保育士の需要が高まり、求人が増える中で、保育士未経験の方でも活躍できるようになってきています。
そうはいっても、未経験の方は、果たして転職先があるかどうか不安はなかなか消えないものです。
まず前提として、未経験の保育士といっても、主に以下の2種類があります。
- 資格なし・未経験
- 資格あり・未経験
その違いは、保育士資格を持っているかいないかですが、保育士という仕事にとって、資格の有り無しは大きな問題です。
ここでは、資格なし/ありで未経験の方、それぞれ保育士に転職するにはどうしたらいいか、方法や注意点を紹介します。参考にしてください。
保育士の需要は年々増えている
無資格・未経験で保育士として働けるかどうか不安な方が、まず知っておきたいのは、現在が未曽有の保育士不足の時期だということ。
主に首都圏での保育士不足は非常に多いです。
なぜ保育士が不足しているかというと、単純に待機児童が増えていることが主な要因です。
では、どのぐらい待機児童が増えているのでしょうか。
下記の図はここ近年の待機児童の状況です。
ご覧のように、最近の数字でも2万6千人以上と、待機児童数は高止まりしています。
そのため、受け皿としての保育園もどんどん新設されていっている現状です。
例えば、東京都の認可保育園は平成23年には1,800園でした。
それが平成28年には2,342園になっていますから、その数は500園以上増加。つまり、5年で3割増しになっています。
待機児童の話は、とりあえずはおいて置きますが、結局この待機児童の問題によって、保育士の働き口がどんどん増えているということをまずは覚えておいてください。
それは未経験の方にとってもチャンスが広がってきているということです。
求人が増加すると未経験でも転職は有利になる
大きな話でいうと、国は2022年度末までに、保育園に32万人の子どもの受け入れ増加を目指しています。これは相当大きな数字です。
そのためには、保育士を大幅に確保しなくてはいけませんので、保育士求人は年々増えています。
例えば、厚生労働省によれば、2017年の有効求人倍率は、東京都は5.99倍、ほぼ6倍です。それはつまり1人の保育士に、6件の求人がある状態です。
東京都だけでなく、全国で有効求人倍率は上がっています。
有効求人倍率が高いということは、それだけ未経験の方でも採用されやすくなっているということですので、
未経験の方でも転職活動をする前から、あまり深く心配しなくてもいいかもしれません。
資格なし・未経験で保育園で働く方法や注意点
それでは、資格なしで、保育園で働くことはできるのでしょうか。
結論から言うと、無資格でも保育園で働くことはできます。
その場合、正確には保育士ではなく、保育補助として勤務することになります。
保育補助の求人も、近年ではとても多くなってきているので、就職しやすい状況になっています。
ただ、
- 資格なし・未経験でも保育園で働ける保育補助という働き方
- 必ず必要になってくる保育士資格を取る方法があまりわからない方
のためにここで簡単に説明しますね。
保育補助から始める働き方
保育士資格を持たない未経験の方は、まずは保育補助からスタートするのが一般的です。
保育補助は、保育士のサポートが主な仕事で、子どもたちの活動の準備をしたり、食事の後片付けをしたりします。
子どもの保育に直接携わることもありますが、主な仕事は以下の内容です。
- 雑務(掃除や洗濯等)
- 子どもの保育(食事の補助、午睡監督等)
- 保育士の補助作業(掲示物作成等)
- 早番、遅番のサポート
仕事内容は園によって異なりますが、ほとんどがこのような内容。
待遇としては、基本的に、パート・アルバイトの非常勤職員となります。
ただし求人によっては、保育補助でも正社員として雇用してくれるところもあります。
いろいろな保育補助の求人などを見たい方はこちらでおすすめしている転職サイトに無料登録して見てみてください。
保育補助のメリットは?
中には、保育士の資格をまずはとって保育士として働きたいという方もいるかもしれません。
しかし、保育補助のメリットとしては、保育園で働くことで、自分の適性を見たり、保育士の仕事がどんなものなのかを肌で感じられるところです。
それに給料を貰いながら実務を経験することができるのも大きなメリットでしょう。
もし合わないと思ったら他の仕事に付くのもいいですし、そういう選択も保育補助の段階であればできますからね。
もちろん、そのまま継続して保育士になるのが一番いいですが、まずは経験するためにも保育補助から始めるのもおすすめです。
保育補助の仕事については、こちらにまとめてあるので、興味のある方は参考にしてください。
保育士資格を取りたい!その取り方は二つ
資格なし・未経験で保育補助として働きだしても、正規の保育士になりたいと思ったら、今度は必然的に保育士資格が必要になってきます。
なぜなら、保育補助の仕事には限界があり、担任になることもありませんし、自分が中心となって保育内容を決めることもできないからです。
さらに、保育補助の給与だけでは、通常、生活は成り立ちません。(ただし、扶養の範囲内で働く等条件がある方は別です)
そこでここでは保育士資格を取りたい方向けに、保育士の資格取得の主な方法について紹介しています。
ちなみに保育補助として働きながらでも実は保育士の資格を取得できるので、その方法も紹介しますね。
保育士養成施設に通う
保育士資格を取得したい場合、保育士養成施設に通うことが一つの方法です。
保育士養成施設に通学して卒業することで、保育士資格を取得できます。
保育士養成施設には、主に以下のような種類があります。
- 大学(4年制)
- 短期大学(2年制、3年制)
- 専門学校(2年制、3年制)
詳しい所在地の一覧は、全国保育士養成協議会のホームページに掲載されていますから、参考にしてください。
上記は学校なので、「年齢制限があるんじゃないの?」と思うかもしれませんが、年齢の制限はないので、誰でも通うこと可能です。
ただしこの方法は、保育士資格取得までに最短でも2年かかるので、時間をかけて取得を目指したい方向けです。
また、保育補助をしながら上記の保育士養成施設に通うのであれば、夜間課程と通信教育課程もあります。
興味のある方は、自宅や勤務先の近くにないか、調べてみてください。
保育士試験を受験する
もう一つの方法として、保育士試験を受けて資格を取る方法があり、これが最もコストの低い方法です。
年に2度、各都道府県で行われる保育士試験を受験し合格すると、保育士資格を取得できます。
保育士試験には年齢制限などはありませんが、以下の受験資格を満たしている必要があります。
平成30年9月現在の受験資格です。
- 4年制の大学を卒業した方
- 4年制大学に2年以上在学して62単位以上を取得した方
- 短大・高等専門学校を卒業、または卒業見込みの方
- 平成3年3月31日以前に高等学校を卒業した方
- 平成8年3月31日以前に高等学校の保育科を卒業した方
その他の詳しい規定は、全国保育士養成協議会のホームページに掲載されているので、受験前に必ず確認するようにしましょう。
また、保育士試験の詳細については、こちらの記事にもまとめています。ぜひ参考にしてください。
資格なし・未経験の求人を見つける際の注意点
資格なし・未経験の方がOKな求人は多数あります。
特に、朝や夕方など、人手が足りなくなる時間帯をカバーするための保育補助の仕事が多いと思ってよいでしょう。
しかし、いつくか求人を見る際にはいくつか注意しておくべきポイントがあります。
それが下記の4つです。
「無資格OK」とあっても条件がある場合も
無資格で応募可能な求人でも、資格取得見込みの方のみの場合があるので、注意が必要です。
その場合は、いつ保育士資格を取得予定なのか聞かれるはずなので、しっかりと答えられるようにしましょう。
また、保育士の資格を取る予定がない場合は、その求人は諦めてほかを探すのがおすすめです。
正社員可能な求人は給与をチェック
無資格の保育補助でも正社員可能な求人はあります。ただ、給与が異なることがほとんどです。
基本的に未経験や資格なしの場合は保育士資格手当が支払われませんから、有資格者より給与は安くなります。
このあたりも求人を見る際には必ず確認するようにしましょう。
あまりに安い場合は、アルバイトなどと兼用してやらないとならなくなりますので。
「未経験、ブランクあり歓迎!無資格の方もご相談ください」は要注意
幅広く求人を募集している園は、何らかの問題があって、入れ替わりが激しい場合があります。
特に
という文章には注意してください。
よくあるブラック企業と同じです。
もし、上記のような求人があればその園が頻繁に募集をしていないかなど、評判・口コミも可能な限り収集してみましょう。
自分の希望はきちんと伝える
保育補助がどのような業務になるのか、その園によって異なります。
しかも、その人のキャリアによって、雑用を任せたり、保育に関わってもらうかを決めることが多いようです。
なので、応募の際の履歴書には、希望があれば「保育に関わりたい」と記入したり、面接で必ず確認をするようにしてください。
そうすることで、自分がやりたい仕事を少しづつやらせてもらえる可能性は高くなりますので。
資格あり・未経験で保育士として働く際の注意点
資格あり・未経験の方の数はとても多く、一般的に潜在保育士と呼ばれています。
例えば、10年前に短大で資格を取ったけれど、保育士にならず別の職につき、現在、保育士に転職したいと考えている方などは、典型的な潜在保育士です。
そうした方は、自分は保育士として通用するのか、そもそも働き口があるのかなど、不安に感じることも多いかと思います。
次に、そんな潜在保育士で資格あり・未経験の方が求人を探す際の働き方や注意点などはどうすればいいのか?を紹介していきます。
資格あり・未経験の方のおすすめの働き方
資格あり・未経験の潜在保育士は、2018年の現在では80 万人を超えているといわれています。
東京都保育士実態調査では、保育士資格を持ちながら就業経験が無い人は25.8%になっています。だいたい4人に1人もいるのです。
そうした方は不安感から保育士になることを躊躇している場合が多いので、まずは、条件が合えば、未経験OKの保育補助のパートや派遣などから始めるのも一つ。
そのようにして、現場に慣れてから、その後に正社員などに移行した方がスムーズに仕事に慣れることができるかもしれません。
職場によってはパートから正社員へのルートがありますし、通常、保育現場では慣れている人に長く働いてもらいたいので歓迎されることが多いです。
なので、特に、未経験で不安のある方はそうした働き方を検討してみることもお勧めします。
未経験可の求人の注意点
未経験可の求人は現在、とても多くなっています。
ある保育士求人サイトで「未経験可」の求人を検索したところ、6,000以上ある求人の3割近くが「未経験可」になっていました。
なので、資格あり・未経験の方でも求人を探しやすいですが、その際に注意したいポイントは下記の4つです。
未経験者の指導に慣れているか見極めが必要
通常、未経験者を多く受け入れている保育園は、ノウハウがあり、指導体制がしっかりしていることが多いです。
ただし、なかなか人が定着しなかったり、どうしても人手が足りないから未経験可にしているとしたら、その園は労働環境が悪い可能性があります。
なので、指導体制がしっかりしているかを見極める必要があります。
研修制度が充実しているか
例えば、保育士の転職求人サイトで検索する際に「研修制度充実」などの項目があれば、活用することをおすすめします。
園によっては研修制度が充実していて、園内研修や外部研修が受けられます。
保育経験のない方は、現場での保育に不安を感じることが多いですが、研修を受けることによって、自信がついてきます。
なので、研修が充実した園は未経験者におすすめです。
ただ、研修がノルマのようになっていて、週末などに勤務外での研修に参加するよう求める園もありますから、そのたりはきちんと確認が必要です。
なぜ「未経験可」なのかを面接などで確認する
深刻な人手不足から未経験可にしているのか、未経験の人でも長く働いてもらえるように環境を整えているのか、その違いは大きいです。
それらは、求人票から中々知ることができないので、可能であれば面接の時などに直接確認することをおすすめします。
その時の担当者の返答によって、良い園かどうかもわかりますので。
自治体のセミナー・研修にも参加してみるのもよい
潜在保育士向けのセミナーや研修に参加することで、未経験の不安が軽減することもあります。
そうした場では、同じ状況の人たちにも出会えるので、仲間に出会えた気持ちがして心強いかと思います。
なので、興味のある方は、お住まいの自治体でそうしたセミナーなどが実施されていないか確認してみてください。
まとめ:保育士は未経験でも働ける
保育士は経験が重視される職業です。
なので、無資格だったり、未経験だったりすると、保育士の世界に飛び込むことは勇気がいります。
ただ、保育士は成長を実感できる場面が多く、現場を踏んでいくごとに慣れていきます。
子どもたちや保護者、同僚から「先生」と呼ばれていくうちに、保育士としての中身もどんどん備わっていくものです。
保育士をやりたい気持ちが強くあれば、必要以上に身構えずに、思い切って保育士の世界に飛び込んでみてはどうでしょうか?
やりがいがある仕事ですよ。