2歳児といえば、1歳児期から比べて、急になんでもできるようになるように感じる年齢です。

自分で服を着ることもできるし、トイレも失敗が減ってくるし、会話もできるようになってきます。

だけど、イヤイヤ期はまだ続いていたり、発表会などでは幼児さんのようにはいかなかったりという面もあります。

もう赤ちゃんではないけど、幼児さんでもない。ここではそんな2歳児との接し方のポイントをお伝えしたいと思います。

2歳児はやりがいがある年齢

「三つ子の魂百まで」と言います。

3歳の頃の性格は、年長児になっても、中学生になっても、大人になっても根本は変わらないものです。けれども3歳まではそうではありません。

年長児の時やんちゃな子も、赤ちゃんの頃は大人しかったということもよくあります。

また、1歳の時表情の乏しかった子が3歳の頃はよく笑うようになり、年長児になっても変わらないというようなこともあります。

乳幼児期は可塑性に富んだ時期なのですが、とりわけ0歳~2歳の頃は豊かに変化する時期なのです。

ということは、0歳、1歳、2歳児クラスの担任は責任重大です。

0歳児期、ミルクをぐいぐい飲め、ぐっすり眠れるようになれば、1歳児以降もよく食べよく眠る健康な子になります。

1歳児期、「イヤイヤ」「自分で」と自我が芽生え、尊重してもらって大きくなれば、自分の意見をしっかり言え、自己肯定感の身についた子になります。

もちろん完璧な人はいませんし、完璧な保育はありません。

保育には必ず「発達のおつり」があります。

とはいえ、健康で自己肯定感のしっかりした子には育てたいところなので、この2歳児クラスでその「おつり」おの部分を身につけることができれば、大丈夫です。

そんな責任重大な年齢でもありますが、やりがいもある年齢です。

2歳児ってどんな年齢?

2歳児クラスの2歳の子たちは、まだおしゃべりも片言で、ご飯も衣服の着脱も色々世話がやけます。ところが3歳のお誕生日を迎えた頃から、どんどん自分でできることが増えて、保育士さんの言うこともよくわかり、おしゃべりも会話になってきます。

3歳は「生活習慣の自立」の時期です。その3歳に突入していくのが2歳児クラスなのです。

保育士の人数など

国の配置基準では保育士と子どもの人数比は、

  • 0歳児 保育士1対子ども3
  • 1歳児 保育士1対子ども6
  • 2歳児 保育士1対子ども6
  • 3歳児 保育士1対子ども20
  • 4歳児 保育士1対子ども30
  • 5歳児 保育士1対子ども30

となっています。

2歳児と3歳児のクラスの人数比に驚くと思いますが、それほど2歳までの世話が焼ける時期と、生活習慣が自立した時期は違うのです。

3歳のお誕生日がきたにも関わらず2歳児クラスは保育士1人に対して子どもの人数は6人なので、まだまだ世話が焼けるとはいえ、日が立って3歳の子が増えるごとに保育にゆとりを感じることが多いはずです。

それを踏まえて、ある園では主任補佐のような立場の保育士さんを2歳児クラスに配置して、主任補佐にその保育士が抜けるときは、一人担任がいない状態で保育を回すことを要求されるということもあります。

また、少し精神的に疲れた保育士を2歳児クラスに配置して回復することを期待するというような園もあります。

そのくらい、2歳と3歳では違うということなのです。

1歳児と2歳児との違い

特徴的なところを言うと、1歳児は赤ちゃんっぽかったのに対して2歳児になるとできることが増えたように感じるものです。

具体的には、よちよち歩きに近い歩き方から、速足になったりデコボコ道でも転びにくくなったりします。

言葉も2語文3語文から、やりとりを楽しむおしゃべりに変わってきます。

気持ちも大人に依存していたのが、転んだり少々のことがあっても自分で立ち直ることができるようになります。

2歳児と3歳児との違い

では3歳児との違いはどんなところでしょう。

2歳児になるとできることが増えたのに対して、3歳児になると自分だけの力でできるようになります。

具体的には、駆けることができるようになります。言葉は赤ちゃん言葉ではなく大人と同じような言葉で会話できるようになります。

気持ちは大人への依存性はなくなり、友達と遊ぶことを好んだり、嫌なことがあっても気持ちを切り替えることができるようになります。

体の発達について

そんな2歳児の発達は体の発達とどう結びついているのでしょう。

1歳児のときの足の裏を見てもらうとわかるのですが、土ふまずがまだしっかりと形成されてはいません。足もO脚に近いです。

手の指といえば、親指が、人差し指、中指、薬指、小指それぞれとくっつけることができません。

土踏まずが形成され、O脚の足がまっすぐに伸びるようになったころ、人間は駆けられるようになります。

手でキツネの形(親指と中指、薬指をくっつけ、後の指を立てる)ができるようになったり、3の指(人差し指、中指、薬指の三本を立てる)ができるようになったとき、スプーンやおはしを受け手で持てるようになり、絵は手首を返して閉じた丸を描くことができるようになります。

これらが3歳の発達です。

そのような体の発達から、上記のようなことができるようになるのです。

これは生物的にも人間にしかできないことです。

つまり、人間らしくなるのが3歳という年齢なのです。

2歳児のイヤイヤ期について(接し方や注意点)

1歳児期に出る「イヤイヤ期」ですが、まだまだ2歳児クラスになっても続いていたり、さらにグレードアップする場合もあります。

また1歳児期に「イヤイヤ期」が出なかった子は、その発達のおつりを2歳児期に取り戻しすというような場合もあります。

いずれにせよ、1歳児期と同じように、「イヤイヤ期」というのは子どもがわがままになったわけではなく、「自分」をしっかり持つことができた証です。

激しく出れば出るほど「自我」がしっかりと育つので、大人の力で抑え込むことなく、ちゃんと乗り越えて卒業させてあげてください。

1歳児期と違って、ある程度理由もしっかりしてきます。

保育士は、

  • 「受け止める」けど無理な時は「受け入れない」。
  • 「自我」を認めて「本人」を否定しない。

の気持ちで、おおらかに接してくださいね。

2歳児におすすめの遊び

どの年齢もそうですが、遊びはその年齢の発達の特徴を頭に入れてやってみると楽しいです。

子どもは成長の欲求の塊なので、自分でできるけどちょっと難しい、というような遊びに飛びつき、何度もやってみては習得し、またやりたいことを見つけるものです。

室内でおすすめの遊び

2歳児クラスの子ども達の可愛いところは、とても夢があるところではないでしょうか。サンタクロースもアンパンマンも、オバケもみんな信じています。

まだ何が実在していて、何が常識かなんてわからない反面、ずいぶんしっかりしたことも言うので、そのギャップがかわいらしいですよね。

苦手なお野菜も、「ほら、ミッキーさんが見ているよ」とぬいぐるみを持ってくると、嬉しそうに食べたりもします。

節分の日に鬼が来ると一番泣いて怖がるのも2歳児の子どもたちです。

大人も一緒に入らないとまだまだ遊びを展開していくのは難しいですが、ごっこ遊びは特に花が咲きます。

他にも、ストローや花型ビーズの紐通し、粘土、積み木、リズム(リトミック)なども、発達に合っていて、2歳児が夢中になる遊びです。

一方で、3歳児の発達に合った遊びである、ハサミ、のり、テーマを決めた製作もできなくはないし興味もあるのですが、まだまだ上手くできませんし、「きちんとやる」ことを要求する遊びなので、2歳児の発達にはそぐいません。

無理にやらせるとそれなりのものはできますが、2歳児らしい奔放さが抑えられてしまいます。

私は「3歳児のようなことができる2歳児」がすごいのではなく、「2歳児を存分に発揮する2歳児」こそが輝いているのだと思います。

それにはやっぱり、2歳児の発達をおさえた遊びが大切です。

また2歳の子どもは、まだまだ自分の想いを一方的に出すことしかできない年齢なので、玩具の取り合いでかみつきや押し合いもあります。

それらはごちゃごちゃとした狭い空間で起きやすいです。空間は広々と使える工夫が必要になってきます。

例えば・・・

  • クラスの半分は外で遊んで、残りの半分が室内で遊ぶ。
  • 部屋をコーナーに分ける。机上で遊ぶ子ども達はまとまるので、残りの子ども達が後の空間を広く使いやすい。
  • リズム(リトミック)や体操で体を動かしたあと(動の遊び)、じっくりみんなで積み木や紐通しなど、静の遊びをする。

保育士さんも子ども達の輪の中に入って遊びを展開したり交通整理をすると、だんだん遊び名人が増えてきたり、お友達とのやり取りも上手になっていく年齢です。

室外でおすすめの遊び

足がO脚ではなくなってきて土踏まずも形成されてきた時期です。この時期はたくさん歩くことが大切です。たいらな道も、でこぼこ道も歩けるようになってきます。

都会の保育園でも、手をつないで白線の中を車に気を付けながら歩くことがずいぶん上手になるので、どんどん散歩に行きましょう。

でも「きちんとやる」ことは長い時間は難しいので、手をつないで歩いた先には自由に遊べる目的地があると良いです。

田舎の保育園なら、田んぼのあぜ道や、稲刈りの後の田んぼ、山道が楽しいです。

こちらもずいぶん気を付けて歩けるようにはなったものの、まだまだ夢中になると目の前のことしか見えなくなるので、用水路など危ないところは保育士さんが気を付けて注意を促すようにしましょう。

また、かくれんぼごっこ(「かくれんぼ」はまだできません)や、おにごっこも楽しい時期です。

「夢がある2歳児」なので、イメージをもって「おにだぞ~」と追いかけたり、「オバケが来るよ、隠れて!」と保育士も一緒に隠れると、とても盛り上がります。

まだルールのある遊びは難しいですが、イメージを持つことで遊べるのです。

他にも、しっぽ取り(タオルなどでしっぽをつけた子のしっぽをおいかける)や、わらべうた遊びもイメージを持ちやすく、楽しい遊びです。

ルールはわかっていなくてもいい年齢なので、しっぽ取りでしっぽを取られて泣いたからといって強要せず、保育士さんも一緒にイメージを楽しむことが大事です。

泥んこ遊びでは、小さなおだんごを作れるようになります。また、シャベルで土を掘ることも楽しくなります。土を使った静と動の遊びも存分に楽しむと良いでしょう。

2歳児でやるイベント

保育園では基本的に

  • 運動会
  • 発表会
  • 制作

などのイベントを行うことが多いと思います。

ここでは、2歳児のイベントについて少し紹介していきます。

運動会・発表会

3歳は、「張り切りぼうや」な年齢です。

2歳の頃に接してきた大きいクラスの子たちや大人の姿をためこんで、3歳ころには大張り切りで同じようにやってみます。

3歳児~5歳児のような課題をやりたがりますが、1日目、やらせてみれば張り切ってできそうに見えます。

でも2日目、全然じっとしていないし、最後まで話を聞かないし、だらだらし出すしで、とてもやれそうにない様子になります。難しすぎると全身で訴えているような姿です。

ですから、まだ半分以上の子が2歳か、3歳になったばかりの頃の運動会では、「きちんとしないといけない」振付やフォーメーションのあるダンスよりは、よじ登ったり、飛び降りたり、タイヤなどをひっぱったりする「張り切り」の気持ちでできるような種目が適しているでしょう。

出し物風にしなくてはいけない園であれば、「○○の大冒険」のように見立て遊びにしてそんな張り切る姿を見てもらうと子どもの姿が輝きます。

また、発表会は2月や3月ですから、大半の子が3歳になっており、少し課題のようなものをすることができます。

「はりきり坊や」たちは、もしも運動会がとても達成感のあるものなら、その後も運動会ごっこを自分たちで楽しみます。

そして次のそのような場を保育士さんに求める気持ちになることが多いです。

そんな時に「○○くみさん(2歳児クラス)だけの特別よ」と言って次の課題を渡すことができれば、とても意欲的に子ども達は飛びつきます。

これはなんでも良いのですが、単純で難しくなくて、毎日楽しめるようなことであることが大切です。

例えば、竹ぽっくり、畑の種まきなどです。

竹ぽっくりや畑の種まき

竹ぽっくりに乗れるようになったら、散歩に行くたびに持っていって、得意なものにします。畑に種をまいたら、毎日水やりをします。

そして発表会になると、「三びきのやぎのがらがらどん」で橋を渡るときに竹ぽっくりで渡るとか、「おおきなかぶ」をするとか、秋と冬の保育を発表会につなげていくことができます。

子ども達は自分たちだけの特別で得意なことを発表するので、とても生き生きします。

そうして自信と意欲とやりきる力を身に着けて3歳児クラスへと進級できるのです

おすすめできないのは、セリフやフォーメーション、楽器などを高度に使わないといけない出し物です。確かに練習をやりこめばできる子も何人か出てきます。

でも「3歳児のような2歳児」時代を過ごした子は、3歳児になっても花開きません。発表会は上手度合いがはっきり出るものとなり、生き生き度合いはあまり見えません。

結局は、その年齢の発達に合った出し物が子ども達を育てると言えるでしょう。

製作

2歳児クラスの子ども達が夢中になる遊びは、粘土や泥団子でヘビを作ったり、お団子を作ること。また、穴に色んなものを入たり、紐通しをしたりします。

絵を描くと、大きな閉じた丸を描いたり、だんだん3歳に近くなってくると、小さな丸をたくさん描いたり、丸の中に目と口を描いたりします。

ですから、これらを生かした製作が適しているといえます。

絵でも顔の認識が目と口くらいなものですから、わざわざ母の日に「ここに目を描いて、ここに鼻、髪の毛は・・」などと教えてやらせるのは、適しているとは言えないでしょう。

みんな同じような「先生のやらせた作品」になります。また上記にもあるように、ハサミも適していません。

2歳児の能力を使って製作をするならば、

  • 段ボールをB5サイズくらいに切り、その4辺にあらかじめパンチで1センチ間隔くらいに穴をたくさんあけておく。それに子どもが毛糸の端をセロテープで固く巻いたものを通していく。紐通し遊びの結果、額ができる。
  • 紙粘土でたくさんお団子やヘビを作り、それを保育士さんが紙粘土をペットボトルに巻いた花瓶にくっつけてあげたり、写真たてにくっつけたりして、飾る。
  • 保育士さんがあらかじめ用意しておいたモールやお菓子のキラキラするビニール袋を小さく切ったもの、ビー玉などをペットボトルの色水の中にどんどん入れて遊ぶ。蓋をして、クリスマスの飾りになる。

などです。

いずれにしても、子ども達が楽しく遊んだ個性豊かなものを保育士さんが作品に仕立て上げるということになるのが2歳児クラスまでの製作といえるでしょう。

2歳児の保護者との接し方

どの年齢もそうですが、保護者は発達のことをわかりやすく伝えれば、「そういう時期なのか」と思えます。

また、園ではこんな姿ですというのを伝えれば、わが子の知らなかった一面に驚き、どういう風に接したらそうなるのかと知りたがります。

「イヤイヤ期」から「自分が一番」になるこの時期は、保護者からするとわがままになったように感じる時期です。

イヤイヤ期の保護者に対して

「いやだ」って駄々をこねているように見えるけど、自分の意志がはっきりしてきた証拠よ、と伝えれば安心します。

また、園ではどのように接して子どもが気持ちを切り替えているのかを伝えれば、とても信頼されます。

自分が1番という子供の親に対して

「自分でするの」「一番に乗るの」「大きいバナナがいいの」と主張する姿も、「自分って素晴らしい」という自己肯定感がちゃんと育っているからよ、と伝えれば安心します。

自分の力を存分に使わせてあげれば、園ではこんな「はりきり坊や」な姿で素敵よ、と伝えれば信頼されます。

子どもはよくしゃべるようになったものの、まだまだ子どもの言葉だけでは園でどんな一日を過ごしたのかはわかりません。

そんなとき、保護者の子育ての悩みも感じ取った保育士さんが今日の子どもの姿を伝え、「こんな時期よ」「こういうふうに接したら大丈夫」と教えてくれると心強いでしょう。

また、保育士さんと悩みを共有できることも励まされるものなのです。

「今日も○○ちゃんは野菜を食べたくないってこんな姿でね、でもこういうふうに接したらこう言って・・・」と、手ごわい気持ち、○○ちゃんの出した一歩がうれしかった気持ちなどを正直に話すと、とても喜ばれます。

保育士さんは「子育ての専門家」であり、良き「子育てパートナー」であることが、一番の良い関係だと思います。

まとめ

あなたの力で、

  • 大人の顔色ばかり見てた子が、「いや」と主張できるようになり、イヤイヤ期を卒業するころには大人にも自分の気持ちを言葉で伝えられるようになった。
  • 表情の乏しかった子とたくさんくすぐり遊びをしていくうちに、2歳児クラスの終わりごろにはよく笑う子になった。
  • 好き嫌いが多く食の細かった子が、保護者と一緒に頑張る中でなんでも食べる子に変わっていった。

など、大きく成長させることができれば、それはすごいことです。

その子の一生にかかわる宝物を身に着けさせることができたということなのです。

そんなやりがいを感じてもらえたらうれしいです。

2歳児は、赤ちゃん時代の集大成期ともいえる年齢です。保育園時代の全てが花開くときが5歳児クラスであるように、2歳児クラスは赤ちゃん時代の全てが花開くのです。

イヤイヤ期はまだ残るものの、とても落ち着いてきて色んなことができるようになる素敵な毎日を、一緒に楽しんでくださいね。