職業には向き、不向きがあります。
これから保育士をめざそうと思っている方、また、ペーパー保育士が、復帰しようとする場合もあるでしょう。
現在、仕事を続けながらも、自分の適職性に悩んでいらっしゃる方もいるでしょう。
一般的に、保育士としてすばらしいという評価を得ている先生方には、どんな共通点があるのでしょうか。
今回は、すぐれた保育士の特徴を、まとめてみようと思います。
保育士に向いている人の特徴
こころから、子どものことが大好き
子ども好きは大前提ですが、保育士の主な仕事は、子どもの成長を支えることです。
また、大事な仕事の一つに、保護者を支えることがあります。
ですから、ただの子ども好きだけでは成り立たない仕事だということは分かると思います。
保育士のプロであるとは、子どもの発達段階に応じてねらいを設け、短期目標・長期目標、プログラムを作成し、さまざまなレベルで多岐にわたりその成長をサポートすることです。
時に厳しく、子どもの気持ちを受けとめ、自立を促す必要があります。
かわいい子どもの姿を見るのが好きなだけでは勤まりません。
子どもたちの成長を見ることが喜びであれば、仕事にやりがいを見出すことができるでしょう。
子どもがかわいいからと言って、つい甘やかしてしまうということではいけません。
子どもの学びのために何ができるかを常に考えていなければなりません。
日々の生活の中で、子どもはよく熱をだし、体調がすぐれず愚図ることもあります。
そうした子どもの体調を察知し、よく状況を観察し、把握し、臨機応変に対応することが求められます。
場合によっては、専門機関や親との連携を図る必要もあります。
子ども、親、地域、といった幅広い世代とのコミュニケーションが得意である必要があります。
そういうことが、園児の為に苦労なく出来る必要があります。
体力があり、体調管理ができること
保育士の仕事は、はっきりいって、力仕事です。
子どもたちを抱き上げ、抱っこやおんぶ、重い荷物の移動、掃除・洗濯などもあります。
実際、入社早々、腰痛や慢性疲労などで、ダウンする保育士多いのが現状です。
ですから、体力があることは、保育士にとって、たいへんな強みになります。
合わせて自己管理がきちんとできることも大切です。
保育の現場は、感染症などが発生しやすいですから、体調を崩さないように、栄養バランスや睡眠といった体調管理に注意し、ストレスを溜めない工夫が必要です。
そうした自己管理が出来る人は、保育士に向いているといえます。
事務作業が得意で文章が書くのがおっくうでないこと
保育士業務には、実は、多くの事務作業がともないます。
日報、日案、週案、月案や個別の指導計画、連絡帳に園だよりなど、たくさんの書類作成業務があります。
問題が発生したときには、速やかに始末書を提出する必要もあります。
日々取り組んでいるうちに、慣れていくものではありますが、読みやすく、わかりやすい文章を丁寧な文字できれいに書くことは心がけましょう。
OJTで力をつけていくことはできます。
これも子どもが好きで、熱意さえあれば、自然と身についていくものだとは思います。
しっかり子どもを観察し、自分が見たこと、聞いたこと、確認した事実を正確に保護者に伝えることができれば大丈夫です。
うまく文章表現できなくても、誠実な文章であれば伝わると思います。
わかりやすい文章を心がけましょう。
コミュニケーション力
保育士にとって、子どもの保護者への対応も重要な仕事の1つです。
保育を必要とする保護者にとって、預け先の保育園は、子どもを預かってくれるサービス機関です。
以前は、保育園は、行政措置により保育に欠ける子どもを預かる福祉機関というイメージがありましたが、現在は、親が保育園を選び、サービスを受ける側です。
そこをわきまえていないと「謝り方がなってない」「態度が悪い保育士」といったクレーマーにひどい目にあわされる羽目になります。
先生としての立場もありますが、最低限の接客の礼儀はあったほうがよいでしょう。
気持ちの良い挨拶ができる保育士に反感を持つ人は少ないと思われます。
親を受容し、気持ちに寄り添い、支援するのが保育士の役回りです。
毎日、仕事をしながらの送り迎え、子どもが熱を出せば職場を早退しなくてはならず、親の立場も理解する必要があります。
若い保育士の場合、親の方が遙かに人生の先輩だったりすると、難しい場合もあるかもしれません。
それでも、謙虚な態度で、自分らしく誠実に対処すれば、かえって好感をもたれたりもします。
そこで、相手をみて、気配りし、それをことばで適切に表現できるコミュニケーション力が、保育士に必要な技術の一つになってきます。
ポジティブマインド
体力を使い、その合間の事務作業もあり、コミュニケーション力も必要とされる職場です。
人間関係に悩むこともあれば、保護者とのトラブルに頭を悩ませることもあるのが保育士としての日常です。
人間を扱う職業ですから、計画通りにならないことも多々あります。
自分を責めたり、必要以上に落ち込んだりといった傾向が強い人には向いていません。
常に、ものごとを前向きに、客観的に捉える事ができる能力が必要です。
ポジティブに考え、臨機応変に対応できる人は保育士に向いていると言えます。
とはいえ、人間はストレスがたまると、心や体が反応し、イライラした気持ちになったり、落ち込んだり、疲れやすくなったり、元気が出なくなったりします。
そして、ストレスがコントロールできないほど蓄積されると鬱状態になり、離職に追い込まれるようなこともあります。
自然にストレスを解消できることが一番ですが、ストレスだとの自覚がない人もいます。
自分の状況を客観的に見て、仕事がどんなに忙しくても、プライベートはリラックスして、気分転換を図る能力も必要です。
ポジティブマインドは、経験によって培われる部分もありますが、保育士という仕事を続けていく上で、好ましい資質であり特徴であるといえるでしょう。
感動する力
子どもたちは、日々さまざまなことに心を動かし、気づき、多くを学んでいきます。
それを見守る保育士には、子どもたちの心の動きに寄り添える感性が必要です。
私たちは大人になり忙しくなると、ついつい、季節や、町のようすの変化を、見過ごしてしまいます。
自然を観察する力、ささいな変化に敏感に気づく感受性、小さなことにも感動することができる感情の豊かさは、保育士にも必要です。
ピアノや絵の才能、工作などの創作力は、あればそれに越したことはありません。
けれども、そういった技術面よりも、きれいなものに感動し、人の心に寄り添えるような感性の豊かさこそが、子どもを育てる保育士にはふさわしく、必要な資質です。
まとめ
保育士は誰もがなれる職業ではありません。
きっと、転職するにしても、復職するにしても、保育士を継続される方は、以上のような適性をお持ちではないかと思います。
けれども、上でご紹介した保育士としての適性は、あれば望ましい資質ですが、必ずしもそれがなければ転職できないということではありません。
保育士としてのキャリアを積んでいくなかで、磨かれていく部分もあるでしょう。
まずは、子どもたちの為に、苦労を乗り越えてでも、保育のプロとして勤め続ける覚悟があるかどうか。
それほどに、子どもが好きといえるかどうか?
その点に尽きると思います。
更にステップアップしていく際の参考にしてください。