・・
- 友だちの思いや園で過ごすにあたってのルール等、理解出来るようになった分、自分の思いを上手く出せず、我慢してしまう
- 遊ぶ友だち、遊ぶ内容が定着し始め、仲間外れが起こるようになる
- 上手く甘えられない
- 友だちとすれ違いが生じる
友だち同士のトラブルが一番増えるこの時期。
成長していくとは故、まだ5歳の子どもです。
思うように言葉が出なかったり、我慢してしまうことも多くなります。
5歳児の保育のポイント
主活動では、難易度が上がっていき、時間を掛けて取り組んでいくようになります。
具体的にどのような保育をしていけばよいか、活動ごとに説明していきます。
製作はなるべく時間をかけながら作れるもの
なるべくその日一日で出来るものではなく、時間をかけながら作れるものを増やしていきます。
そうすると、出来上がることで喜びを感じ、次に対する意欲に繋がります。
他にも製作内容を考えていくにあたって、気にしていくポイントがあります。
- 製作内容を細かいものにする(ビーズで貼り付け、簡単な縫物等)
- 様々な素材に触れ、丁寧に取り組めるよう声を掛ける
- 「自由」に描くところと、ある程度「課題」を与えて描くものと分ける
- 個人で取り組む他に、友だちと協力して作り上げていくものを取り入れる
- ペンや鉛筆で行う内容を増やしていく
これらのポイントを踏まえ、就学に向けての園に合った製作内容を考えていけるといいです。
運動会やお遊戯会は日頃の練習の積み重ね
最年長の種目はどこの園でも、最も注目されます。
歳が低い子たちは、立派な年長さんをみて「こんなお兄さんお姉さんになりたいなぁ」と思うようになります。
ではどのように練習を重ねていくことで、立派な姿が見せられるのか…ということですが、一番は「子どもたちの一生懸命な姿」を見せることです。
上手にできていなくてもいいのです。頑張っている姿をみて、感動します。
しかし、子どもは本番だけ頑張るという程の器用さはまだありません。
日頃の練習の積み重ねがあるからこそ、本番で発揮することが出来るのです。
では具体的にどのように練習をしていけばよいかポイントをお伝えします。
- 練習と遊びで気持ちを切り替える(初めの練習のときから、練習になったら切り替えることを声掛けする)
- 集中して取り組めたら沢山誉める
- 練習の後、のびのび過ごせる時間を作る
- 友だちと踊り、劇を見せ合う
- 子どもたちが音に合わせて踊れるようリズムで分かりやすく伝える*
- 「本番」に向けて力を合わせて練習していく大切さを日々の練習で伝えていく
*いち・にー・さん・しー!だけではなく、いち・にー・キラ・キラ!等、手の動きや足の動きをリズムにして分かりやすく伝える
これらの大きい行事では、皆で力を合わせていくことの大切さを知ることが出来ます。
またそれと共に達成感を感じることもできる、子どもたちにとって大きな経験となります。
5歳児の関わり方のポイント
では次に、活動に取り組んでいる時、友だちと遊んでいる時、様々な姿をみせてくれる子どもたちにどのように関わっていけば良いか紹介していきます。
挑戦できるように促す
前にも話したように、5歳児は色んなことが出来るようになり、得意なものも増えていきます。
同時に、不得意なものも明らかになっていきます。
内容にもよりますが、そのまま苦手意識が強くなると、「苦手なものはやらなくていい」という考えを持ってしまうようになります。
その為、少しでもいいので苦手なものも挑戦していけるよう背中を押すことが大切です。
その時に気をつけていくことは「出来るようになろう!」ではいけません。
その子によっては、それが負担に感じてしまうこともあるからです。
例えば、鉄棒の逆上がり。どの園でも出来るようになる子が増えてきます。
しかし皆が皆、同じ能力を持っているわけではなく、感じ方も様々です。
「逆上がりを出来るようになりたい!」と思う子もいれば、「どうせ出来ないからやらない」という子もいます。
だからといってそのままでいいのではなく、鉄棒に触って、ぶら下がって腕の筋力をつける等、工夫すれば鉄棒に親しみが持てるようになります。
このように運動面、食事面、製作面、どこでもいいのでその子の自信に繋がるような声掛けをしていくことが大切です。
友だち同士のトラブルはアドバイスを!
トラブルの内容が、とても複雑になっていくこの時期。
特に女の子は、友だちがグループ化していき、特定の友だちと遊ぶようになることで、仲間外れがみられるようになります。
また異性問わず、友だちを困らせようと物を隠したり、とったりと、知恵が働くようにもなっていきます。
もちろんいけないことは注意をしていくことが大切ですが、この時期は何にでも口出ししてはいけません。
「なんでこういうことになったのか?」「これからどうしていけば良いか?」ということを、友だち同士で話し合いをしていくことが必要です。
しかし、まだ子ども同士で解決するということも内容によってはまだ難しいので、「こうしてみたらどう?」「こういう方法もあるよ!」等、保育士が答えに導きだせるようなアドバイスをしていくことが、この時期最も必要です。
また、女の子は親や先生等、大人の目を見計らって陰で行う姿もみられるようになります。
しっかり子どもたちの様子を捉え、上手に関わり合いができるようサポートしてあげることを心掛けて関わるようにしていきます。
就学という言葉を出していいのは2学期後半から!
保育士の中では「一年間」という長い時間の中で、意識して保育を進めていくことが必要ですが、同時に子どもたちに年長になった当初から話しても、あまり理解が出来ません。
一番就学に意識するようになるのは、ランドセルを買ってもらったり、自分のことが色々出来るようになってきた2学期後半頃がお勧めです。
あまり早く言ってしまうと、その子によってプレッシャーを感じてしまうようになり、活動に取り組むことを不安に感じてしまいます。
また就学に意識が持てるようにする為に、学校は楽しい場所だということを活動を通して伝えていくようにしましょう。
活動内容も、クレヨンから鉛筆で取り組む製作を増やしたり、自分の名前を呼ばれたら大きな声で返事をするように声を掛けたり、少しずつ工夫していくことで、意識が高まります。
まとめ
保育のポイントから関わり方まで紹介してきました。
5歳児になるとこんなことまで出来るようになるんだ、こんな考えを持つようになるんだと驚かされます。
そんな子どもたちの大きな可能性に花が開くよう、保育士の行う保育が最も大切です。
様々な場面があって悩む事もありますが、一つひとつしっかり子どもと向き合い、保育や関わり方のポイントをおさえて、楽しい一年にしてください。