保育士が不足しているとはいえ、少子化は進みます。
これからの保育士には、次世代を担う人材育成という重大な責任があります。
仕事柄、保育のスペシャリストとしてのさらなるスキルアップが要求されてくるのは仕方ないことです。
常日頃から時勢を読んでスキルアップを心がけることは、転職の際に自分の活躍の場を確保し、自分の市場価値を高めるという意味でも強みになります。
では、実際、どのような資格が役に立つといえるのか調査してみました。
幼稚園教諭
もともと、幼稚園は幼稚園教諭、保育所は保育士職員の資格が必要で、管轄も、幼稚園は文部科学省、保育所は厚生労働省で、それぞれ別ものでした。
ところが、国が経済効果と保育園の待機児童の解消をねらって、また、保護者の就労形態にかかわらず、子どもが保育・教育の機会を等しく得ることができるようにと、幼保一元化施設を推進している流れがあります。
したがって、今後多くの幼保一元化施設が現れることが予想され、保育士が幼稚園教諭免許を持っているというのは、大変有利なことなのです。
2005年より幼稚園教員認定試験という文部科学省の実施する教員資格認定試験も開始されましたが、合格率は5~6%と大変低いのが現状です。
これについては、一般教養試験が非常に難易度が高く、合格点を得る受験生がほとんどいないといったことが原因の一つとなっています。
保育士として一定の実務経験(1ヵ月あたり120時間以上で3年以上の勤務経験)があれば、幼稚園教員資格認定試験を受けることができます。
チャイルドマインダー
チャイルドマインダーはイギリスで誕生し、100年以上の歴史があります。
質の高い個別保育を提供するプロフェッショナルに与えられる資格で、1~3人の少人数を対象に保育をするのがチャイルドマインダーです。
イギリスでは「国家職業基準資格」に該当し国家が認めた認証機関により認定されます。
家庭的な保育サービスを行う専門家であり、資格を取得すると、自宅で保育室を開業したり、外部の保育室に勤務したりすることができます。
集団保育では難しいような、子どもを主体とした「質の高いかかわり方」を追求しながら、一人ひとりの「個」を尊重し、自立心を育成する保育を実施します。
ありのままの姿を深い愛情でうけとめながら、自ら考える思考力を育て、自立心を育む環境を親とともにつくりあげていくのがチャイルドマインダーの役割です。
指定認定機関が指定する通信講座や通学講座を修了し、検定試験に合格することで資格を得られます。
合格率は100%に近く、保育士でも気軽に取れることから、チャイルドマインダーの資格を持つ人が、増えてきています。
ベビーシッター
依頼を受けて、主に依頼者の自宅で0~12歳ぐらいまでの子どもを預かり、保育するのがベビーシッターの仕事です。
実務経験が豊富な人や、看護師の資格を持っている人は、病児保育や障害児保育の依頼を受けることもあります。
ベビーシッターという職業に資格は必要ありませんでしたが、2000年11月より社団法人全国ベビーシッター協会が認定試験制度をスタートさせました。
その他の子どもに関わる認定資格
その他にもいくつか、
- 幼児教育アドバイザー
- チャイルドケア
- チャイルドコーチング
といった、認定資格を実施している団体の試験に合格することで取得できる資格があります。
これらは、ご自分の興味と方向性に合わせて必要があれば、取得すればよいでしょう。
こうした認定資格は、その資格を持っていること自体が強みになるというよりは、面接の際に、自分が何に興味があって、どういうことができる人材なのかをアピールする道具として使えます。
福祉関係の資格もアリ
そして、子どもたちの安全にもつながる救急救命士資格や、社会福祉士、介護福祉士、ホームヘルパーなども、持っているに越したことはありません。
就職する施設の幅も広がりますし、何より知識が豊富になります。
とっさの事故への対応力、他人への思いやりの心を学ぶことは、保育士として決してムダにはなりません。
その他の役に立つ技術
また、これは資格ではありませんが、ピアノの技術をみがいたり、絵を上手に描いたり、字を丁寧にかけるように力をつけておくことも大切です。
自分の技能を高めることで、より子どもの情操教育に役立てることが出来ます。
子どものお手本にもなり、保護者への印象にも影響します。
イベントなどに活用できるマジックやレクリエーションの知識や技術を習得したり、フィールドワークのテクニックを身につけたり、自然観察員やネイチャーゲームの指導員の資格を取る人もいるようです。
さらに、英検やTOEICといった英語力を証明する資格もあれば、外国人児童を受け入れている保育園や保護者とのコミュニケーションに役立ちますし、インターナショナルスクールや英語教育に力を入れている保育所などへの転職に生かせます。
子どものためとはいえ、自分が興味のあるもの、楽しめるものから、取り組んでいけるとよいでしょう。