全国に約68万人とも言われる潜在保育士。

保育士は離職率の高い仕事とも言われています。

全国的に保育士に不足が懸念されている中、復帰しない、復帰したくてもできない、そんな人が多いのはなぜでしょう?妊娠、出産を機に退職された人も多いことと思います。

実際に私もその一人です。もちろん、他の理由で退職された方もたくさんいるとは思いますが、今回は、子育てをしながら復帰に悩む保育士についてまとめてみました。

抱える矛盾

子育てしながらの仕事がどれだけ大変か、それはどの職業でも当てはまることかもしれません。

しかし、保育士への復帰を悩んでる方の心の中には、更にいろいろな葛藤があると思います。

可愛い我が子を他人に預け、自分は保育士として他人の子どもを預かる。そんな矛盾を受け入れられない方も多いのではないでしょうか。

それならいっそ、自分が家にいて子どもを見た方がいいのでは、そんな考えもよぎってしまいますよね。

特に子どもが小さいうちは自分で見たい、共に成長を喜びたい。

子どもが好きで保育を志した者ならば、きっと誰もが一度は思うことでしょう。この矛盾は保育士ならではの悩みだと思います。

保育士の働きにくい環境

最近は24時間対応の無認可の保育園も増えてきたとはいってもまだ数足らずなのが現状。

保育園の開園時間が7〜19時前後が多いです。

さあ、保育士ママが保育園に子どもを預けます。

自分は居残り当番で19時まで仕事。子どもの保育園は19時までしか預かれない。

旦那も仕事で迎えに行けず、他に頼る人もいない。それでは困ります。

では、自分の働いている園に預けることにしましょう。

自分の出勤退勤に合わせて子どもを送迎する。これなら一見楽そうですよね。

しかし、落とし穴があります。運動会、発表会、遠足等の行事に、ママとして参加できません。

職員てとして参加しなければならないのです。

そばにいるのに、十分に我が子を見ることができない。辛いですよね。

保育士に正社員で復帰するには、周りのサポートが不可欠です。

誰も頼る人がいない人は正社員を諦め、短時間パートや非常勤にならざるを得ない状況です。

過酷な職場環境

約20万円と言われている保育士の月給。

でもそれは公立を含めての話で、私立では手取り15万円満たないとこもざらにあります。

子どもを預けている人は保育料をひくと、わずかしか手元に残らないことでしょう。

その割に重労働。子どもの命を預かる責任はとても重いものです。

常に目が離せない、神経を使います。時には保護者からの苦情を言われることも多々あります。

乳児クラスだと、1日中に抱っこしていることもあります。

年長クラスだと1時間走りっぱなしなこともあります。

体力もいります。子どもからの感染症をもらうリスクもあります。

妊娠中の保育士で抗体をもっていない人は、風疹が流行ったら仕事を休むように産婦人科の先生から言われたという話も聞いたことがあります。

プライベートでどんな辛いことがあろうが、子どもたちや保護者には笑顔で接しなければいけません。

精神面の強さも必要です。

子どものお昼寝中に日誌を書き、職員会議をし、休んでる暇はありません。

勤務が終わっても壁面製作。

膨大な量の書類、製作物、持ち帰りの仕事の山。特に行事前になると非常に多忙です。

賃金に見合わない仕事量です。

また、有給があってもなかなかとれない現状があります。

特に一人担任の職員は非常に休みづらいです。

そのため、復帰の道ではなく、転職をしてしまう人も多いのです。

その一方で、子どもからの笑顔に癒される、成長を共に喜べる非常に誇らしい仕事だとわたしは思います。これは他の仕事ではなかなか感じられないことですね。

無資格で保育現場へ

最近、保育士不足を解消するために無資格で保育に携わることができるようになるというニュースが世間を騒がせています。

賛否両論あるかと思いますが、私は反対です。

保育の仕事をなめないでほしいです。

勉強を積み重ねる、実習を繰り返し、やっとなれる保育士。国家資格であることが誇りです。

それを無資格という発想は、現場のことを全く理解できていないとしか思えません。

子どもが遊んでいるのを見ているだけではないんです。

自分の子どもを躾けるのともわけが違います。もし怪我や事故があったら責任は誰がとるのでしょうか。

おそらく有資格者の保育士ですよね。仕事量が増え、益々負担が増えるだけです。政府のすべき対応はそこではない。『とりあえずの数合わせ』なんて必要ありません。

政府に求められる政策

まずは、復帰したくてもできない潜在保育士へのサポートが優先ではないでしょうか。

一番優先してすべきことは賃金の底上げ。それだけでも復帰の道を選ぶ人がいるかと思います。

人数が増えれば一人一人の負担も減ります。

時短勤務が可能になったり、代休がとれたりできるようになるかもしれません。

余裕ができると、保育士も笑顔が増え、子ども笑顔が増える、プラスの循環になるかもしれません。

政府には保育現場の生の声をきいてもいたいです。

現役保育士や潜在保育士にアンケートをとるべきだと思います。

公立の保育士とだけでなく、低賃金で必死に働く現場の声に耳を傾けるべきです。おそらく、みんな口を揃えて賃金の底上げを望むことでしょう。

わたしは、保育士として復帰したい気持ちがあるけれど、躊躇してしまっています。

先ほどの矛盾を抱え、自問自答しています。働くならば別の仕事の方が良いのではとも考えました。

しかし、夢見た職業だからこそ、簡単に諦めたくない気持ちがあります。

たくさん悩んでたくさん迷い、今少し、復帰へ向けての気持ちが高まりつつあります。

保育士という仕事は本当に大変仕事です。相手が生身の子どもなので、目に見えて成果は現れないかもしれません。

しかし、昨日できなかったことができるようになる瞬間、小さな成長ひとつひとつを共に喜ぶことができる素敵な仕事です。

少子化がすすむ一方で、働く親は増え、保育園、保育士は足りません。

保育士に求められることは増えています。

復帰したくてもできない人が少しでもいなくなると同時に、保育の現場を離れてしまう人が少しでも減ることを願っています。

これからの政府の対応に注目していきたいですね。