子どもたちがのびのびと描く絵は、その瞬間ではないと描けない絵です。
そんな子どもたちの絵が、より華やかに、また絵を描く楽しさを更に味わってもらえるよう工夫をしていくと、製作が楽しくなります。
是非、子どもたちの素敵な絵を、更に素敵に作り上げられるよう工夫してみてください。
技法とは(絵描)
主に技術的な手法や方法のことを意味します。
絵の具を使ったり、技法によってはこすったり、揺らしたりと色々な方法を使って取り組んでいきます。
子どもが主に製作に取り組んでいくので、子どもたちが楽しんで取り組める技法の範囲は限られていますが、様々な技法があるので紹介していきます。
子どもが取り組む技法(初級編)
まずは年齢が小さい子から取り組める簡単な技法をまとめてみました。
はじき絵
この技法は一番取り組みやすい技法です。絵の具を使用できる年齢であれば、どの子も取り組めます。
準備するもの
- クレヨン
- 水に溶かした絵の具(薄めに)
- 画用紙
はじき絵のポイント
- 画用紙にクレヨンで絵を描きます。
- 絵を描いた画用紙に水で溶かした絵の具を塗ります。
クレヨンは絵の具をはじくので、クレヨンで描いた絵が消えずに色塗りをすることができます。
背景として絵の具を使用して塗るのでも可能ですが、細かい絵をクレヨンで塗り込まずに絵の具を使用していくとより鮮やかになります。
また用意した絵の具を塗っていくことも可能ですが、子どもが配色することを楽しむという目的を入れることも可能です。
実際に子どもが絵の具を混ぜて取り組んでいくことも、また違った楽しみの一つになります。
吹き絵
こちらの技法は簡単ですが、吸い込まないように声掛けをする必要があります。
準備するもの
- ストロー
- 水に溶かした絵の具(薄め)
- 画用紙
吹き絵のポイント
- 画用紙に絵の具を垂らします。
- 垂らした部分をストローで吹きかけます。
勢いよく吹きかけたり、そっと吹きかける等、少し工夫していくことで、形が全く異なります。
また、様々な色を用意しておくと、色鮮やかな作品が出来上がります。
野菜スタンプ
スタンプは技法?と思いがちですが、実は技法一つです。
準備するもの
- 切った野菜
- 水に溶かした絵の具(濃いめ)
- 画用紙
野菜スタンプのポイント
- 野菜スタンプに絵の具を付けます。
- 画用紙にスタンプしていきます。
野菜のスタンプだと、食育にも繋がりますし、楽しく製作に取り組めます。
絵の具は濃いめに作っておくと、形がはっきり出るのでおすすめです。
また野菜だけではなく、廃材だったり、子どもとスタンプになるようなものを探してみてもいいかもしれません。
子どもが取り組む技法(中級編)
次に少し時間をかけて取り組む技法を紹介していきます。
スポンジ絵の具
やり方は単純ですが、力加減や色が平等につくように意識しなければならないので少し配慮が必要です。
準備するもの
- スポンジ
- 水で溶かした絵の具(濃いめ)
- 画用紙
スポンジ絵の具のポイント
- スポンジに絵の具を塗ります。(2色以上)
- 画用紙にスポンジをスライドさせます。(縦に塗ったら縦に動かし、横に塗ったら横に動かす。)
3色以上の絵の具を塗ると、虹のように綺麗に描くことが出来ます。
また川や土、レンガをイメージしたい時は同色で、濃さを3段階にしていくとより立体感が出せます。
スポンジをスライドさせる時は、手を開いて、手の平で押すようにスライドさせると色が均等につきやすくなります。
マーブリング
専用の絵の具を使用して行うものです。
色の変化が水上で見れるので、普段の製作と一味違う体験ができます。
準備するもの
- マーブリング用絵の具
- マーブリング用水溶液
- 画用紙
- 竹串
- トレイ
- 新聞紙
マーブリングのポイント
- マーブリング水溶液と水を1対1の割合でトレーに入れ混ぜます。
- 専用インクをよく振り、そのままトレーに垂直に垂らします。
- 3~4色程度垂らしたら、竹串でゆっくり水面をなでるように模様を作ります。
- 模様が完成したら、空気が入らないように画用紙などを浮かべます
- 4隅をしっかり浸し、画用紙の手前を持ってゆっくり引き上げ、新聞紙の上に置き、乾かします。
マーブリングでは、激しく竹串を動かすと気泡が出来てしまったり、模様がぐちゃぐちゃになってしまいます。
その為ゆっくりと丁寧に行うことがコツで、声掛けが必要となります。
また3歳児~5歳児辺りであれば落ち着いて取り組める事ができます。
応用として翌日にマーブリングした画用紙をハサミで色々な形を作ると、作品の見栄えが更に良くなります。
デコルコマニー
取り組み内容はとても簡単なのですが、力加減や形の半分を描くといった内容なので、理解のある年齢で取り組む技法となります。
準備するもの
- 画用紙
- 絵の具(ほぼ原液の状態にし、少量の水を入れる)
デコルコマニーのポイント
- 画用紙を半分に折ります。
- 真ん中に折り目がついたことを確認します。
- 真ん中の線を基準に、半分の画用紙に形の半分(丸だったら半円)を絵の具で描きます。
- 画用紙を半分にし、反対側の画用紙にも色がつくようぎゅっと押します。
- 画用紙を開くと、反対側に色が付き、一つの形が出来上がります。
絵の具はなるべく濃いめで、原色の方がはっきりと形が出ます。水分が多く含まれてると形にならないことがあるので注意して下さい。
また、しっかりと画用紙を合わせないとズレが出てくるので、声掛けをしっかりと行えるようにして下さい。
子どもが取り組む技法(上級編)
次に技法の中でも難易度が高いものから、時間をかけて取り組む技法を紹介します。
やり方によっては3歳児でも取り組めるものもありますので、やり方を工夫して行ってみて下さい。
スクラッチ(ひっかき絵)
根気のいる技法となりますが、楽しさを分かればのめり込んで取り組む事ができます。
準備するもの
- 画用紙
- クレヨン
- 竹串
スクラッチのポイント
- 画用紙に線を5~6本程度描きます。(同じような間隔で線を引く。横、縦、斜め何でもok)
- 線を描いた中を塗り込みます。(一色だけでなく、様々な色を使うとより良い)
- 塗り込んだ後に、黒色のクレヨンで全て上から塗りつぶします。
- 竹串で好きな絵を描きます。すると虹色のような絵が彫れます。
線が多すぎてしまったり、塗り込んでいく一色の間隔が狭すぎてしまうと、時間がかかり、子どもも飽きてしまいがちです。
その為ある程度の大きさを指定し、負担にならないように配慮していくことが大切です。
また、せっかく色を塗った上に黒色で塗りつぶすことに抵抗がある子も少なくないでしょう。
その際には「マジックのように絵が描けるんだよ。」等といった声掛けをすると、次のステップに期待が持てます。
版画
細かい製作内容なので、時間もかかりますが、見栄えがとても良い作品を作ることが出来ます。
準備するもの
- 画用紙➁
- コピー用紙
- ローラー
- 水に溶かした絵の具
- ハサミ
- 鉛筆
- のり
版画のポイント
- 画用紙(少し厚め)を好きな形に切ります。
- 切ったものをコピー用紙にのりで貼り付けていきます。
- ローラーに絵の具をまんべんなくつけます。
- 2のコピー用紙に絵の具をつけていきます。(のりが乾いたら行う)
- 2のコピー用紙の上に画用紙を乗せ、平らな物でこすります。すると、絵が画用紙につき、出来上がりです。
絵の具はしっかりとつけていき、こすりが弱いと絵が出ないのでしっかりとこするようにして下さい。
取り組む前に、どのような絵を描くか考えてから取り組むと、しっかりとした形のある絵が描けます。
まとめ
様々な技法を紹介してきましたが、アレンジすることによってより良い作品が生み出せます。
紹介したのは一部であって、製作というものは子どもから新たな発想が出てくるものです。
全てこちらが指導するのではなく、子どもに意見を聞いてみる時間を作ってみるとまた楽しみが増え、喜んで取り組むようになります。