保育士としての仕事はやりがいがあるけれど、もっと他に自分に合った職場があるのでは…。

保育所以外の場所でも働いてみたいと考える保育士は意外と多いものです。

しかし、保育士以外の職務経験がないことで、なかなか転職に踏み切れないという方もいるのではないでしょうか?

そんな時におすすめなのが、保育所以外で保育士資格を活かせる勤務先です。保育所以外にも、保育士資格を活かせる職場は数多くあります。

また、保育所の種類も多種多様です。自分が働いている保育所とは違うタイプの保育所を知ることで、保育士としての道が開けることもありますよ。

どんな場所で保育士が求められているのか?この記事ではそんな保育所の種類や保育士資格が活かせる職場をご紹介します。

様々な種類の保育所から転職先を探す

保育所には様々な種類があります。具体的に見ていきましょう。

認可保育所(公立保育所・私立保育所・公設民営保育所)

国の認可基準を満たした保育所。

基本的には0歳児から5歳児までの子どもを預かり保育をしますが、中には0,1,2歳児のみを預かる保育所もあります。

公立保育所は地方自治体、私立保育所は社会福祉法人などの民間が運営し、公設民営保育所は地方自治体が民間に運営を委託している保育所です。

小規模認可保育園

2015年から新しく始まった保育事業。

0,1,2歳児の6名から19名までの子どもを預かり少人数保育をする認可施設です。

認可外保育所

国の認可基準を満たしていない保育所。

英語教育や長時間保育など、保育所独自の特色を打ち出している施設も多くあります。

東京都の認証保育所さいたま市認定ナーサリーなど、地方自治体が独自に設定した認可基準を満たした施設もあります。

企業内保育所・院内保育所

企業内や病院内に設置された保育所で、従業員や看護師の子どもを預かる施設です。

保育所の中でも、入所する子どもの年齢や勤務時間が異なったり、独自の特色がある保育所もありますので、自分が働きたいと思える保育所を探すことも1つの方法です。

保育所以外の児童福祉施設

保育士資格を活かせる勤務先としては児童福祉施設が1番に挙げられます。

児童福祉施設とは児童に関する事業を行う施設で、保育所も児童福祉施設の1つです。

保育所以外にも児童福祉施設の種類はたくさんあり、どの施設でも保育士の専門性が求められています。

主な施設をご紹介します。

児童養護施設

児童養護施設とは…

と児童福祉法で定められています。

主に1歳から18歳の子どもが入所し集団で生活しています。働く職員は保育士や栄養士、児童指導員などの資格を持ち、子どもの心のケアや生活の援助を行います。

保育士は主に就学前の子どもの援助を行い、時には母親の様に子どもとの信頼関係を築きます。

児童養護施設で保育士が働くために必要なことは?主な特徴と仕事内容。

乳児院

乳児院とは…

と児童福祉法で定められています。

1歳未満の保護者からの養護が受けられない乳児が対象となり、基本的には1歳を過ぎると児童養護施設へと移ります。しかし、1歳以降も乳児院を利用した方が良いと認められる時にはその限りではありません。

働く職員は、保育士や看護師などの資格を持ち、24時間体制で乳児の養護をします。大人との密な信頼関係が必要な時期だからこそ、保育士の専門性が強く求められます。

知的障害児施設

知的障害児施設とは、知的障害を抱える子どもの保育や生活指導、自立支援を行う施設です。

  • 入所施設
  • 通園施設

の2種類があります。

平成24年の児童福祉法改正に伴い、障害別に区別されていた施設体系が一元され、知的障害児施設もその中に含まれています。

参照URL: http://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-12601000-Seisakutoukatsukan-Sanjikanshitsu_Shakaihoshoutantou/0000096740.pdf

入所施設

入所施設は、家庭での生活が困難な障害のある子どもを預かり、24時間保護や支援をする施設です。

利用する子どもの年齢は基本的には18歳未満ですが、18歳を過ぎても他の施設に移ることができずに障害児入所施設を利用する場合もあります。

働く職員は保育士や社会福祉士、栄養士などの資格を持ち、それぞれの専門分野で子どもの支援を行います。

保育士は法律で設置が義務付けられ、子どもと関わり支援をする専門家としてなくてはならない存在です。

知的障害のある子どもは、年齢よりも行動や知能が幼い場合も多いので、コミュニケーションを密にとりながら1人ひとりに合わせた支援が必要となります。

通園施設

通園施設は、家庭で生活をしている障害のある子どもが、通園をしながら発達や障害に合わせた保育や療育を受けることができる施設です。

児童発達支援センターや児童発達支援、放課後等デイサービスがあり、児童発達支援センターには福祉型と医療型とがあります。

対象年齢は、18歳未満で施設によっては未就園児のみ、学童のみという施設もあります。

どの施設でも保育士の設置が義務付けられ、発達や年齢に合った保育や療育を行う専門家としての役割を担います。

保育士としての知識にプラスして障害への知識を得る必要もありますし、子どもへの働きかけの難しさもあります。

しかし、1人ひとりに寄り添い支援をする中で、子どもの成長を感じることができるやりがいのある仕事です。

そして、確実に保育士としてのスキルアップにも繋がりますよ。

児童館

児童福祉法に基づいて全ての子どもに健全な遊びを提供し、安心できる居場所となります。

また子どもを持つ保護者が交流を持つ場として、乳幼児が親子で参加ができる活動も企画されています。

児童館で働くために必須となる資格はありません。しかし、児童福祉施設の設備及び運営に関する基準により、児童館には必ず 「児童の遊びを指導する者」を置かなければならないと定められています。

「児童の遊びを指導する者」は以前は児童厚生員と呼ばれていました。「児童の遊びを指導する者」と認定されるための基準はいくつかありますが、その中に「保育士資格を有する者」という基準もあります。

子どもの育ちを理解して遊びを提供するプロとして、また子育て中の保護者を支援する立場として保育士が求められている勤務先の1つです。

保育所と幼稚園の機能を併せ持つ認定こども園

認定こども園は教育と保育をを兼ね備えた新しい子どものための施設として、平成18年に新しく誕生しました。

その種類は大きく分けて4種類あります。

  • 幼保連携型…幼稚園と保育所の機能を併せ持ち新しく設立された施設
  • 幼稚園型…認可幼稚園が保育時間の確保など保育所的な機能を備えた施設
  • 保育所型…認可保育所が保育を必要とする子ども以外も受け入れるなど、幼稚園的な機能も備えた施設。
  • 地方裁量型…幼稚園・保育園ではない地域の教育・保育施設に認定こども園の機能を持たせた施設

幼保連携型では保育士資格と幼稚園教諭免許の両方を持っていることが求められます。

ただ、改定認定こども園法が施行された平成27年から5年間はいずれかの資格でも勤務が可能です。

保育園型では、3歳以上の子どもを担当する時には保育士と幼稚園教諭の両方を、3歳未満児を担当する時には保育士資格を有している必要があります。

幼稚園型、地方裁量型では、3歳未満児は保育士資格保有者が担当し、3歳以上児は幼稚園教諭保有者が担当することが可能です。

しかし、3歳以上児であっても幼稚園児が利用する時間(教育標準時間)以降は保育士資格保有者が担当する必要があります。

待機児童問題解決などの目的から認定こども園が増えている中では、多くの保育士が求められています。

保育所と幼稚園の特徴を併せ持った新しい子どものための施設での経験は、保育の幅も広げてくれるはずですよ。

学童保育のための新しい資格「放課後児童支援員」

共働きなどで保護者が日中に自宅にいない、小学生児童の居場所となる学童保育。

放課後や長期休みなどを安全に過ごし、遊びを通して健全な成長を手助けするために欠かせない場所です。

学童保育で働くために必須となる資格はありません。しかし、平成27年に厚生労働省が発表した学童保育の基準によって、各施設に必ず1人は放課後児童支援員を置くことと定められました。

放課後児童指導員になるためには一定の条件があり、その条件の1つに保育士資格を持っていることが挙げられます。

保育所で未就園児の保育を担当していた保育士にとっては、小学生との関りは未知な部分もあるかもしれません。ただ、子どもとの関わりの中で成長を見守るという点では同じです。

未就園児以外の子どもとも関わってみたいという方にはおすすめです。

ベビーシッターなどの訪問保育

保育士資格を活かして働く方法の1つにベビーシッターなどの訪問保育があります。

ベビーシッターとして働くために、必須となる資格はありません。子育て経験を活かしたり、認定ベビーシッターという民間資格を取得して働くなど、どんな人でも働くことが可能なのです。

しかし、国家資格である保育士資格を持っていることで、ベビーシッターを依頼するお客様からの信頼度はとても高くなります。

ベビーシッター派遣会社に所属をして働く場合には、保育士資格保有者の時給を高く設定している場合もあります。

お客様から保育士資格保有者を指定されることも多いので、企業としてもそれだけ保育士資格を持っている人を優遇するのです。

フリーのベビーシッターとしてお客様から依頼を頂く場合にも、保育士資格を持っていることはかなり有利です。

お客様はベビーシッターの情報を元に、シッティングの依頼を決めますので、資格の有無が大きく関わってくるのです。

集団保育とは違い、基本的には1対1で子どもの保育をする訪問保育。

じっくりと丁寧に子どもと関わりたいという方には良い環境であると言えます。

保育士資格が優遇される職場とは?

保育士資格が必須ではないけれど、持っていることで優遇される職場もあります。例えば、商業施設美容院などの託児施設。

保育士資格保有者を置くという定めはありませんが、保育士資格を持っている人が在籍していることはお客様にとって大きな安心に繋がります。

そのため、施設側としては保育士資格を持っていない人よりも持っている人を優先して雇うのです。中には時給などの待遇に差を付けている場合もあります。

最近では、商業施設の託児所を室内遊園地のような施設にしたりと特色を持たせている所も多く見られます。保育所とはまた違った環境の中で子どもと関わってみたいという人にはピッタリの職場ですね。

また商業施設などの託児所は、一時預かりが基本です。保育所と比べて保護者との関りも浅いので、保護者対応に疲れてしまったという方にもおすすめの環境です。

初めて会った子どもの気持ちをどれだけ早く惹きつけ、楽しく過ごせるような働きかけができるかという保育所とはまた違ったやりがいも感じられますよ。

まとめ

保育士として働いていると、仕事量の多さや責任の重さから転職の2文字が浮かぶことも多いと思います。

もっと自分に合った職場があるのでは…と悩むことも。

保育士は保育所だけではなく様々な職場で求められています。転職を考えた時には、保育士として活躍できる保育所以外の場所も視野に入れてみてはいかがでしょうか?

関わる子どもの年齢や人数、保護者との関わり方など保育所と違う部分もありますが、子どもに愛情を持って接するという根本的な部分は同じです。

保育所以外の勤務先を知ることで、自分が保育士として本当に働きたい場所を見つけてみて下さいね。