赤ちゃんや子どもを預かり、お世話をする託児所。
子どもを預かる施設ということは分かるけれど、保育所との違いや細かい保育内容については、分からない方も多いのではないでしょうか?
一言に「託児所」と言っても、特徴は様々です。保育所の様にカリキュラムがある託児所もあれば、決めった時間を子どもが安全に楽しく過ごすことを目標に運営している託児所もあります。
この記事ではそんな子どもと関わる仕事の1つである託児所とはどんな場所なのか?保育士資格は必要あるの?
という疑問や仕事内容、気になる平均給与について紹介します。
託児所で働くことを考えた時には参考にしてみてくださいね。
託児所とは?
託児所とは「乳幼児が安全に過ごせる環境を整え託児をする施設」です。
ちなみに託児所にも種類があり、その種類は大きく分けて2種類あります。
- 保育園のように毎日の保育カリキュラムがあり、継続して子どもを預かる施設
- デパートや美容院、イベント会場などで一時的に子どもを預かる施設
この2種類の託児所は役割や保育内容が大きく違います。詳しく見ていきましょう。
認可外保育園としての託児所
まずは、1つ目の保育園のように継続して子どもを預かる託児所です。認可外保育園や無認可保育園と呼ばれ、保育所と同じような役割があります。
認可外保育園がなぜ託児所と呼ばれるかと言うと、厚生労働省に認可された保育所ではないからです。
認可保育所となるには、子どもの人数に対する保育士人数や面積などの細かい基準があります。
その基準を満たさない施設は、保育所に該当しない保育施設。いわゆる託児所や認可外保育園と呼ばれるのです。
しかし、認可外保育園に対する基準が全くないかというとそうではありません。
2001年に定められた「認可外保育施設指導監督基準」によって、認可外保育園にも子どもの人数に対する保育士人数や面積が定められました。
子どもの定員が6名以上の認可外保育施設は、この基準を元に設置の届け出が義務付けられ、行政の立ち入り検査もあります。
認可保育所の基準よりもゆるく設定されていますが、認可外保育園のより良い環境作りの第一歩と言ってもいいでしょう。
認可外保育園によっては、保護者のニーズに合わせた24時間保育や、バイリンガル教育が受けられる施設など、認可保育所とは違う基準を活かした特徴を前面に出している施設もあります。
認可保育所に落ちてしまった時に利用できる選択肢として、また保護者の仕事に合わせた利用や子どもに受けさせたい教育を選んで利用できる保育施設としての役割を担っているのです。
また、認可保育所に入所する条件である、(共働きなどで)保育に欠ける子どもでなくても利用ができることも特徴です。
集団生活に慣れるためや保護者の妊娠、出産の際に短期間利用するケースもあります。
子どもを預かる施設という以上の役割を持った認可外保育園。託児所の1つの形です。
一時的に子どもを預かり託児をする託児所
2つ目はデパートや美容院、イベント会場などで保護者の買い物中やイベント参加中に一時的に子どもを預かり託児をする託児所です。
こちらの方が託児所としてのイメージが強いかもしれませんね。
商業施設や会場に常に設置されている場合もあれば、外部の保育士派遣会社やベビーシッター派遣会社に委託をして、イベントの時のみ設置されることもあります。
玩具は託児所内にあるものを使用し、子どもが安全に楽しく過ごせるように見守ったり一緒に遊んだりします。DVDを使用している場所も多いですね。
最近では、託児所の面積を広く設置し遊具が充実している場所も多く、室内遊園地のような作りの中で子どもを預かり託児をする施設もあります。
託児所で働くために必要なこと
同じ託児所でも、認可外保育園と商業施設などの託児所とでは、働くための条件も仕事内容も違います。それぞれの働ける条件について見ていきましょう。
保育士資格は必要なくても働けるけど。。
どちらの託児所も、保育士資格がなくても働くことが可能です。
ただ認可外保育施設は、厚生労働省の定めた基準によって、「保育に従事する者の概ね3分の1が保育士または看護師の資格を有すること」とされています。
そのため、求人を見ていても保育士資格必須や保育士資格優遇という記載が多く見られます。実際に保育士資格を持っていた方が給与面で優遇されることも多いです。
商業施設などの託児所は、保育士資格の保有は義務付けられていません。
しかし、施設によっては「保育士資格を持ったスタッフが対応!」と保育士資格保有者が託児をすることを、特徴にしている施設も多く見られます。
子どもと関わるプロである保育士が在籍していることは、お客様にとっても大きな安心に繋がるのでしょうね。
託児所の特徴に合わせた働き方もできる
たくさんある託児所の中でも、特徴を前面に出すことで利用者を増やしている施設もあります。いくつか見ていきましょう。
認可外保育園の場合
- 24時間運営している保育施設
- 英語教育を取り入れた保育
- 保育時間中に専門講師を招いた習い事ができる(サッカー、ピアノなど)
- アットホームな雰囲気での保育
各施設の特徴を見ながら、自分に合った施設を選ぶことも可能です。
例えば、夜間でも働ける状態であれば24時間保育を行っている施設。
英語でのコミュニケーションに自信がある方でしたら英語教育を行っている施設。
というように、自分の強みを活かしたり、理想とする保育を目指すための選択肢が広がります。
商業施設などの託児所の場合
- 室内遊園地の施設を兼ね備えている
- 知育玩具を多く取り入れている
最近増えてきている室内遊園地を備えた託児所では、遊びの見守りが基本です。保育士経験がなくてもできるというメリットがあります。
また、知育玩具を多く取り入れている施設もあります。この施設の場合には、子どもと関わりながら遊び方を教えます。
子どもに教えられるように、玩具の特性を理解する必要がありますが、最新の知育玩具に触れ自分の保育の幅も広がるというメリットがあります。
託児所の仕事内容
託児所での基本的な仕事内容は、子どもが安全に過ごせるような環境を作り1人ひとりの子どもに合った関りをすることです。
その面では、認可外保育園も商業施設などの託児所も同じです。
ではどの様に子どもと関わるのか、そしてその他の仕事内容についてもご紹介します。
子どもとの関り
認可外保育園の場合は、基本的な保育カリキュラムが決まっていることがほとんどです。
登園した子どもを受け入れ、朝の会をして午前中の活動が終わると昼食。その後、お昼寝をしておやつ。午後の活動や帰りの会をして降園です。
保育士の仕事は、子どもの発達成長に合った援助や関りをすることが1番です。1人ひとりに合った食事や排泄の援助をして、遊びの中で関わります。
認可外保育園は園庭の設置義務がありませんので、午前中の活動は近隣の公園に散歩に行くことが多いです。
散歩の中で、子ども達が自然と触れられるような関りや十分に身体を動かして過ごせるような働きかけをします。
成長を見守りながら子どもと関わることは認可保育所と同じです。ただ、認可保育所よりも少人数の施設が多いので、アットホームな雰囲気の中で子どもと関われるというメリットがあります。
商業施設などの託児所では、一時的に子どもを預かり、一緒に遊んだり安全に気を付けて見守ります。
イベント会場での託児の場合には、長時間の預かりになる場合もあるので、お弁当を持参してもらい食事の援助をしたり、排泄や午睡の援助をすることもあります。
特に0,1,2歳児の小さい子どもを預かる時には、場所見知りや人見知りをすることが多いので、抱っこで過ごし安心できるように関わることが主な仕事です。
子どもの年齢に合わせて、即座に対応できる能力が必要です。
保護者との関り
認可外保育園での保育は、認可保育園と同じように家庭との連携が不可欠です。
登園時には、健康面や家庭での子どもの様子を聞いて受け入れをします。日中の様子は、連絡帳や降園時に口頭で保護者に伝えます。
特に長時間の預かりを行っている施設では、保育中の子どもの様子を保護者に細かく伝え、保護者が子どもの様子を把握できるようにする必要があります。
また、子どもの成長面や関わりについて、保護者の相談にのりアドバイスをすることもあります。
認可外保育園で働いている職員は、全員が保育士とは限りませんが、一緒に子どもを見守っている大人として、話を聞いたりアドバイスができる関係を作ることをおすすめします。
商業施設などの託児所では受け入れ時に、事前に記入してもらった子どもの情報を必ず確認します。短時間の利用で特に事前の記入が必要ない場合には、健康面やオムツは取れているかは確認しておきましょう。
イベントなどで長時間の利用をする場合には、託児中に使うオムツや食事、ミルクやおやつの確認を保護者と一緒に行います。
食事やおやつの提供を行う場合には、アレルギーの有無も確認することも忘れずに。
利用終了時には、託児中の様子を伝えると良いでしょう。施設によっては、連絡帳のように託児中の様子を記入することもあります。
活動に必要な準備や事務作業
商業市施設などの託児所では、基本的に事前準備は必要ありません。ただ、施設内の遊具の消毒などは行う場合もあります。
認可外保育園では、子どもの発達に合った保育内容を考えたり、製作の準備をすることも大切な仕事です。園内の掃除や環境整備をする必要もあります。
また、施設によっては運動会は遠足、発表会など行事を豊富に取り入れている場合もありますので、行事の計画と準備も行います。
行事の量や種類は施設によって大分違うので、勤務場所を選ぶ時には自分がどんな行事を行いたいかということも目安にすると良いでしょう。
託児所で働く職員と保育士の違い
認可外保育園で働く職員と認可保育所で働く保育士の仕事内容は、重なる部分が多いことが事実です。
しかし、認可外保育園で働く職員の中で、保育士資格を持っていない職員は保育士と名乗ってはいけません。
保育従事者や保育補助と呼ばれ、保育士の補助をして働く人という役割となります。
一方、認可外保育園で働く職員の中でも、保育士資格を持っている人は認可保育所で働く保育士と同じ「保育士」です。
働く場所は違っても、保育士であることにかわりはありません。専門職である保育士として子どもや保護者と関わります。
認可外保育園では、保育士資格を持っていなくても働くことができるので、働きながら保育士資格取得を目指すことも可能です。
実際に保育士と一緒に仕事をしながら、現場の様子を知った上で資格を取得できることも、認可外保育園で働くメリットです。
商業施設などの託児所で働く場合も、保育士資格を持っていれば保育士と名乗ります。しかし、仕事内容は保育園とはだいぶ違います。
初めて出会った子どもとどれだけ仲良くなれるかということがポイントです。保育士としての知識や経験を活かして、子どもの心を引き付ける存在を目指しましょう。
託児所で働く職員の平均給与
認可外保育園は国からの補助金が出ませんので、認可保育所よりも給与が低い言われています。
しかし、保育園不足により認可外保育園の需要が高まっていることもあり、認可保育園とあまり変わらない給与での求人も多く目にすることができます。
具体的には、月収17万円から19万円の施設が多いようです。特に株式会社が運営している認可外保育園は経営が安定しているため、比較的好条件での勤務が可能です。
同時にパート社員の求人が多いことも、認可外保育園の特徴です。パート社員の時給は、850円から1,100円程度の施設が多く、飲食店などのパート時給と同等程度のようです。
正社員に比べると給与面での待遇は下がりますが、短時間での勤務が可能であったり扶養範囲内で働くこともできます。
商業施設などの託児所では、パート勤務のことがほとんどです。時給は、900円から1,200円ほど施設によって差があります。保育士資格を持っていると時給が100円アップという場合もあります。
自分が働ける時間帯、そしてどのくらいの収入を得たいかということも考慮しながら、選ぶことをおすすめします。
給料に関してはこちらの記事もおすすめです。
→保育士の給料は低賃金?それぞれの保育園の平均給料と政府の対策
まとめ
可愛い子ども達と関わることのできる託児所での仕事。
保育園とは違う特徴もありますが、預かっている子ども達の命を守り、安全に楽しく過ごせる様に関わるという面では同じです。
保育士資格を活かせる仕事の1つでもありますね。保育園不足が問題となっている中では、認可外保育園の需要はますます高まっていくと予想されます。
どんな風に子どもと関わりたいか、どんな保育や託児をしたいかという思いを大切にしながら、子どもと関わる楽しさを感じることができる託児所での勤務も視野に入れてみて下さいね。