子どもにとって絵本や紙芝居は、大人で例えると映画やDVDを見ているような感覚です。
その物語から色々な気持ちを読み取ったり、学ぶことも沢山あります。
しかし、その年齢に応じた正しい選び方をしないと、子どもに中々良さが伝わらない場合があります。
素敵な絵本や紙芝居が沢山ある今、作者の気持ちを読み取りながら正しく選んでいきましょう。
ここではそんな、絵本や紙芝居の正しい選び方、子供を惹きつけるための読み方を紹介してきます!
それぞれの本の特徴
絵本も紙芝居もどちらも子どもに読み聞かせることを主に製作されています。
見た目と同様に、様々な違いがありますので紹介していきます。
絵本とは
絵本とは一言でいうと、文章より絵が主に描かれている本です。もちろん絵本によって、絵だけしか描かれていないものもあります。
その絵には聞き手の子どもたちに感じてほしいこと、そのページの文章の内容をより分かりやすく伝える為に描かれています。
また大体の絵本は、子どもが手にもってもページがめくりやすくなっていて、一人で読めるものが多く発行されています。
紙芝居とは
紙芝居は、絵が表に書いてあり、裏は字のみ書いてある本のことを示し、一人で読むものではなく、大勢いる子どもの前で読み聞かせをするものが主となっています。
目的は絵本と同様に、絵を通して作者の思いを伝えていくことですが、絵本とは大きな違いがあります。
それは絵本はページを「めくる」、紙芝居はページを「抜く」ということと、読み手の人の位置が違います。
紙芝居は読み手が紙芝居の後ろにいて話を読みます。
やはり聞き手にとって、同じように思えますが、読み手の配置が違うこと、ページをおくる違いがあることで、印象が変わっていきます。
絵本・紙芝居の正しい選び方
絵本や紙芝居を読むときは、保育の中で取り入れている主な活動の合間や導入の一つとして読み聞かせを行う保育士が多いです。
手に取った絵本でいいや!と思って読み聞かせをしていませんか?合間で読むものも、全て事前にしっかりと準備をしていくことが大切です。
また絵本や紙芝居は色々な場面で取り入れることが出来ます。
一日3~4冊程選んでおくと保育で活用していけると思います。
ではどのようなことに気を付けて選んでいけば良いか、ポイントを紹介していきます。
年齢に応じて選ぶ
保育園には0歳児~5歳児までいます。
当たり前のことですが、0歳児に5歳児向けの絵本や紙芝居を選んでも内容を理解することはできません。
その年齢に応じた絵本や紙芝居を選ぶことが必須です。
大まかにいうと、年齢が低い子どもは主にページ数が少なく、効果音や繰り返しのある絵本が中心に描かれているものが多いです。
反対に年齢が高い子どもには、ストーリー性のある絵が細かくなっているものが主となっています。
だからといってなんでもいいわけではありません。その時の子どもたちの姿、聞き手の子どもに一番合うものを選ぶ事が一番のポイントです。
特に導入時に読むものであれば、その次の活動に繋げられるような本を探していきます。
導入とは、その活動に興味が持てるように行うことをいうので、その活動に期待が持てるよう仕向けていける本選びが大切です。
人数によって選ぶ
基本的には大人数であれば紙芝居、少人数であれば絵本を勧めます。
また絵本の中でも大人数用として、大型絵本やプロジェクターを使って読み聞かせるものもありますが、その人数に配慮して選んでいきます。
理由としては、絵本は主に小さめのものが多いので、見えない子どもが出てきます。その為、大人数に読み聞かせをするものには適していません。
どうしても紙芝居ではなく、絵本の読み聞かせを大人数で行いたい場合は、環境構成を整えてください。
子どもたちが見えるような環境を作り、なるべく絵が大きくはっきりしている本を選んでいきます。
読み聞かせで気を付ける事
子どもたちに合った絵本選びが出来たら、次は読み聞かせで気を付けていかなければならないことがあります。
紙芝居と絵本によってポイントが違うので、それぞれ分けて説明していきます。
絵本の読み聞かせで気を付ける事
正しく絵本選びが出来たら、正しく絵本の読み聞かせをしていきます。
正しい読み聞かせ方法は、人によって考え方が違いますが、意識していくことは統一してあるので紹介していきます。
- 読み聞かせをする前に全ページしっかり開いておく
- 子どもの目線が上になりすぎないような立ち位置で読む
- 絵本が斜めにならないように手で固定する
- 押さえている手で絵が隠れないようにする
以上のことに気を付けて読み聞かせをしていきます。
中でも子どもの目線が上になりすぎないようにする所では、しっかりと子どもの目線に立って考えていくことが大切です。
例えば、子どもが床に座って絵本を読み聞かせする際、保育士が立って読むと子どもが見上げて聞くようになってしまいます。
その際には、保育士が椅子に座って目線が少しでも下げられるように配慮していきます。
また、子どもが椅子に座っている場合は、保育士が立って読み聞かせをする体制が丁度良いです。
紙芝居の読み聞かせで気を付ける事
紙芝居では、また絵本とは異なった配慮があります。
- 番号通りにページが並べてあるか確認する
- めくる時に世界観を崩さないようにスムーズに行う
- 読み手が紙芝居の後ろにくるように読む
- 声を張って読み聞かせする
絵本と同様、紙芝居でも子どもの目線には配慮が必要です。
また、紙芝居には読み聞かせ用の専用ケースがありますので、そちらを使用するとより雰囲気が出るので、お勧めです。
紙芝居では絵本とは違い、ページを抜いていきます。
その為抜く際にもたついてしまったり、ページが傾いてしまいがちなので、注意が必要です。
他にも紙芝居の後ろに保育士が来るように読み聞かせを行う等、聞き手の子どもの世界観を崩さないように配慮していきます。
絵本・紙芝居の読み聞かせで意識すること
次に読み進めていくなかで意識していくことをお伝えします。
まずは、読み終わった後に子どもに感想を聞かないことです。
子どもたち一人ひとり、感じたことは異なります。
感想というものは読み手が聞くものではなく、自然と聞き手が言うものです。
保育中に、読み聞かせが終わるとクイズ形式にして振り返る保育士をよく見かけますが、あまり良い方法ではないです。
一人ひとりの感じたことを大切にしいてあげて下さい。
次に、読んでいる際に途中から子どもが間から入ってくること、ありますよね。
子どもはその時感じた事を素直に言葉に表現できます。
そのことから、他の子どもが聞いているのに読み手の保育士に質問したり、中断してしまうことはどの保育士も経験があるかと思います。
しかし、その子どものことは否定してはいけません。静かに聞いてほしい思いがあるのであれば、そのように保育士が静かに参加できるよう仕向けていくことが大切です。
例えば読み手の声を小さくしたり、「次はどうなるか一緒に見てみよう!」と声掛けを工夫してみて下さい。
決して怒ったり、静かにするよう注意してはいけません。
まとめ
子どもは絵本を通して身近な人からたくさんの心地よい言葉を聞くことによって、深い愛情を感じ、共感したり感動する心、優しさや思いやりの心を身につけていきます。
また、身近な大人のぬくもりを感じることで、落ち着いた心と、人を信頼し気持ちを通わせる力を育みます。
絵本を一緒に楽しむことで、自然と大人との会話が増えます。子どもは、大人との会話の中で言葉を覚えたり、考える力を身につけたりします。
また話を聞きながら、頭の中で絵を動かして行きます。これが、想像力や創造性を伸ばすことに繋がって行きます。
子どもの反応や会話を通して、子どもの成長を楽しく見守ることが出来ます。
子どもにどう接したらよいかわからなくても、絵本や紙芝居なら、子どもに話しかける言葉が書いてあるので、子どもの成長に必要な声掛けが簡単にできます。
是非、絵本や紙芝居を沢山活用してみてください。