子どもの成長の1つである排泄の自立。今までオムツで排泄をしていた子どもにとって、自分でトイレに行き排泄が出来るようになることは簡単ではありません。

そのために必要なのが、トイレトレーニングです。子どもがトイレで排泄をする感覚を掴めるようになるまで、周りの大人が根気強く付き合う必要があります。

保育園児にとっては、日中長い時間を過ごす保育園がトイレトレーニングの1番の場所になりますね。

しかしどの成長にも個人差があるように、トイレトレーニングの進み方も個人差が大きく、保育士が頭を悩ませる関わりの1つではないでしょうか?

そこでこの記事では保育士として、沢山の子ども達のトイレトレーニングを成功させる中で培った、トイレットトレーニングの進め方やコツを分かりやすく解説します。

子ども達のトイレトレーニングに悩んだ時には参考にしてみて下さいね。

トイレトレーニングを始める目安とは?

保育園によっては1歳児クラスの夏から始める、2歳児に進級してから始めるなど、時期を決めてトイレトレーニングを行っている園も多いと思います。

保護者がどの位までに、オムツを外したいかという希望を聞き入れて始めることもありますよね。

しかし、子どもの成長に沿わない段階でトイレトレーニングを始めてしまうと、トイレトレーニングが長引いてしまい子どもへの負担となってしまいます。

短時間に何度も誘うことで1度オムツが外れても、結局は排泄の自立には繋がらず、またオムツに戻ってしまうということも…。

トイレトレーニングは子どもの成長を見極めて始めることが1番です。具体的な子どもの様子についてご説明します。

歩行が安定してから始めよう!

トイレトレーニングを始める時の前提は、歩行が安定し自分でトイレまで歩いて行けることです

保育士の「トイレに行こうね」という声掛けを理解し、自分でトイレに行って座ることができるのがトイレットトレーニングの第一歩です。

まだ歩けない赤ちゃんでも、保育士がトイレに座らせて偶然タイミングが合って排泄ができることもあります。

しかし、赤ちゃんはトイレで排泄をしたことを理解していません。それではトイレトレーニングが始まったとは言えませんね。

また、歩行が安定している状態は下半身の筋力が発達している証拠です。下半身の筋力が発達することで、大人が支えなくても便座に座ることが出来るようになります。

この自分で便座に座れるということもトイレトレーニングを始める目安です。

間隔が2時間空いたら始めるサイン

もう1つの目安は膀胱機能の発達です。発達が未熟なうちは膀胱におしっこをためることができません。そのため、排泄の自立は難しいのです。

短時間に何度も誘うことで、トイレで排泄ができることもありますが、子どもの遊びや活動の妨げとなりますのでおすすめしません。

具体的な時間は、おしっこの間隔が2時間以上空くようになると、膀胱機能が十分発達している証拠です。膀胱におしっこをためられるようになっていますので、タイミングさえ掴めばトイレで排泄ができる状態です。

おむつ替えの時におしっこの間隔がどのくらい空いているかということに注目してみて下さいね。

排泄を言葉や仕草で伝えられる?

おしっこが出た時に、「ちっちでた」やおしりを触るなど、言葉や仕草で保育士に教えられるようになることも、排泄の自立です。

子どもが教えてくれた時には、「教えてくれてありがとう」とすぐにオムツを替えてあげて下さいね。

その繰り返しが、排泄前に伝えられるという成長に繋がりますよ。

トイレトレーニングを始めるおすすめの時期

トイレトレーニングを始める時期は、春から夏にかけての暖かい時期が良いでしょう。寒い時期は、大人でもトイレが近くなりますよね。子どもも同じです。

おしっこの間隔が長い時期に始めることで、何度もトイレに行くという子どもの負担が減ります。

また、トイレトレーニング中は何度も失敗があります。その都度着替えをしますので、寒い時期ですと風邪をひいてしまう可能性があります。

お洗濯も増えますので保護者の方にとっても、薄着で洗濯物が乾きやすい春から夏がおすすめの時期です。

ここで注意したいのが、トイレトレーニング中だからと言って水分を控えないようにすることです。暑い季節は特に熱中症が心配ですし、水分を控えることは実はトイレトレーニングにも良い影響はないのです。

トイレトレーニング中に、しっかりと水分を摂ることで、「おしっこをしたい」という感覚を子どもが実感するようになります。お茶や水などの水分をしっかりと摂ってトイレトレーニングに臨みましょう。

いよいよトイレトレーニング

トイレトレーニングを始められる発達段階になったら、いよいよトイレトレーニングを始めます。1番のポイントは焦らず子どものペースに合わせることが肝心です。

子どもの気持ちはその時々によって違いますので、昨日は出来たけれど今日は失敗ばかりということも…。

その繰り返しの中で、徐々にトイレトレーニングは進んでいきます。進める時のポイントをご紹介します。

まずはトイレに慣れることから

まずはトイレに慣れることから始めましょう。トイレは子どもにとって未知の場所ですので、怖がる子どももいます。

怖がってトイレに行きたがらないという時には、子どもが好きな壁面装飾をしたり、好きな歌を一緒に歌いながらトイレに行くこともおすすめです。

子どもにとってトイレが楽しい場所になるように工夫をしてみてください

トイレに座ることができたら、たくさん褒めてあげてくださいね。

午睡明けはトイレのチャンス

睡眠中はオムツが外れにくいイメージがあるかもしれませんが、実は午睡明けはトイレで排泄をするチャンスです。

午睡は夜の睡眠と違って短時間の眠りです。そのため、眠っている間におしっこが出ない子どもも多くいます。

午睡から目覚めて、オムツが濡れていなかったらぜひトイレに行ってみて下さい。量もたくさん出ますので、「トイレでおしっこができた!」という感覚を子どもが持ちやすいこともポイントですよ。

時間を見て根気強く誘う

排泄の間隔が2時間空いていたとしても、おしっこが出るタイミングがトイレに行く時と合わないことが続きます。トイレに行った10分後に出てしまうということも…。

オムツの場合は、自宅ではいつおしっこが出たのかを把握していないことが多いので、登園して初めておしっこが出た時からトイレトレーニングが始まります。

毎日過ごす中で、子ども1人ひとりの排泄の間隔を把握しておきましょう。

時間表を作って、おしっこが出た時間に印を付けても良いですね。その時間を見ながら間隔を計り、おしっこが出るであろうタイミングでトイレに誘います。

初めはタイミングが合わなくても徐々にトイレで出ることが増えていきますよ。トイレでおしっこが出来たことで子どもの自信に繋がり、トイレトレーニングが進みます。

また、散歩前や昼食前、午睡前や午睡後など活動の区切りには必ずトイレに誘ううにしましょう。

保育園は集団生活ですので、徐々に活動の区切りにトイレで排泄が出来るような流れを作ってあげることも大切です。

トイレトレーニング、保護者への伝え方は?

トイレトレーニングは、保育園と家庭との連携が不可欠です。保育園でどんなに頑張っていても、家庭では全く始めていない状態ではトイレトレーニングは進みません。

しかし、子育てと家事、仕事と忙しい保護者にトイレトレーニングを強要することはできません。大切なのは、保育園での様子を詳しく伝えることです

「今日はトイレに座ることができましたよ」「トイレで2回もおしっこが出ましたよ」など、子どもの頑張りと共に、成長度合いも伝えてあげて下さい。

保育園でトレーニングパンツに移行する時には、パンツを用意してもらわなくてはいけませんし洗濯物も増えますので、保護者の意見を聞く必要があります。

トレーニングパンツに移行することへの了承を得たら、トレーニングパンツと着替えを何枚用意したら良いのかを子どもの様子を踏まえて伝えてあげてくださいね。

トレーニングパンツに移行してからは、トイレで排泄が出来た時間とパンツに出てしまった時間を連絡帳などに記載しておくと良いでしょう

保育園でしっかりと対応してくれていることが分かりますし、休みの日にトイレに誘う目安になります。

反対に、早すぎる段階でのトイレトレーニング開始の要望があった時には、子どもの成長段階を踏まえた適切な時期を伝えましょう。

それでも納得してもらえない時には、1日に1回はトイレに座るなど子どもの負担にならない方法を提案してみて下さい。

トレーニングパンツにするタイミング

トイレで排泄が出来ることが増えてきたら、トレーニングパンツの移行を考えましょう。

保育時間にもよりますが、具体的には午前中に1回、午後に1回程度はオムツに出てしまうけれど、その他はトイレで排泄が出来る状態でしたらトレーニングパンツにすることをおすすめします。

トレーニングパンツにすることで、おしっこで濡れて気持ちが悪いという感覚が分かりトイレトレーニング完了へと近づきます。

2歳児以降で、夏の暖かい時期、そして洗濯物が増えても良いという保護者の了承を得ることができれば、それ以上にオムツに出てしまっていてもトレーニングパンツに移行することもあります。

オムツの時には出てしまうことが多くても、トレーニングパンツにした途端にトイレで出来ることが増える子どもも…。トレーニングパンツになるとお兄さん、お姉さんという嬉しさが子ども達にもあるのでしょうね。

いよいよトイレットトレーニング完了へ

トレーニングパンツに慣れ、時々失敗はするものの、ほとんどトイレで排泄ができるという状態になったらトイレトレーニングまであと少しです。完了への流れを見ていきましょう。

誘わないで子どものタイミングを待つ

トイレトレーニング中は保育士が誘うことが多いですが、完了に向かうためには子どもが自分から排泄を伝えトイレに行く必要があります。

「おしっこに行きたい時は教えてね」と話をして、保育士はあえてトイレに誘いません

排泄を伝えるのが遅く、トイレに間に合わないなどの失敗もありますが、段々と伝えるタイミングやトイレに行くタイミングが子ども自身で分かっていきます。

自分で排泄を伝え、トイレに行けるようになったらトイレトレーニングは完了です。

トレーニングパンツから普通のパンツに移行しましょう。

ただ、散歩前や午睡前はすぐにトイレに行けない場合もありますので、今まで通り一斉にトイレの時間を設けることをおすすめします

自分でできたことを一緒に喜ぶことが重要

トイレトレーニングの完了には、子どもが自分でできたことを保育士が一緒に喜ぶことが重要です。褒めるのではなくて一緒に喜ぶことで、「自分でトイレに行っておしっこができるのは嬉しいことなのだ」と子どもが実感できるからです。

保育士として、子どもの成長を一緒に喜んであげてくださいね。

まとめ

トイレトレーニングというと、身構えてしまう方もいると思います。しかし子どもの発達段階を理解し、子どものペースに合わせて進めて行くことで、子どもにも保育士にも負担が少なく進めることができます。

子どもの気持ちによっては、行きつ戻りつすることもありますが、他の関りと同じように子どもの気持ちに寄り添って援助してあげたいですね。

そして、トイレトレーニングについて悩んでいる保護者には、プロの保育士として適切なアドバイスをしてあげてくださいね。