3歳児は運動量も言葉も増え、手足は長くなり、大人もびっくりするようなことを話すなど、もう完全に赤ちゃん期は卒業です。
保育士さんは、お世話をすることよりも、一緒に課題に取り組んだり、一緒に遊ぶことが増えてくる年齢だと思います。
ここではそんな2歳時よりは手もかからない3歳時の特徴や接し方などについて紹介していきます。
3歳の大きな特徴
「2歳児との接し方のポイント」のところでも紹介していますが、
→2歳児の特徴は?担当になった時の接し方と抑えるべきポイント
3歳は「はりきり坊や」な年齢です。
そして生活習慣の自立してくる年齢です。
2歳児クラスの3歳のお誕生日頃から衣服の着脱をはじめ、トイレも自立してきて、4歳のお誕生日前にはほとんど自分の力でできるようになります。
人間らしくなる年齢が「3歳」なのです。
3歳と4歳の違い
4歳は「一生で一番よく動く時期」と言われています。
よじ登ったり、とびおりたり、走ったりという動きが大好きで、なかなかじっとしていません。
もう身の辺りのことに対しては大人のお世話を必要としなくなってきた分、大人への依存は減り、一緒に動き回れる「友達」と徒党をくんで遊びたがります。
ルールのある遊びもできるようになり、二つのことを一度にできるようになるので、生活を営むことや、課題にチャレンジすることに手ごたえを感じる年齢です。
体の発達の変化
3歳になってO脚の足がまっすぐになり、手の親指が他のどの指とも合わさるようになります。
その手足は3歳から4歳までにぐんと伸び、ポッコリしていたお腹はひっこんできて、赤ちゃん体形から幼児体形に変化します。
手の指は、サルと違った人間独特のものになり、それと同時に道具を使いこなせるようになります。
このように3歳という年齢は考え方にしても体などの発達でも大きな変化がある年齢になります。
自分が一番の3歳児との接し方や注意点
赤ちゃんの頃からの「自己肯定感」が育っている子は、この時期に「自分が一番!」になります。
一番に何かをすることにこだわったり、「おれ」という言葉を使っていきがったり、先生役をしたがったりします。簡単にいえば自己中心的になる子が多いです。
友達同士「おい」「おまえ」などの汚い言葉を喜んでつかったり、「う◯ち」「おなら」などの言葉で笑ったりということが楽しくなります。
一見大人からみたら困った姿もありますが、大人になっても自己中心的であったり、社会の中で汚い言葉を使うことが困ったことなのであって、この年齢ででてくる姿としては、大人にあまり抑圧されてない子なら自然に出てくる姿なのです。
「1番」にこだわり自己中心的になっていても、「順番」があることや「他の人の気持ち」に気づけると、この時期を過ぎれば「わがまま」になることはありません。
けれども、保育の中で大人が抑圧すれば「自己中心的」な姿は出ず、上手に周りに合わせる子になり、大人が無秩序にすれば、本当の「わがまま」な子になります。
なので、保育士として注意することは
「自分が一番はすばらしい、でもみんなの気持ちも感じられる子になってほしい」
という姿勢で3歳児と接することがとても重要です。
子どもの世界を壊さない
また、汚い言葉はこの年齢の子ども同士の仲間意識でもあり冗談でもあります。おおらかな目で見守ってあげましょう。
保育士さんが子ども達に伝えるべきことは、それらを止めることではなく、社会の中でどんな風にしたらみんなと心地よく過ごせるかということが大切だと私は思っています。
例えば園庭でシャベルで土を掘りながら大きな山や川を作り、汗して夢中になって遊ぶ中で、
「おい、おれはこっちから水を流すからな!」
「うわあ、海ができた!おれたちすごいなあ!」
と気持ちが盛り上がるほどにいつも家で自分のことを「○○くんがね」と話している子が「おれ」になることはよくあります。
そんな仲間同士で作った秘密基地にこそこそ入って「う◯ち」「ぶりぶり~」という言葉のやり取りだけで大笑いして遊んだりします。
でも散歩に行ったとき、知らない人に道で出会ったら「う◯ち」というのではなく「こんにちは」と言ったほうがその人と楽しいやり取りができるということを伝えていかなくてはなりません。
なので、難しいとは思いますが、子どもの世界を認めたうえで、保育士さんは社会性も育てていくことを意識することを考えなくてはいけません。
そうすることで、わがままではない子に育ち、子どもの世界を認めてくれる保育士さんのことを子どもはもっと大好きになるはずです。
3歳児におススメの遊び
この時期は本当によく動く時期なので、雨の日も晴れの日も体を動かして遊ぶことがお勧めです。
室内でオススメ遊び
室内で体を動かす遊びとしては、リズム(リトミック)で走ったり、跳んだり、転がったりするのが楽しいのでオススメです。
3歳児はとにかく走るのが大好きなので、保育士さんも一緒に音楽に合わせて走ると、みんなで走っているそのことだけでとにかく大盛り上がりになります。
また、3歳児はごっこあそびが大好きなので、大型積み木で家を作って、お母さん役、お兄さん役など役を決めて遊べば、夢中になります。
これも保育士さんが中に入ると、いつもあまり遊ばない子どうしもごっこ遊びの中の関係性でつなぐことができたり、イメージを膨らませるお手伝いができたりします。
そんなごっこ遊びは、今度子どもどうしでごっこ遊びなどをするときの肥やしになります。
他にも
- 積み木
- 花形ビーズ
- お絵かき
- 粘土
- 新聞紙あそび
など、自分で自由に出して遊んで良い環境をつくっておけば、子ども達は自分なりの遊びを楽しむでしょう。
ただ、自由保育の時間は、
- 遊びに集中して遊ぶ子と
- たたかいごっこ
- 人の使っているものを取る子
- ぼんやりしているだけの子
- など遊びこむのが難しい子もいます。
そんな子と保育士さんは一緒に遊んでいくと良いでしょう。
室外でのオススメ遊び
室外でも走る遊びがお勧めです。
鬼ごっこ、かけっこなど、簡単なルールのある遊びの中で毎日たくさん走るのが良いでしょう。
また、ジャングルジムや斜面のぼり、一本橋など、よじ登ったり飛び降りたりする遊びも大好きな時期です。
シャベルも上手に使い、土を掘ったり水を流したりと、友達と共通のイメージを持って遊ぶことができます。
ルールのある遊びは簡単なものが良いでしょう。
3歳児でやる主なイベント
では、次に3歳児の時に行う主なイベントを紹介していきます。
運動や発表会を決める際の注意点などを紹介していくので、今3歳時を持っている方やこれから担当になる方は是非参考にしてみてください
運動会・発表会は普段の遊びの中から
運動会では
- 日々の中で遊びこんできた走ること
- よじ登ること
- 飛び降りること
簡単にいえば、一本橋を組み合わせた障害物を発表する場にすると子ども達は得意なことを見てもらうので自信につながります。
やりたい気持ちはあるけれどちょっと苦手というようなことも運動会に向けて頑張ることで、「できるようになった喜び」を感じられます。
これは主に上記のような運動的なことで子ども自身が「あの子みたいにかっこよく飛び降りたい」「太鼓橋が渡れるようになりたい」という欲求があるときです。
保育士がやらせたいけれど子ども自身に興味がない場合、あまり無理強いすると負担になるばかりです。
だから運動会の内容を決めるときには、子ども達が興味をもって取り組みたがるような(憧れ)ものを普段の遊びの中から取ってくると良いです。
また、運動会や発表会では、簡単な振付やセリフのある課題もできるようになります。
そのような課題をやり遂げることに喜びも感じる年齢です。
でもほんの少しの課題で十分なのです。
音に合わせてカスタネットをたたく、ポンポンを持って大きく腕を振って踊るなど単純なことが良いです。
なぜなら難しい動きは憧れてもできないので負担になり、細かい動きだと小さな3歳児が大きい場所で踊っても見栄えがしません。
単純で子どもも見ている人もわかりやすいものをすると達成感があります。
製作は単純なものが良い
ハサミやのりが上手に使えるようになり、製作も保育士がリメイクしなくても作品になっていきます。
しかし、まだハサミで複雑なものを切るのは難しいので、切り落として楽しめるようなものが良いでしょう。
自分で切り落とした折り紙のかけらをノリで紙にはりつけ、お花畑に見立てて真ん中に自分をペンで描くのも楽しいです。
折り紙も複雑なものは難しいですが、コップなど単純なものをたくさん作って、おやつのお皿代わりにしても盛り上がります。
単純なもので「こんなものを作ろう」と保育士さんが指示したものを楽しむ年齢です。
3歳児の保護者との接し方
3歳児を持つ保護者が一番手を焼いているのは、「自分が一番」で「じっとしていない」というところです。
買い物に行こうとしても「一番に乗るの!」と言って、先に乗ろうとした弟を車からおろして乗ろうとしたり、スーパーでも走り回ったり大きな声を出したりと大変という話をよく聞きます。
保育園での姿以上に家でははじけてしまいがちなことを保育士さんは知っておいたほうが良いでしょう。
だから
「園では、順番でと話せば、一番じゃなくても待てますよ。おうちでもきちんと話してみてください」
と伝えれば、保護者は
「わかってくれない」
「できない自分を責められた」
という捉え方になってしまうのです。
なので、保護者に対しては
「一番がいいと言ったり、じっとしていなくて大変ですよね。園で力いっぱいお友達と主張しあい、走り回る生活があるからですしょうね。場所によって違うことや、他の人の気持ちを感じ取ることを今同時に知っていっているのです。園でも伝えていきますので、おうちでも伝えていってくださいね。そうしたら4歳を超えてしばらくした頃にはずいぶん落ち着いてきますよ。」
と話をすれば、一緒に3歳児の次の姿を目指して接することができますし、保護者も今どうすれば良いのか、この姿は今だけなのだとわかって、気持ちが楽になるのです。
これは経験をしないとなかなか難しいですが、保育士は子供と接する仕事でもあり、それ以上に保護者とも上手に付き合っていかないといけない仕事です。
言葉ひとつで保護者との関係がダメになってしまうこともあるので、十分気をつけるようにしてくださいね。
まとめ
どの年齢もそうですが、その前の時代を十分に発揮した子は自然とその次の姿を見せてくれます。
それはとても自然で健全な姿なのです。
そしてその姿は大人から見たら一見困った姿もありますが、十分にその年齢を生きれば、またその次の姿が花開くのです。
3歳児は「自分が一番」で「一生のうちで一番動く」時期。
困った姿もたくさんありますが、「大したもんだ」という姿もたくさん見られるはずです。
その自己肯定感や動くことの楽しさを「大したもんだ」とその成長ぶりを喜んであげてください。
3歳児クラスの終わりごろに、自己肯定感があり、思いやりもある姿や、動くことが好きで生き生きと遊ぶ姿を見て、一年の保育が間違っていなかったことを知ることができるはずです。
これから3歳児を持つ方やいずれ3歳児を担当する予定の方は少し参考にしてみてください。
1歳児や2歳児との接し方についても紹介しているので、参考までに。