保育園の先生と言えば、ピアノを弾いている姿を思い浮かべる人も多いのではないでしょうか?

実際に幼児クラスでは特に、保育士はピアノを弾く機会が多くあります。

ピアノが苦手な人にとってはもちろんですが、ピアノが得意な人にとっても、子どもの前でピアノを弾くというのはまた違った難しさがあるものです。

しかし、ピアノが苦手であっても少しの心掛けで、子ども達に音楽の楽しさを伝え、自分自身もピアノを弾きながら子どもとの関わりを楽しむことができます。

この記事では保育士として、ピアノを上手に弾くためにはどんな部分に気を付ければ良いのかを紹介しています。

また、子供たちにおすすめの楽曲も紹介するので、参考にしてみてください。

保育園でピアノを弾く場面とは?

保育士がピアノを弾く場面はたくさんあります。決まった場面ではなくても、ピアノを使うことで活動が広がることも!詳しく見ていきましょう。

朝の会、帰りの会

朝の会や帰りの会は、幼児クラスではほとんどピアノを弾くといっても良いほど、ピアノが活躍する場面です。

0,1,2歳児のクラスでもピアノを弾いて会を行う場合もあります。

弾く曲は朝の歌、帰りの歌だけではなく、季節の曲や行事でうたう歌などさまざまです。

行事でピアノに合わせて歌う

入園式や発表会、卒園式など室内で行う行事は、ピアノに合わせて歌をうたうことが多くあります。

全ての保育士が弾く訳ではありませんが、ピアノが得意な保育士が弾いたり、持ち回りで担当することも。

活動の区切りでピアノを使う

玩具を片付ける時や、食事の準備をする時など、子ども達への合図としてピアノを使うこともあります。

ピアノが始まると片づけをすることを子ども達が理解できるので活動をスムーズに行うという目的があるのです。

活動にピアノを取り入れる

保育の活動の中にピアノを取り入れ、活動の幅を広げることも。

曲に合わせて、走る、歩く、止まるの動きをしたり、歌に合わせて友達と手を繋いで歩いたり動物の真似をしたりと身体を動かす活動にもピアノは活躍します

リトミックの時間を設ける

朝の会や帰りの会の他にも曜日や時間を決めて、ピアノの演奏に合わせて歌ったり、楽器の演奏を楽しむなどのリトミックを取り入れている保育園もあります。

中には専任の講師を招いて行う場合も。

子どもの顔を見ながら弾くのは大前提!

様々な場面で活躍する保育士が弾くピアノですが、子どもの前でピアノを弾く時の大前提があります。それが子どもの顔を見ながら弾ことです。

ピアノを弾くことに集中していたり、失敗しないようにしなければと緊張していると、どうしてもピアノの方ばかりを見てしまい子どもの顔を見ることができなくなってしまします。

しかしそれでは、保育ではなくただピアノを弾いているだけです。保育の中でピアノを弾く際には、子どもに気を配りながら弾く必要があります。

もちろんずっと子どもの顔を見ることは難しいですが、ピアノを見ながらも

  • 子どもの様子を視界に入れる
  • 何小節かに一回は子どもの顔を見る
  • 子どもと一緒に歌う

という3つのポイントは頭に入れておきましょう。

そのためには、保育中に弾く曲はなるべく暗譜をすることをおすすめします。

安心のために楽譜を置いておいても良いですが、ピアノが得意な人でも初見で弾くことは控えましょう。

ただ行事の際のピアノ演奏だけは、一番重要なことが異なります。特に卒業式などの式典では、失敗しないことが一番大切です。

ピアノが止まってしまい子どもの動きや歌も止まってしまうという事態だけは避けなければいけません。ピアノにしっかりと集中して弾くように心掛けましょう。

ピアノが上手な保育士の特徴

暗譜をして子どもの顔を見て弾くように心掛けているのに、先輩保育士と比べると何かが違うと感じることもあるかもしれません。

そんな時には、少し弾き方や心掛けを変えるだけで、各段に上手なピアノに聞こえるようになります。

失敗しても弾き続ける

どんな保育士でも全く失敗せずにピアノを弾くことは難しいものです。子どもの顔を見ながら弾いていると尚更のこと。ミスタッチがあって当たり前です。

ミスタッチをした時にどんな対応をするかで、ピアノが上手な保育士になれるかなれないかが決まります。

大事なことは、失敗をしても止まらずに弾き続けること。ミスタッチをするたびにピアノの演奏を止めて弾きなおしていては、その都度子どもの歌や活動も止まってしまします。

子どもは大人とは違い途中のフレーズから歌うことは難しいので、失敗したとしても何事もなかったかのように弾き続けましょう。

両手で弾き続けることが難しい時には右手だけでも弾き続け、入れる小節から左手も弾き始めるようにしましょう。

子どもの年齢に合わせた速さで弾く

同じ曲でも担当するクラスの年齢によって、弾く速さは大分違います。幼児クラスの担任から乳児クラスの担任になり今まで通りの速さで弾いてしまうと、速すぎて歌えないということも…。

ピアノが上手な保育士は、どのクラスに行ってもその年齢に合った速さでの演奏をすることができます。

自信を持って弾く

自信を持って弾くことは簡単なようで難しいものです。初めて子どもの前でピアノを弾く時、先輩保育士が見ている前でピアノを弾く時、どんなに練習をしてきても手が震えるほどに緊張します。

しかし、子ども達の前では自信のある保育士を演じましょう。途中で失敗すると頭が真っ白になってしまうかもしれませんが、片手だけであっても自信を持って弾きましょう。

子ども達は全く気にしませんし、先輩保育士も自分も通ってきた道なので温かく見守ってくれるはずです。

苦手意識を持たずに保育の現場で弾き続けることで、本当の自信を持って弾けるようになりますよ。

どんな曲を選べば良いの?おすすめの曲!

朝の会や活動の中で弾く曲は、園で決められた曲だけではありません。

どんな曲を弾くことで、子ども達が歌うことを楽しんでくれるのか、子どもの成長を手助けできる選曲をご紹介します。

季節の童謡

春でしたら「ちょうちょう」や「チューリップ」、」夏は「かたつむり」「うみ」、秋は「どんぐりころころ」「虫のこえ」、冬は「ゆき」「たき火」など季節にちなんだ童謡を選曲することで、子ども達は季節の移り変わりを感じることができます。

四季の移り変わりだけではなく、七夕の時期には「たなばたさま」、クリスマスの時期には「赤鼻のトナカイ」などクリスマスにちなんだ曲、お正月が近くなったら「お正月」など季節の行事を楽しみに待てるような選曲もおすすめです。

保育園の行事にちなんだ歌

保育園では様々な行事があります。発表会や卒園式は特に一大イベントで、どの保育園も会や式の中でうたう歌を毎日練習しながら本番を迎えているのではないでしょうか?

しかし歌がメインとならない行事であっても、保育の中に行事を思い浮かべることができる歌を取り入れることで行事練習の導入となりますし、より楽しみに行事を待つ事ができます。

例えば遠足が近くなったら、「ピクニック」や「どうぶつえんへいこう」。

お芋ほりの前には「やきいもグーチーパー」。

プール遊びが始まる前には「水遊び」など、歌を通して行事への期待も高まって行くでしょう。

年齢や興味見合った童謡

ピアノを弾く速さも年齢に合わせる必要がありますが、歌の選曲も年齢や子ども達の興味に合わせることが大切です。年齢別に見ていきましょう。

0歳児

一緒に歌うことは難しいですが、保育士の動きを真似ることはできます。

「ちょうちょう」や「おはながわらった」など振り付けも楽しめる童謡がおすすめです。

1歳児

簡単な言葉が出始める時期です。

「かえるの歌」や「おんまはみんな」「いぬのおまわりさん」など、言葉を話し始めの子どもでも発音しやすいフレーズが含まれている童謡がおすすめです。

また、動物に興味が出る時期でもあるので、動物が登場する曲も良いでしょう。

2、3歳児

言葉がはっきりとして歌うことを楽しめるようになります。

「あめふりくまのこ」や「どうぶつえんにいこう」「北風小僧のかんたろう」など物語性のある歌がおすすめです。

4、5歳児

友達と一緒に歌うことを楽しむようになります。

「世界中のこどもたちが」「手のひらをたいように」などの少し難しい言葉が出てくる歌や、「南の島のハメハメハ大王」など友達と一緒に盛り上がれる童謡がおすすめです。

あくまでも主役は子どもの歌や活動

保育士が弾くピアノは保育の中で大切な役割を担っていますが、あくまでもピアノはわき役、主役は子どもの歌や活動です。

どうしたらピアノが上手に弾けるかを考えがちですが、どうすれば子どもが楽しんで歌ったり、活動に取り組んでくれるかを一番に考えてみましょう。

どんなにピアノが得意でも、子どもが見えていなくて自分の世界に入り込んで弾いてしまう人は、ピアノが上手な保育士とは言えません。

ピアノが苦手であっても、子どもの様子を見ながら子どもが歌いやすい速度で丁寧に弾き、子どもと一緒になって楽しみながら歌える保育士は子どもにとってのピアノが上手な保育士です。

選曲の段階から子ども達の顔を思い浮かべ、子どもと一緒に楽しみたいと思える曲を選んであげてくださいね。

子どもは保育士の様子をよく見ているものです。保育士がピアノを弾くことや子どもと一緒に楽しんで歌っていることは、必ず子どもに伝わります。それが音楽の楽しさを伝える1番の方法です。

まとめ

ピアノが上手な人と保育士としてピアノが上手な人は違います。子どもの様子を1番に考えながら弾ける人は保育士としてピアノが上手な人です。

少しくらいミスタッチがあっても大丈夫!失敗しても気にせずに弾き続けましょう。先生が楽しそうにピアノを弾いて歌っている姿は、子ども達に歌う楽しさを伝えます。

初めは緊張をしますが苦手意識を持たずに、ピアノを子どもとの関わりの1つの方法として取り組んでみてくださいね。 

数年後にはピアノが上手な保育士に成長しているはずです。