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保育士は離職率が高く、復職率の低い職業と言われています。

専門学校や短期大学などで勉強を積み重ね、長い実習に耐え、国家資格を取得した保育士。

それにもかかわらず、保育士を辞め、違う道を選んでしまう人が多いのはなぜでしょうか。

保育士な転職する理由を、元保育士である私の体験を踏まえてまとめてみました。

仕事は重く、そして多い

保育士は、子どもの命を預かるとても責任の重い仕事です。

子どもから目を離すことはできません。

一人担任の先生は特に、トイレに行く暇もないほど忙しいのです。

怪我がないか、事故が起きないかだけ注意すればいいというわけではありません。

子どもたちのことを考え、成長をサポートしなければなりません。

子どもの気持ちを汲み取り、求めていることを考え行動するのです。

また、保育士の仕事は、子どもたち相手だけではありません。

最近は特に、保護者支援も大切になってきています。

お昼寝の時間には、一人一人に連絡帳を書き、様子を伝えます。

勤務が終わっても持ち帰りの仕事がたくさん待っています。

特に行事の前は衣装などもあり、更に製作物が増えます。

書類は園にもよりますが、クラスの年間計画、日々の日誌、一人一人にそれぞれの月案などがあります。

早出や居残りのある不規則な勤務時間の中、仕事量は多く、個人にかかる負担は大きいのです。

仕事量に見合わない賃金の低さ

一般的に保育士の月給は約20万といわれています。

でもそれは公立の保育園を合わせたらの話です。

私立の小規模園では総支給で16万、手取りだと13万円のところも少なくありません。

実際に私が勤めていた園もそうでした。

そんな少ない賃金にもかかわらず、先程述べたように仕事量は非常に多いのです。

仕事量に見合った賃金ではないのです。

寝る間も惜しんで持ち帰りで必死に作った壁面は、残念ながら1円にもならないのが現実です。

同じような賃金でも、定時に帰れて持ち帰りの仕事が少ない職業の方が楽ですよね。

転職してしまう人が多いのも仕方ありません。

保護者に対する気疲れ

最近よく聞くモンスターペアレンツ。

その矛先は保育士にも向いています。

保護者は大切な我が子を預けているのですから、神経質になるのも仕方ありません。

しかし、人が人を育てているのです。完璧なんてありません。

信頼関係が成り立って初めて安心して子どもを預けることができるのです。

その歯車がズレてしまうと、どんどん噛み合わなくなり溝が出来てしまいます。

例えばよくある苦情として、写真に自分の子があまり写っていない、ということがあります。

「写真が少ない=自分の子どもを見てくれていない」と思ってしまうのです。

きっかけは写真という些細なことですが、些細なことでも信頼関係につながってくるのです。

0歳児クラスでは噛みつきが多発します。

言葉で伝えることができないので、噛み付いてしまうことは正常な発達としてよくあることですが、保育の知識がなければ「何で噛み付くの?!」と思ってしまうでしょう。

もちろん現場はそのようなことがないように細心の注意を払っていますが、保育園は1対1ではありません。0歳児クラスでさえ、保育士1人に対して子どもが3人です。

とっさのことでどうしても止めることができないこともあるのです。

しかし、それを言ってしまっては言い訳ととられてしまいます。ひたすら謝ることしか出来ません。

保護者への気づかいは神経をかなりつかいます。気疲れしてしまうのも無理はありません。

理想と現実のギャップ

子どもが大好きで憧れていた保育士の仕事。特に就職して1年目は、思い描いていた理想とのギャップに悩まされることも多いでしょう。

私は、笑顔を大切にし、子どもたちに優しく接する保育士になりたいと思っていました。

しかし、何度言っても聞かない子もいれば、わざといたずらばかりしてしまう子もいます。

どうしてもイライラし、子どもにきつく言ってしまい、後で後悔するなんてことが多々ありました。

褒めて伸ばすのが良いと分かっていながら、声をあらげてしまうこともありました。

また、やんちゃ盛りの子どもたち。例えば「静かにしましょう」と言うだけでは静かにする訳もなく、なかなか聞いてくれません。

自分の無力さを感じたこともありました。自分は保育士に向いていないんじゃないかと悩む日々もありました。

子どもたちのためにしてあげたいことがたくさんあったのに、日々の保育に追われ、思うようにはいきませんでした。

子どものことを思うあまり、いっぱいいっぱいになり、保育現場から離れ、転職の道を選んでしまう人もいるのです。

このように、肉体的にも精神的にもきつい保育士の仕事。正直、労働環境が良いとはいえません。

ニコニコとした笑顔の裏で、過酷な状況のもと、働く保育士。保育士を辞め、保育とは全く違う仕事をし、新たな自分を見つけようとする人も多いのが実態です。