小学生が放課後などを安全に過ごすための場所として必要な学童保育。

小学生と関わるということを考えると保育士資格は関係ないように感じますが、実はそうでもないのです。

子どもと関わるプロである保育士は、学童保育でも求められています。

そこでこの記事では、学童保育とはどの様な場所なのか?そして保育士資格を活かして学童保育で働くということは?など、学童保育について詳しく解説していきます。

また、選べる働き方や平均的な給与も紹介するので、学童保育で働くことを考えた時にはぜひ参考にしてみてください。

学童保育とは?

学童保育とは、共働きなどが理由で放課後や長期休暇(夏休みなど)に保護者が自宅にいない子どもが、集団で安全に過ごすための施設です。

児童が安心して過ごせる場所であると共に、健全な育成を目的としています。

遊びが主な活動として、その中で情緒の安定、自主性や社会性を身に着けられるように手助けをします。

管轄は厚生労働省で、正式名称は「放課後児童健全育成事業」です。地域によって「学童クラブ」や「学童保育」など呼び方は様々ですね。

学童保育の種類は主に3つ

学童保育には大きく分けて3つ種類があります。

  • 公設公営…自治体が直接運営する
  • 公設民営…自治体が民間に運営を依頼する
  • 民設民営…社会福祉法人やNPO法人などが独自に運営をする

現在は公設公営と公設民営が大きな割合を占めていますが、共働き家庭が多く学童保育が足りない現状の中で民設民営も増えてきています。

学童保育を利用できる条件

自治体が直接運営をする公設公営と自治体が民間に運営を依頼する公設民営では、保護者の共働きなどが理由で放課後に自宅にいられないということが条件になります。

そのため、勤務証明などの自宅にいられない証明が必要です。

民間が独自に運営している民設民営の学童では、特に条件はありません。

時間内に習い事ができる学童もありますので、習い事をするために保護者が自宅にいても利用する場合もあります。

学童保育は何歳まで利用できる?

厚生労働省が発表した「放課後児童クラブ運営指針」によって、平成27年4月1日から、小学校1年生から6年生までの小学校に通う全児童が対象となりました。

それ以前は、小学校1年生から3年生までが対象でしたので、学童保育を利用する保護者の中では小4の壁とも呼ばれていたのです。

平成27年4月1日以前も、小学校4年生以上が利用してはいけないという訳ではありませんので、自治体によっては受け入れを行っている場所もありました。

しかし、利用する児童が多い学童では4年生以上は利用できないことが現状でした。

全ての学年が利用対象になったことは、子どもと働く保護者がより安心して過ごせる環境作りの第一歩となっています。

学童保育の仕事内容

学童保育には子ども達が安全に安心して充実した時間を過ごせるように、必ず一定数の学童保育指導員が配置されています。

小学校生活の延長で「先生」と呼ぶ場合もあれば、第2の家庭としての意味合いを込めてあえて先生と呼ばない場合もあり、子ども達からの呼び方は様々です。

子どもが安心できる環境を整え、家庭と連携して子どもの成長を見守る学童保育指導員。

具体的な仕事内容を見ていきましょう。

1番の仕事は遊びを通して子どもと関わること

学童保育の主な活動は遊びです

室内でじっくりと遊べるような折り紙や工作、友達と一緒に遊べるボードゲームやトランプ。

小学校内に学童が設置されている場合には、校庭を使ってドッジボールなどの集団遊びも行います。

遊びの設定、そして安心して遊べるように子ども達を見守ることが学童保育で働く職員の1番の仕事です。

遊びの内容によっては職員も遊びの中に入り、子ども達にルールを教えます。

子ども同士のトラブルがあった時には、子どもが自分達で解決できるように見守り、必要があれば仲裁に入ります。

コマ回しや竹とんぼなどの昔の遊びを取り入れ、職員が遊び方を伝えることで遊びを広げる工夫をしている学童保育もあります。

自主学習の見守り

学童保育指導員は、基本的には子どもに勉強は教えません。しかし、宿題などの自主学習の見守り行います。

学童保育は集団生活ですので、遊びの時間、学習の時間とスケジュールを決めて活動することが多く、そのスケジュールを作ることも学童保育指導員の仕事です。

学習の時間には子ども達に声を掛けて、学習環境を整えます。

夏休みなど長期休みは、宿題も多いので学習の時間を多く設けている学童保育もあります。

おやつの提供

ほとんどの学童保育では、おやつが提供されます。

子ども達は、小学校が終わってからすぐに学童保育を利用しますので、おやつは補食として大事な意味を持つからです。

市販菓子が提供されることが多いですが、時には食育の一環として子ども達と一緒におやつを作ることもあります

学童保育には栄養士や調理師はいませんので、おやつの提供も学童保育指導員の仕事です。

行事の計画を立てる

学童保育では、クリスマス会や餅つきなどの季節の行事や遠足やキャンプなどの学童保育の施設外で行う行事など、意外と多くの行事があります。

行事の種類や量は学童保育によって違いますが、これらの行事を計画、実行することも学童保育指導員の仕事です。

会議で計画を立て、準備が必要な行事に関しては子どもと一緒に準備をします。そして、保護者参加の行事や家庭で用意してもらう物がある時には、手紙で保護者に伝えます。

行事の計画は大変ですが、子ども達の楽しそうな顔は次への意欲に繋がりますよ。普段はなかなか会えない保護者との関りが持てる良い機会ともなります。

保護者コミュニケーション

学童保育を利用する子どもの保護者との関り大事な仕事の1つです。

学童保育によっては、保護者会を開き学童保育の様子を伝えたり、保護者の意見を聞く場を設けている所もあります。

保護者会以外でも、子どもの気になることは保護者に伝え、家庭での様子も聞くなど、家庭との連携をとることでより良い子どもへの働きかけが可能となるのです。

保育士資格で学童保育の職員になれる

学童保育指導員として働く際に、必須となる資格はありません。

しかし、平成27年に厚生労働省が発表した学童保育の基準によって各学童に必ず1人は放課後児童支援員を配置することが義務付けられました。

放課後児童支援員となれる条件の1つに保育士資格を持っているということが挙げられます。

その他にも社会福祉士の資格を持っているなどいくつかの条件があります。そのどれかを満たしている人は、各自治体が実施する研修を受講し学童保育で放課後児童支援員としては働くことができるのです。

放課後児童支援員は児童に適切な支援をすると共に、他の学童保育指導員への指導も担当します。

保育園での未就学児との関りと、学童保育での児童との関りとでは違う部分ももちろんあります。しかし、子どもに愛情を持って接し、一緒に遊び、成長を見守るという意味では同じです。

各学童に1人という基準以上に、資格を有している職員を雇っている学童保育もありますので、保育士資格必須保育士資格優遇という求人が多いことも事実です。

保育士資格は学童保育で働く際に有利な資格であると言えるでしょう。

常勤?非常勤?選べる働き方と平均的な勤務スケジュール

学童保育指導員には

  • 常勤として働く
  • 非常勤として働く

という2つの働き方があります。

働きたい時間帯や仕事内容によって、働き方を選べることも学童保育で働く際のメリットですね。

それぞれの勤務スケジュールを通して見ていきましょう。

常勤職員の場合

学校が開校している日と、休校日(土曜日や長期休み)によって勤務時間が異なります。

学校が開校している日は10:00~19:00というところが多いようです。

中には19:15や19:30まで利用可能な学童もあります。

その分勤務開始の時間が遅くなったり、勤務開始時間はずらさずに10:00から19:30の間でシフト勤務をするなど、施設によって様々です。

子ども達がいない時間帯は

  • 施設整備
  • 事務作業
  • 保育計画
  • 行事計画の立案
  • 職員会議

などを行います。

小学校が終わり児童が利用できる時間帯には、子どもとの関りが主な仕事です。

休校日は8:00~19:00の中で2交代制。8時間勤務というところが多いです。

中には7:30から利用できる学童もあり、利用できる時間帯によって職員の出勤時間も変わります。

土曜日も利用できる学童がほとんどですので、交代で出勤をします。土曜日に出勤した場合には平日に振休を取得し、週休2日制が一般的です。

参考URL:https://www.hellowork.go.jp/member/search01.html

非常勤職員の場合

非常勤職員の場合は、小学校が終わり児童が利用する時間帯が主な勤務時間です。

子どもが利用できる時間帯によって

  • 14:00~19:00
  • 14:15~19:15

という時間の設定が多くなります。

中には、8:00~19:00までの時間帯で4時間、自分で働きたい時間を選べるという学童保育もありますので、時間帯を希望することも可能ですね。

参考URL:https://www.hellowork.go.jp/member/search01.html

夏休みなどの長期休みには職員が多く必要ですので、その期間限定でパート職員を雇うという施設もあります。

学童保育で働く職員の給与の平均

学童保育で常勤職員として働く人の平均給与は、月収15万円から20万円のところが多いようです。その他に賞与が支給される場合もあります。

働く地域や経験年数によっても違いますが、保育士の給与と同じくらいと考えて良いでしょう。

保育士の給料は低賃金?それぞれの保育園の平均給料と政府の対策

すでに学童保育での勤務経験があり、リーダー候補や施設候補として働く時には、月収25万円から30万円という求人もあります。

その分責任も重くなりますが、学童保育指導員としてのキャリアを積み、より高い収入で働くことも可能です。

非常勤職員として働く場合には、時給制で賞与は支給されません。

時給は900円から1000円程のところが多く、1日4時間、週5日働いたとしたら、月収は72,000円から8万円となります。

非常勤職員の時給は、パート勤務の保育士よりも若干低いという印象を受けますね。

学童保育の求人を探す時には、自分が働ける勤務時間帯と仕事内容、収入を考慮して常勤として働くのか、非常勤として働くのかを選ぶことから始めてみて下さい。

まとめ

保育士資格を活かせる職業の1つである学童保育。

時には子どもへの対応で悩んだり、小学生という多感な時期であるからこそ関わりが難しいという面もあります。

しかし、毎日の関わりの中で子どもの成長を感じ、子どもから元気をもらえる仕事でもあります。

子どもにとって身近な大人として、慕われることは大きなやりがいにも繋がります。

働く保護者と子ども達の強い味方である学童保育指導員。ぜひ保育士資格と経験を活かして小学生と関わってみませんか?