知的障害児施設と聞いて、どんな施設なのかとピンとくる人も少ないかもしれません。
保育士や幼稚園教諭を目指す人は、資格取得の為に実習に行きますが、10日間では施設の全貌がなかなかつかめない事でしょう。
今回は知的障害児施設の特徴、働く際の注意点を紹介していきます。
これを読んで就職・転職を考えている人はしっかりと準備を行うようにしてくださいね。
知的障害児施設の特徴
まず最初に保育園とは違う知的障害児施設ならではの4つの特徴を紹介していきたいと思います。
主な特徴としては
- 夜勤がある
- 学校、家庭との連携・準備 をする
- 送迎がある
- 進路決め
この4つがあります。
夜勤がある
やはり一番大きな違いとなれば、夜勤がある事だと思います。
通所施設と違い、子ども達は学校以外では24時間365日園にいるので、交代で勤務を行います。
早出もありますし、遅出や夜勤など、普通の保育園の勤務形態とは大きく異なります。
また、夜勤という言葉がなかなかピンとこない人もいるかもしれませんが、夜勤は夜勤でやる事が山積みです。
- 子ども達の学校へ行く準備
- 施設の掃除・消毒
- 明日の朝食数(※具合が悪い子がいた場合は病食の数指定)
- 明日の昼食にお弁当がいる場合はそのお弁当の依頼
- 自分の担当児の指導計画案を書く
- 施設に装飾する壁面を作る
- 10分ごとに巡回(※寝ていない子がいれば寝るまで様子を見る)
- 夜間投薬の立ち合い
- 洗濯物
ざっと挙げただけでもこれだけあります。
また、風邪などの児童がいる場合は定期的な検温と様子見、子どもが昼間は話せなかった事を話しに来るなどもあります。
夜勤だからと言ってゆっくり出来る訳ではありません。
酷い時は仮眠の時間を取れない事もあるので、過酷と言えば過酷です。
学校、家庭との連携・準備をする
上記でも軽く触れましたが、知的障害児の子ども達は日常会話を問題なく行えても、計算や読字、そして準備が苦手である場合が多いです。
その為、忘れ物をなくす事も兼ねて保育士が学校へ行く準備を行う所もあります。
そうなると、施設の子どもの人数(少なくても30人以上はいると思います。) をたった一人で準備をしなければいけないのは大変だと思いませんか?
知的障害児施設に通う子ども達は、高校から就業に向けての授業が始まるので、エプロンや長靴などいる物が様々出てきます。
家庭がある子どもの家に連絡し、用意してもらうなど、学校と家庭のパイプになる事も必要です。
行事などもお知らせして、積極的に参加してもらう事が必要です。
そして、職員も勿論行事に参加しなければなりません。
送迎をする
意外に知られていませんが、知的障害児の通う特別支援学校からはバスが出ていますが、自力通学する子もいます。就職する為の社会経験を兼ねているのです。
しかし、状況によっては車で送迎する事もあります。
そうなると、ハイエースなどの大きな車を運転しなければいけなくなります。
保育園は保護者が必ず通園させますし、緊急時以外子どもを載せて運転する事などないでしょう。
そういった所も施設ならではと言えます。
進路決め
子どもの進路を一緒に考えるのも、施設職員ならではです。
知的障害児施設にいる子には以下の進路が考えられています。(※もちろん例外もあります)
- 親許に引き取られる(家に帰る)
- 通勤寮に入って作業所に就職する
- 成人施設に転園する
- 進路はその子の実力ややりたい事を重視しながら決められます。
作業所には誰でも入れる訳ではありませんし、子ども達の得手不得手もありますから、慎重な進路選択が重要になります。
保護者と連絡を取りながら進路は決めますが、保護者の中には作業所の給与欲しさに苛烈な環境下に子どもを置こうとする人もいるので、そこにも見極めが必要になります。
このように通常の保育園とは違う特徴が知的障害児施設には数多くあります。
上記の特徴を知っているだけでもいざ実習にいく場合などでも対応できることもあるので、参考の一つにしてみてください。
知的障害児施設で働く際の注意点
特徴が分かったら、今度は働く際の注意点を紹介していきます。
知的障害児施設には普通の保育園とは違う部分が沢山あるので、自分に適しているかしっかりと確認しましょう。
知的障害だけとは限らない
最近は障害の多様化、更には重複が施設の中で問題になっています。
例えば、精神疾患を持っている知的障害児は精神障害児施設に入れるのか、知的障害児施設に入れるのかで変わってきます。
子どもの様子を見ながら、しっかりと療育出来る環境に置くのが一番望ましいですが、収容人数や職員数の関係で、精神疾患を持っている知的障害児でも、知的障害児施設に収容する事もあります。
他にも、肢体不自由を持っている知的障害児を知的障害児施設で引き取る事もあるので、一概に知的障害児施設が知的障害児だけとは限りません。
ですから、知的障害児施設に就職を希望していても、幅広い障害に対しての勉強や視野が必要になります。
また、知的障害児施設は18歳までの子どもが生活していますが、18歳近くになってもなかなか排泄が自分ではうまくいかない子どももいます。
そこで、職員が排泄物の処理やおむつ替えなどを行わなければいけない事もあります。
大人に近い体格の子どもの支援をしたり、おむつ替えなどはかなり大変なのでコツを掴めるように回数をこなしましょう。
パニック発作に注意
知的障害児の中には、自分のルールを達成できないとパニックになってしまう子もいます。
そして、制止を振り切ろうと暴れてしまう子も中にはいますし、自分の感情を上手にコントロールできずについ手が出てしまう事もあるのです。
子どもの手足が当たって青あざになる事は日常茶飯事と思っていた方がいいと思います。
また、精神疾患を抱えている子どもは、自傷などを行う事もあるので注意が必要です。
自傷を行うとかなり出血したりする事もあるので、そういった光景に遭遇する事もあるのだと心づもりが必要だと思います。
体力がいる
知的障害児施設に勤める職員は何よりも体力勝負です。
知的障害児施設は18歳までの子どもが生活するので、高校生相当の子どもがいると考えてください。
外遊び、園外行事、パワフルな年代の子ども達と過ごすので、体力は必要不可欠です。
体力に自信がない場合は、少しずつでいいですから体力をつける努力を行ってください。
普通の保育園でも、行事前などは帰りが深夜になってしまう園もあると聞きます。
知的障害児施設も同様で、行事の前の日はかなりの遅い帰りになる事もあるので、施設だから残業が無いという訳ではありません。
他にも、休みの日なのに呼び出される事もあります。
- 投薬確認(※自分の担当児の薬の変更やミスがあった場合)
- 子どもが脱走した場合
- 職員が何らかの理由で欠員した場合(※怪我や急病などの緊急時)
施設もどこも経営はきつく、職員も最低限の数しか配置していません。
なので、子どもが脱走した場合は警察消防に加え、職員全員で探します。
それに、休みの日でも携帯が手放せませんし、どうしても施設にすぐ駆けつけられない場所に行く際には主任へと伝えておかなければなりません。
プライベートがなかなか持てないのも辛い所と言えるでしょう。
まとめ
知的障害児施設は特殊な職場とも言えます。常に子どもの安全もそうですが、自分の安全も確保していかなければなりません。
また、子ども達との接し方も、一人ひとりの持つ障害に合わせて変えていかなければなりませんので、常に勉強の日々と言えるでしょう。
向上心を持ち、子どもが大好きでないと務まらない職場であると言えます。
また、夜勤の際には職員の配置が少なくなるので、しっかりと自分で問題に対応し、素早い状況判断を下す事が求められます。
子ども達の将来を決定する一端を握っている事も自覚した上で、その子にとっての最善の道が開かれるように子どもと一緒に努力をする職員になれるように知的障害児施設に就職が決まった人は、頑張ってくださいね。