保育士の仕事にやりがいを感じ、出来ることならば妊娠出産を経ても働き続けていきたい!という保育士はたくさんいます。

保育の現場でも、子育て経験のある保育士は保護者に実体験を伴ったアドバイスができることもあり、貴重な存在です。

しかし、仕事量の多さや職場の勤務体制から子育てとの両立が難しく、保育士の仕事から離れてしまう人がいることも事実です。

また、自分の子どもを預けて他の子どもの保育をすることや他の保育士と同じ仕事量をこなせないという後ろめたさを感じることも…。

どんなことを心掛け工夫することで、子育てをしながらでも保育士を続けられるのか、その方法と秘訣をご紹介します

子育てをしながら働く保育士の悩みとは?

どんな仕事であっても子育てとの両立は大変です。仕事から帰ってくると一息つく暇もなく、子どもの相手をしながら夕食準備や家事をこなし、目が回るような忙しさ。

子育てに協力的な男性が増えているとは言えども、やはり家事や子育ては女性が主体になり母親への負担が多いことが現実です。

それは働く女性保育士にとっても同じです。更には他の職業とは違う保育士ならではの悩みも…。

厚生労働省の調べによると、平成23年度の個人の状況による保育士離職理由の第1位は「家庭との両立が難しい」ことでした。

参照:平成23年度厚生労働省委託事業「潜在保育士ガイドブック」

家庭を持ち、家事や子育てをしながら保育士として働くことは、やはり容易なことではないようです。では、どの様な部分に悩みを抱えているのかを具体的に見ていきましょう。

自分の子どもを預けて保育をすることへのジレンマ

子育てをしながら保育士として働くためには、自分の子どもを保育園や祖父母など自分以外の人に預ける必要があります

大好きなお母さんと初めて離れるという経験に、ほとんどの子どもは泣きます。

保育士として多くの子どもの慣らし保育を経験し、初めは泣いていても必ず慣れるということを理解していたとしても、我が子が泣いている姿は辛いものです。

また、慣らし保育中に泣いている子ども達を目の当たりにしているからこそ、我が子に辛い思いをさせてまで、他の子どもの保育をすることが正しいのだろうかという葛藤も生まれます。

仕事の時間を確保できない

保育士の仕事は、子どもとの関りの他にも保護者対応や事務作業、行事の計画や製作準備など多岐に渡ります。

勤務時間中に仕事が終わらずに残業や持ち帰り仕事をすることも多くあります。しかし、子育て中は残業や持ち帰り仕事はほとんどできません

我が子を保育園に迎えに行かなければなりませんし、帰宅してからも家事と育児に追われて持ち帰り仕事をする余裕がないからです。

出産前のように自分のペースで仕事を進めることができないことに焦りを感じることも…。

他の保育士と同じ仕事量をこなせないことに後ろめたさを感じたり、疎外感を感じることもあります。

子どもの体調不良などで仕事を休むことへの後ろめたさ

子どもが小さいうちはよく体調を崩します。特に保育園に入園して初めの年は風邪が治ったと思ったらまたうつり、常に鼻水が出ているという子どもも多いものです。

子どもが通う保育園から、発熱によるお迎えの連絡をもらうということも多々あります。

もちろん周りの保育士も、多くの子どもと接していますので子どもの体調不良についても理解してくれるでしょう。しかし、保育から自分が抜ける事によって周りに迷惑を掛けることは事実…

保育の現場の忙しさを把握しているからこそ、子どもの体調不良で仕事を休むことや早退をすることに対して、他の保育士に申し訳なく後ろめたさを感じます。

自分の子育てと保育を分けて考える秘訣

では子育てをしながら保育を続けるために、どの様に悩みを解決すれば良いのでしょうか?

我が子を預けて保育をすることへのジレンマを感じている場合からご紹介します。

まずは、我が子を預ける場所は自分が信頼できる保育園を探しましょう

たくさんの保育園を見学しながら母親としても保育士としても、この保育園ならば子どもを安心して預けられると思える場所を選ぶことをおすすめします。

認可保育園では希望した場所に入れないという時には、認可外保育園を視野に入れても良いですね。

信頼している保育園であれば安心して子どもを保育士に任せることができます。

保育士としての着眼点を駆使して、妥協せずに選ぶことがポイントです。

それでも慣らし保育中はほとんどの子どもが泣くでしょう。母親としては後ろ髪が引かれる思いです。

しかし、勤務先に付けば母親ではなくプロの保育士です。仕事中は、保育園の子どものことを1番に考える必要があります。

そのためには、子どもを預けてから勤務先に向かうまでに、その日の保育計画を確認したりやるべき仕事を頭の中でまとめておくなど、頭と気持ちを仕事バージョンに切り替えておきましょう

勤務先に到着した時には、すっかり保育士の顔になっているはずです。

そして我が子を迎えに行く時には、極力仕事のことは考えずに、お母さんの顔で子どもを迎えに行ってあげてくださいね。

信頼できる預け先を見つけることと通勤時間中に切り替えをすることが、子育てと保育を分けて考える秘訣です

子育て中の保育士におすすめ!時短勤務を上手に利用する

子育て中で自分が思うように仕事ができない、他の保育士と同じ量の仕事がこなせないという場合には、時短勤務の利用もおすすめです。

時短勤務だからといって、保育士としての責任が減る訳ではありませんし、事務作業などは他の保育士と同じ量をこなす必要があります。

しかし、時短勤務にすることによって自分に余裕が生まれます。

早めに子どもを迎えに行くことで子どもと触れ合う時間もできますし、寝かしつけも早くできるので持ち帰り仕事をする余力も残っています。

職場での了承が得られれば、勤務時間後に残業という形で短時間でも自分の仕事をする時間を確保することができます。仕事が終わらないという悩みが軽減できますよ。

時短勤務を希望する場合には、周りの保育士の理解を得ることが大切です。

その時間内は、自分から率先して様々な業務を引き受けるなど時短勤務をして当たり前と思わずに感謝の気持ちを忘れずに働くことで周りからの理解も得られますよ。

また登降園時に保護者に会える機会が減り、保護者との信頼関係が築き辛いという側面もあります。行事の時に積極的に話をしたり、連絡帳を通して密なコミュニケーションをとるように心掛けましょう。

後ろめたさをやる気に変える方法

子どもの体調不良で仕事を休んだり早退をすることは、子育て中にはやむを得ないことです。近くに祖父母がいて協力してもらえる環境である場合には、協力を頼むことも1つの方法ですが、難しいという方も多いでしょう。

休んで当たり前という態度は良くはありませんが、必要以上に後ろめたさを感じる必要はありません。自分ができる部分で頑張ればよいのです。

例えば

  • 自分が急に休んでも周りの保育士が困らない様に、書類関係は早めに提出する。
  • 翌日の保育計画を周りの保育士に伝え、必要な物は用意しておく。
  • 休んだ時は職場からの連絡に対応できるようにしておく。

など自分が休んだことによる周囲への影響はできるだけ少なくなるような準備をしておきます。

また、忙しい仕事の中で後回しになりがちなのが、周りの保育士とのコミュニケーションです。保育のことはもちろんですが、休憩中には雑談も含めて自分から積極的に話をするようにしましょう。

周りの保育士との信頼関係を築くくことで、自分が困った時には必ず周りが力になってくれます。もちろん、周りの保育士が困っている時には力になってあげてください。

周りの保育士と良い関係を築くことも大事な仕事の1つです。

休んでしまって後ろめたいという気持ちは、その分自分ができる部分は他の保育士以上に頑張ろうという気持ちに変えてみてくださいね。

子育て経験のある保育士は現場で求められている!

子育てをしながら保育士を続けることは大変です。限られた時間の中で、保育士として子どもと向き合い、その他の仕事もこなすために子育て前以上の保育力が必要になります。

周りの保育士に迷惑を掛けてしまう場面も多々あります。しかし、それでも子育て経験のある保育士は現場で求められています

我が子の慣らし保育を経験したことで実体験をもって、保護者の気持ちを受け止め寄り添うことができます。

保育とは違う子育ての部分で保護者にアドバイスができますし、子育て経験のない保育士にとっても大きな存在です。

我が子の子育ての中で得た病気の知識から、子どもの小さな体調の変化に気付くこともできるでしょう。

毎日、家事と子育てをしながら忙しく過ごすうちに、やるべきことの優先順位をつけて仕事中にも自然と動くことができるようになります。

子育てをしながら保育をする中で自分でも気が付かないうちに、確実に保育士としてのスキルが上がっているのです。

周りの保育士に感謝の気持ちを忘れずに、母親として培った知識や技術を伝えられる存在になれると良いですね。

まとめ

妊娠出産を経て、子育てをしながら保育士と働くこと。出産前とは違った大変さがたくさんあります。

特に我が子を保育園に預けて1年間は、慣らし保育から始まり、子どもの体調不良で仕事を休み、自分も体調を崩し…と気持ちが折れそうになることもあります。

しかし、常に他の保育士に感謝の気持ちを持ちながら、できることを精一杯頑張っている姿は必ず周囲に伝わります。

子どもも保育園に通い始めて2年目になれば、大分丈夫になります。自分を追い込み過ぎずに、 周りに助けてもらいながら乗り切っていきましょう。

大変な時期を乗り越えることで、必ず保育士としてスキルアップができますよ。