保育園で働く職員は保育士だけではありません。栄養士や調理師、事務員が在籍している保育園もあります。
そして、保育士資格を持っていなくても、子どもと関わり保育に携わる人もいます。それが保育補助の仕事です。保育士と名乗ることはできませんが、保育園で働く大事な戦力です。
無資格の人といっても子育て経験のある方、保育士になるための勉強中の方、保育士の仕事に憧れを抱いている方など保育園で働こうと思った経緯は様々です。
そこでこの記事では、保育士としてどの様に無資格の人と接すれば良いのか?伝えるべきことや関わり方をご紹介します。
無資格で保育に携わる方法とは?
認可保育所では国の基準により、子どもの人数に対する保育士の人数が定められています。無資格の人は、その保育士の1人として働くことはできません。
しかし、認可保育所でも無資格の人を雇う場合があります。それが保育補助の仕事です。国の認可基準では、保育士の手が足りない時間帯がどうしても出てきてしまいます。
→保育士免許がなくても保育園で働ける保育補助と保育士の違いとは
日中の忙しい時間帯や受け入れや送り出しが必要な登降園の時間帯など、保育補助の職員がいてくれることで、子どもと余裕を持って関わることができます。
保育士の仕事が軽減されることで、気持ちにゆとりがうまれ保育がスムーズに行えるというメリットもあるのです。
認可保育所においても、保育補助の存在は大きな意味を持つと言えるでしょう。
また認可外保育所では、働く職員の3分の1が保育士資格を有していることと定められています。そのため、働く職員の3分の2は保育士資格を有していなくても働くことができるのです。
認可保育所では少人数ですが、認可外保育所ではより多くの無資格の人(保育補助)が働くことが可能です。
無資格の人の主な仕事内容
遊びの設定をしたり、保育計画をたて主活動を行うのは保育士の仕事です。その保育士が円滑に保育を行えるように手助けをするのが保育補助の役割です。具体的に見ていきましょう。
子どもとの関りの他にも、環境整備や雑務が多いことも保育補助の仕事の特徴です。製作準備では、保育士が見本を作りそれをクラスの子どもの人数分作るという作業を行います。
また保育園は集団生活ですが、0,1,2歳児の小さな子ども達は特に集団での活動が難しい場面が多くあります。
そんな時に、子どもの気持ちを汲み取りながら対応し、主活動に戻してあげることも保育補助の大切な役割りです。
時には保育士の判断により、集団活動に戻らずに保育補助との1対1の関わりの中で満足できるような対応をすることもあります。
保育士として無資格の人に伝えるべきこと
無資格であっても同じ保育園で働き、子どもの成長を見守る仲間です。しかし、保育士資格を有している人とは、保育に関する知識量は違います。
子どもと適切に関わってもらうために、また保育を円滑に進めるためには、1つひとつ丁寧に伝えることが大切です。
ポイントをご説明します。
保育に入る前に伝えておくこと
保育が始まる前にまずは、伝えるべきことがあります。それが1日の保育の流れです。
採用された際に大まかな仕事内容は伝えられていますが、子どもの年齢によって生活の流れは大きく違います。自分が担当しているクラスでの1日の流れを伝えましょう。
無資格の人には個別対応や雑用を頼むことが多いですが、保育の流れを伝えておくことで、全ての仕事を見通しを持って行うことができます。
例えば、散歩の時間に合わせておむつ替えを終わらせられるようにする、子ども達がお昼寝から起きる時間の前には製作準備などの作業を切り上げる、など自分で考えて動いてくれます。
その結果、その都度全ての時間を伝えなくても良いので保育が円滑に進みますよ。
もちろん、1日の流れを伝えたからと言って自分で考えて動いてくれる人ばかりではないので、相手の働き方に合わせて対応してあげて下さい。
仕事内容は具体的に分かりやすく!
無資格の人は、子育て経験があったとしても保育士に憧れを抱いていたとしても、保育の知識は持っていません。
仕事を伝える時には、保育士ならば知っていて当たり前という気持ちは捨てて、具体的に分かりやすく伝えましょう。
例えば環境整備では
「部屋の掃除機をかけて、アルコール消毒をお願いします」
ではなく
「床は掃除機をかけて、その後アルコール消毒をお願いします。子どもや保育士が触れる棚やドアノブ、ガラスもアルコールで拭いてください」
と伝えます。
必要な道具も初めは用意をしてあげて下さい。
保育士として働いていると、「アルコール消毒をしてください」の一言で室内の床や棚、ドアノブの消毒をすることが当たり前と思ってしまいがちです。
しかし、自宅では子どもがいたとしても、なかなかそこまでの消毒はしません。
子どもの対応にしても、お昼寝の寝かしつけで
「この子の寝かしつけをしてください」
ではなく
「背中や頭を撫でながら、気持ちよく眠れるようにしてあげてください」
とやり方を具体的に伝えてあげると良いでしょう。
初めは全く知識がないものとして対応した方が、無資格の人も早く仕事を覚えてくれます。
情報共有を大切にする
職員間の情報共有は子どもへの適切な対応をする上で、大切なことです。保育士間では、職員会議やクラス会議などで情報共有がされていますが、無資格の人は会議に出ないことが多いかと思います。
しかし、無資格の人も子どもと関わる大人の1人です。子どもの発達状況や現在の様子について把握していなければ適切な対応はできません。
特に、噛みつきや引っ掻きが多い子どもや、歩行が不安定でよく転倒する子どもなど怪我に繋がるような情報は必ず無資格の人にも共有するようにしましょう。
無資格の人が傍にいても、子どもの様子を把握していなければ怪我を防ぐことはできません。
保育中の子供の怪我は、保育園と保育士の責任です。無資格の人にも情報を共有することで、怪我への危険性を減らすことができますよ。
指示ではなくお願いをする
保育士と無資格の人の関係は、保育士が指示をして無資格の人が指示を受けるという立場になります。
しかし、無資格の人が保育士よりもかなり年上の場合もありますし、保育士になりたての時には無資格の人の方が、保育園で働いている経験が長いという状況も多くあります。
ほとんどの方は自分と保育士の立場の違いを理解し、指示をされたことを気持ちよく引き受けてくれます。しかし、仕事の頼み方1つで雰囲気が険悪になってしまうことも…。
仕事を頼む時のポイントは、「〇〇をしてください」と指示をするのではなく、「〇〇をお願いします」や「してもらっても良いですか」とお願いをすることです。
保育士と無資格の人は、立場は違いますが上司と部下ではありません。同じ保育園で働く対等な職員です。
保育士になりたての頃だけではなく、保育士として経験を重ねてからも、お願いをするというスタンスを守り続けると、無資格の人と良好な関係を築くことができます。
保育園で働く職員は子ども達にとっては、保育士も無資格の人も同じように大好きな先生です。子ども達のためにも良好な関係を築いていきたいですね。
無資格の人もやりがいを持てるような関りとは?
無資格の人が保育園で働く理由は様々ですが、子どもが好きで子どもと関わる仕事がしたいという人が多いです。
しかし、実際には子どもと関わるよりも雑用の方が多い、思っていたような子どもとの関りができないとやる気をなくしてしまう人も…。
そんな時には、その仕事をする理由と感謝の気持ちを伝えましょう。雑用も保育に欠かせない仕事です。
「しっかりと消毒をしてくれているので、子どもの感染症が流行らなかったです。ありがとうございます。」とどうして室内の消毒をするのかという理由と、感謝の気持ちを伝えるだけでやる気は断然アップします。
製作の準備でも、「子ども達がとても喜んでいました。丁寧な作業で助かります。」と子どもの様子を伝えることで、次からはもっと丁寧に作業をしようという自信につながります。
自分が保育園の役に立っている、保育士から認められているということ感じるとやりがいに繋がるのです。感謝の気持ちとその仕事の意義を伝えてみてくださいね。
まとめ
保育士と無資格の人、立場の違いはありますが一緒に働く大事な仲間です。
仕事の指示をするだけではなく、良好な関係になれるようなコミュニケーションをとることは円滑な保育に繋がります。
また、中には保育士を目指して保育園で働いている無資格の人もいます。そんな時には保育の知識や経験を存分に伝えてあげてください。
保育士資格を取得し、数年後には保育士として一緒に働ける日がくるかもしれませんよ。
無資格の人と働く時には、ぜひ参考にしてみてくださいね。
保育士補助員のお仕事が少しでも楽になれる秘訣ってないかな。誰か教えて。