保育士という職業は、子どもの成長を実感できる、他にはない魅力を持った仕事です。

それでも、職場に強い不満があったりしたら、心に疲労がたまっていくこともありますよね。

働くことが苦痛になり、保育士を辞めたいと思う時もあると思います。

そのような悩みを持っている方向けに、保育士を辞めて他に道がないか、異業種の転職先について紹介します。参考になれば幸いです。

保育士を辞めたいと思う人は意外と多い

保育士は、子どもたちのあこがれの職業の一つで、ベスト10に入ることも多いです。

しかし、夢を持って保育士になった方たちも、保育士として働きだすと想像以上に過酷な現場に、辞めたいと思い始める方も多いのも事実です。

東京都保育士実態調査報告書(2014年/ 東京都福祉保健局)によれば、現在保育士として働いている人のうち、離職を考えている人の割合は、約2割だそうです。

5人に1人ということですから、これは多いと思いませんか。

保育士の処遇改善は進んでいますが、保育士を辞めたいと考えている方は多いのです。

保育士辞めたいと思っている人たちの声

保育士を辞めたいと考えている方の生の声をtwitterから拾いました。

保育士の皆さんの過酷な労働の状態が浮かんできて胸が痛みます。

あなたにも覚えがあるかもしれませんね。

ここにあるような人間関係低賃金労働環境は、保育士という仕事の問題点として必ずあげられます。

そうした問題点は、個人では解決できないため、そんな職場にはまってしまうと、心が折れてしまう方も多いかと思います。

ただし、すべての保育士の方が同じような思いを抱えているわけではありません

また、すべての園に問題があるわけではありません。

現状に満足している保育士もいますし、職場環境の良い園もあることは忘れないようにしたいですね。

保育士を辞めたい傾向が強い20代

先ほどの保育士実態調査によると、保育士を辞めたい理由は、どの年代でも以下3つです。

  • 給料が安い
  • 仕事量が多い
  • 労働時間が長い

その中でも「給料が安い」という項目は一番に挙がります。

6割近い保育士の改善希望にも上がっています。

また、20代の保育士に限っていえば、更に早期に辞めたいと思う傾向が強いようです。

20代の保育士は、他の年代よりも以下の項目が重荷になっていると調査結果に出ています。

  • 職場の人間関係
  • 職業適性に対する不安
  • 保護者対応

それぐらいプレッシャーにさらされているということですね。

なので、あなたがもし20代の保育士で、辞めたいという思いを強く持っているとしても、ある意味、自然なことなのかもしれません。

あまり気に病まないようにしてくださいね。

保育士が異業種に転職するのは難しい?簡単ではない

保育士の仕事がつらいと感じている方の中には、他の園に移るというよりも保育士自体を辞めてしまおうという方もいますよね。

ただ、保育士から全くの異業種に転職するのは、そう簡単ではありません。

例:保育士から事務職への転職

例えば、保育士から事務職に転職したいという声はよく聞きます。

しかし、そもそも保育士から事務職への転職は、ハードルが高いと一般的に言われています。

それは保育士にとってはいくら事務職でも異職種なので、全くの畑違いだからです。

私自身、保育士から事務職に転職しましたが、書類で落ち続けました。

なので、最後には保育士経験は伏せて、その前職の事務職の経験だけをPRしました。

個人的な感想ですが、事務系の職種を探す場合、保育士の資格・経験がデメリットになる場合も多いように感じます

世間では「保育士=事務の仕事はしたことがない、向いていない」というイメージが強いのかもしれません。

私の周りでも、保育士を辞めた後、派遣社員として事務職に就き、その後正社員になるなどした方はいますが、保育士→直接事務職という転職は知りません。

なぜなら、どの企業も経験者を求めていますから、保育士から全くの未経験で事務職になろうとするのは相当困難なのです。

なので、保育士から事務職への転職を考えている方は、派遣社員などでもいいので事務職の経験を何らかの形で積むことが、まずは近道になると思います。

保育士から異業種への転職体験談

保育士から、全く畑違いの異業種・異職種に転職している方たちの声を集めました。

参考にしてみてください。

保育士→販売促進(ヘアケア・スキンケア用品)20代

保育士以外の選択肢を考えたことがなかったので、はじめは自分が何をやりたいのか、わかりませんでした。だから、まず次の仕事に求める条件を紙に書き出して考えたんです。受けたのは23社。ですが、その大半が書類選考で落ちてしまいました。今は、商品をまとめたチラシの制作に取り組んでいます。

「成功の秘訣 私の転職体験記」(エン転職)より

 

保育士→営業職(ウェディング) 30代

就職活動をする前にいろいろと考えてみました。そして「人生の中で一番幸せと感じる瞬間ってどこだろう?」と考えた結果、「結婚式」が思い浮かびました。そこで、ブライダル業界へと飛び込む決意をしました。幼稚園や保育園でのお仕事も、もちろん忙しかったのですが、比較的自分のペースで仕事を進められていました。一方で、ウエディングプランナーはぐるぐると慌ただしく振り回されるように働いていましたね。

「LiBz WorkStyle」より

上記のように、少数ですが、自分のやりたいことを明確にし、未経験の分野に転職している方たちもいるようです。

その場合、保育士のキャリアは一度終えて、キャリアチェンジになります。

次の職場で保育士の資格や経験を活かすことはほとんどないようです。

なので、保育士の仕事はすっぱりやめて新しい仕事にまい進したい方には向いています

しかし、保育士の仕事に愛着があったり、経験を生かしたい方向きの道ではありませんね。

保育士の資格を活かしたおすすめの転職先7つ

あなたの持つ保育士資格や、今まで培ってきた経験を活かせる仕事はあるのでしょうか。

転職サイトなどを複数見てみると、保育士資格者を歓迎している業種は以下7つが多いです。

おそらく保育士としてあなたがしてきた仕事に比較的近い仕事になるでしょう。

代表的なものと、その仕事の考えられるメリット・デメリットについて紹介しますので参考にしてください。

ベビーシッター

個人宅、企業内や託児所内、またはイベント会場などにおいて、子どもの面倒を見る仕事です。

最近では、保育園、幼稚園、塾など習い事への送迎や病児保育などの分野も求められています。

だいたい6ヵ月~12歳までの子どもが対象です。赤ちゃんだけでなく、小学生も対象になることは意外と知られていません。

派遣会社に登録して、派遣やアルバイト・パートの形態で働くことが多いようです。

稀に正社員として働く人もいます。

ベビーシッターのメリット

  • 週1日からでもOKな場合もある
  • 預かる子どもが少数のことが多い
  • 時給が高め
  • 保育士の資格・経験を活かせる

ベビーシッターのデメリット

  • 一人で子どもを見る責任の発生
  • 時給の場合、収入が不安定

保育士資格・経験を生かしたい方にはおすすめですが、非正規雇用も多く収入が安定しない場合もあるようです。

病院内保育施設の保育士

病院内保育施設とは、医師や看護師が自分の子どもを預ける保育施設で、病院が独自に設置しているものです。

特徴としては、医師や看護師の仕事の性格上、24時間体制になります。

普通の認可保育園と変わらずに、子どもを預かり保育します。施設は様々ですが、園庭がないなど比較的簡素な場合がほとんどです。

病院内保育施設の保育士のメリット

  • 若干高めの収入(夜勤手当などあり)
  • 行事も少なく、保育内容がシンプル
  • 小規模保育
  • 保護者が近くにいる

病院内保育施設の保育士のデメリット

  • 夜勤があることが多い
  • 変則的なシフト勤務
  • 保育内容、施設が簡素

保育士として、今までと違う環境で働きたい方にはおすすめですが、24時間体制なので、独特のシフト勤務になることもあります

企業内保育施設の保育士

企業内保育施設とは、その企業の従業員が就業中に子どもを預けられるようにした保育施設で、企業が独自に設置しているものです。

平成28年度からは新制度により「企業主導型保育事業」が加わり、その数は増えています。

特徴としては、病院内保育施設に近く、施設自体は簡素な場合がほとんどのようです。

企業自体が独自に運営している場合もありますが、最近では保育園運営企業が運営を請け負っています。

そうなると、普通の保育園とあまり変わらない仕事になる可能性があります。

企業内保育施設の保育士のメリット

  • 企業によっては福利厚生が充実している
  • 行事も少なく、保育内容がシンプル
  • 小規模保育
  • 保護者が近くにいる

企業内保育施設の保育士のデメリット

  • 保育内容、施設が簡素
  • 通常の保育園とあまり変化なし

新しい環境で働きたい保育士の方にはおすすめできますが、保育内容には大きな違いはない場合が多いです。

保育ママ

保育ママとは、主に保育園に入園できない子どもを自宅で保育します。

家庭福祉員家庭的保育者とも言われます。

保育ママは就職するわけではなく、個人事業主ですから、開業することになります。

開業には自治体からの認定を受ける必要があり、認定の基準は各自治体によって異なるようです。

保育ママのメリット

  • 自宅で仕事が可能
  • 独立開業できる
  • すべて自分の裁量で行える
  • 少人数での保育

保育ママのデメリット

  • 自宅が仕事場になり、プライバシーが保てない
  • 一人なので、責任が重大
  • 開業には子育て経験必須などの条件が多い
  • 個人事業主なので経理関係の仕事もある
  • 収入が不安定

自宅を使って開業したいと考える方には向いていますが、個人事業主になることに抵抗がある方には向きません。

学童保育の放課後児童指導員

学童保育とは、留守家庭の小学生が放課後を安全に過ごせるようにする施設のことです。

放課後や夏休みなどの長期休みに子どもを預かります。

放課後指導員の主な仕事は、放課後の小学生が遊んだり宿題をしたりするのを見守り、安全を確保することになります。

放課後児童指導員になるには、保育士の資格が必須ではありません

ただ、求人を見ると、保育士資格を優遇することが多いです。

学童保育の放課後児童指導員のメリット

  • 正規職員なら、保育士と同程度の給料
  • 幼児よりも手間のかからない場合がある
  • 子どもたちと触れ合える
  • 保育士より残業が少ないことが多い
  • 男性も多い職場

学童保育の放課後児童指導員のデメリット

  • 小学生ならではの暴言やいじめなども多い
  • 小学生相手の体力が必要

小学生(主に低学年)が対象になりますから、学齢の高い子どもの保育に興味のある方には向いています

放課後等デイサービスの指導員

放課後等デイサービスは最近増えてきていますので、知っている方も多いのではないでしょうか。

2012年に制度化された新しい業態です。

放課後等デイサービスとは、発達障害を含めた障がいのある子どもたち(6~18歳)が、放課後や長期休暇中に利用できる施設のことです。

障がい児のための学童保育」と考えていいと思います。

指導員には保育士資格は必須ではありませんが優遇される傾向にあります。

放課後等デイサービスの指導員のメリット

  • 障がいのある子のケアを身につけられる
  • 幅広い年齢の子と触れ合える
  • 社会貢献度が高い
  • 保育士より残業が少ないことが多い

放課後等デイサービスの指導員のデメリット

  • 保育士の経験がそのまま生かせるわけではない
  • 障がいによって一人ひとりのニーズが異なる

障がいのある子どもたちの保育に興味のある方は向いています。

乳児院・児童養護施設の施設保育士

乳児院・児童養護施設とは、保護者の病気や死別などの理由で一緒に生活できない子どもたちを育てる施設です。

乳児院の対象は満1歳未満の乳児です。未就学の幼児もいることがあります。

児童養護施設には、1歳以上~20歳未満の子どもたちがいます。

乳児院や児童養護施設は入所施設ですから、子どもたちは生活をしています。

なので、24時間体制で、子どもたちの養育を行います。

乳児院・児童養護施設の児童指導員のメリット

  • 子どもたちと深い交流ができる
  • 親代わりとしての経験ができる
  • 幅広い年齢の子と触れ合える

乳児院・児童養護施設の児童指導員のデメリット

  • 専門性、スキルが求められる
  • 児童養護施設は信頼関係を築くのが大変

心のケアの必要な子も多いので、子どもたちに向き合って深く交わり、自分自身を成長させたい方には向いています。

乳児院・児童養護施設以外にも、助産施設や母子生活支援施設など、施設保育士には他に種類がありますので、興味のある方は調べてみてください。

保育士の資格を活かした転職先まとめ

以上、保育士の資格を活かした転職先を紹介しました。

いずれの仕事も、保育士としての魅力である子どもとのふれあいの場面が多く、やりがいのある仕事ですから、参考にしてみてください。

あなたのように、保育士を辞めて異業種転職を考えている方は多いです。

ただ、一度保育園を辞めて転職しても、また保育士に戻る人も多いのが現状です。

私の周りにもそうした保育士の方が数多くいました。

保育園には、他では味わえない魅力があるのかもしれません。

まとめ:保育士から異業種への転職は大変なことは覚えておこう

異業種への転職を検討し始めると、いろいろと迷いも生じてきますよね。

保育士の経験をリセットした方がいいのか、このまま経験を活かした職に就いた方がいいのか・・・

そんな時は、前向きな転職にするために、自分が何にやりがいを感じて、日々働いているかを考えてみてください。

なぜなら、これからの職業人生で、やりがいを持って笑顔で働いていけることが一番重要だからです。

なので、転職を考え始めたこのタイミングが、今を見つめなおすいい機会になると思いますよ。

ぜひよく考えて、後悔のない転職をしてください。