子どもが寝ないとき、どうされているでしょうか。

なぜ寝ないのでしょうか。

一般的には、叱る、こわいことがあるよと脅す、この子はまだ眠くないのだと自然に寝るまで起こしておく、疲れてないからだと夜の散歩に行くなどして疲れさせる、保育園でお昼寝が長いからだと思って先生に相談する、赤ちゃんなら車に乗せて寝かせる・・・などなどではないでしょうか。

けれどもこのどれも「寝ない」ことの解決にはなりません。

そうこうしているうちに、子どもも大きくなり自分で寝るようになり、親はこの問題から解放されることが多いです。

結局、原因と方法はわからないまま。時が解決してくれたということです。

でも、寝ないことをなやんでいる親にとっては、解決方法が「時」だけでは困りますよね。

そして、親がこの問題から解放されたあとも、実は子どもがこの問題を引き継いで、なかなか寝れない・・・朝から眠い、日中体がだるい・・・ということが多いのです。

そこで、ここでは20年以上の保育士経験を元に子供の寝かしツケのポイントを4つ紹介します。

寝かしツケで困っている保育士さんや親御さんなどは、是非参考にしてみてください。

寝かし方の1番大事なポイントは規則正しい生活習慣

「なーんだ、そんなこと」「知ってる、知ってる」ですね。

でもこれが一番大事で、一番難しいことなのです。

まず、朝同じ時間に起こすこと。これは前の晩なかなか寝なくて、遅くまで起きていたとしても、です。

理想的には6時起床が望ましいです。まずここで親がしんどいですね。

小さい子どもの親ならなおさら、親が起きてからせめて30分後に子どもが起きてこなくては、親は自分のことも子どもの朝ごはんの準備もなにもできませんものね。

この「理想」は、親にとって覚悟がいります。

子どもの生活習慣の土台を乳幼児期につけてやるんだという覚悟です。

規則正しい生活習慣が身についている子は、情緒が安定して、意欲に満ち、集中力があります

しかし、6時に起こすなんて難しい、親の健康を損ねてしまうという方は、6時半でも7時でもいいです。

でもせめて7時には起こしてあげてほしいものです。

次に、お米の朝ごはんを食べさせてあげてください。

パンの方が楽ですが、お米の方が午前中しっかりおなかにたまって遊べるのです。

午前中しっかり遊んだ子どもはお腹がすき、おひるごはんをまたしっかり食べます。

そしてお昼寝は深く眠ります。

そして元気にお昼からも遊びます。

そうすると晩御飯の頃にはお腹がすいて、しっかり食べられます。

お腹がいっぱいになってお風呂に入れば、自然と眠くなります。

帰宅後は、できるだけテレビやゲーム、スマホなどに触れないようにしてください。

体が目覚めてしまうのです。

夜はお風呂から上がれば、毎日決まった時間に電気を消して布団に入るようにしてください。

時間は20時が理想的です。

これを1週間続ければ自然と体が習慣的に眠くなりますし、1か月続ければずいぶん子どもの体に染みつきます。

寝かし方2番目のポイントは脱力

生活習慣以外に、寝かすことにはどんな要因があるのでしょうか。

これは全く親の責任ではないのですが、寝付きやすい体で生まれた子どもと、寝付きにくい体で生まれた子どもがいます。

赤ちゃんの頃からそりが強い赤ちゃんは、寝付きにいのです

いつも抱いたときや、あおむけに寝かせたときに、そっくりかえる赤ちゃんは多いものです。

このような体の子どもは、腹筋と背筋とのバランスは、背筋が優位になっていて、歩行を始めた頃から大人になっても反り腰で、大人になると腰痛になる人が多いのです。

寝るときに大切なポイント2つ目は、脱力です。

大人も考え事などして、眠いのになかなか眠れないことがあると思います。

そんなときは、肩や目の周りにぐっと力が入っていて、それで眠れないのだというのを経験した方も多いのではないでしょうか。

子どもも同じで、体に力が入っいると眠れません。

眠くて泣いているのに眠れない赤ちゃんは、そって力が抜けずに苦しいのです。

幼児でも、寝ようとして頑張りすぎて力が入って眠れない子や、もともと脱力が上手くできずに眠れない子がいます。

そんな子の力を抜かせてあげてください。

やり方はいろいろですが、ようは子どもが大の字で寝ているときの体を触ってみて、覚えてもらい、眠れない子どもの体がそんなふうになればいいのです

体全体がそっていたり力が入っているようであれば、金魚運動をしてあげたり、優しく胸の上に手をおいてみたり、とんとんと体を軽くタッピングしてリズムと振動をあたえたり、やり方は色々です。

手に力が入っているなら、手の力がぬけるようなマッサージをしてあげたり、肩に力が入っているなら、肩のあたりを軽くゆさぶって脱力させます。

幼児くらいになると、「ここに力がはいってるよ。ほら、抜けた。気持ちいいね。」と声を掛けて、力を抜く感覚を伝えるといいでしょう。

やり方ではなく、色々やってみてあげて、一緒に力の抜けた感覚を知っていくことが第一歩です。脱力を覚えると、そりの強さも緩和されていきます。

寝かし方3番目のポイントは切り替え

先ほど、力が入っている場合は大人も眠りにくいという話をしましたが、大人はそういう場合、いっそ電気をつけて好きな音楽でも聞き、本でも読めば眠くなってきて、そのまま何も考えずに布団に入れば眠れたりもします。

眠れない状態から、切り替えてリラックスするのですね。

子どもも同じで、3番目のポイントは「切り替え」です。

一般的に、「寝ないんだったら鬼さんよぶよ」などとおどかして寝かすのも、実はこれなんですよね。

でも、ちゃんと大人が理屈としてわかって「切り替えよう」と思って伝えるのなら、不必要に怒ったり叱ったり、おどかしたりする必要はないのです。

要は、きりかえることができたらそれでいいのです

例えば、上記二つのポイントをしていても眠れない場合・・・例えば、お兄ちゃんと布団の中でふざけあっていたり、歌を歌っていたりの場合は、ちょっと切り替えるだけでいいので簡単です。

空気を変えればいいのです。

子どもがハッとして一瞬お兄ちゃんとふざけていることや歌のことを忘れて注目してくれたらいいのです。

例えば何も言わずにパッと電気をつけて「もう寝るよ」と威厳ある声でひとこと。

ハッとしたところで電気を消すと、すっと寝ることがあります。

また例えば、2歳くらいのイヤイヤ期の子どもならば、布団から出して少し離れたところへ連れていき、

「寝ないんだったら遊んでおいで」

「寝なくていいよ。みんなは寝るからね」

など、わざと「いや」というようなことを伝えると「いや!寝るの!」と言って自分から布団に入ってさっきまで布団の中で遊んでいたことなど忘れたかのように、自分で決めたこととして寝たりします。

これも切り替えのためにやっているのと、寝ない子に意地悪をするのとはちがいますよね。

やり方やセリフではなく、どうしたら切り替えられるかな、と考えながら色々試してみてください。

寝かし方4番目のポイントは関係性

1番目のポイントがどの時代、どの国の子どもにも共通のやり方だったのに対して、2番目、3番目は、その子との呼吸や関係性です。

4番目のポイントは、お互いの関係性作りです。

親子だから、先生だから寝かせられるというのではなく、なんでこの子は寝れないのかな、という原因を探って理解してあげ、ああでもない、こうでもないと力の抜き方、切り替えの仕方をさぐることの積み重ねです。

よくベテランの保育士が担任でもないのにクラスの子ども達を瞬時に寝かすことができるのは、瞬時にその子、その子との呼吸をつかむことができる能力があるからであって、経験が浅い保育士や、まして初めて子どもを育てる親や一人、二人育てた経験があるだけの親ではそうもいかなくて当たり前です

苦労して、ああでもない、こうでもないをしなくてはいけないのです。

電気をぱっとつけて切り替えようとするのがうまくいった親子もいれば、電気がついたとたん笑いだして余計に寝ないという親子もいると思います。

じゃあ、どうするか。次々考えなくてはいけません。

なんで寝ないといけないのかを真剣に理屈で伝えたら、その真剣さが切り替えになったという親子もいるでしょう。

理屈は全く入らないけど、良い生活リズムを身につけさせてやりたいという思いをもってじっと真剣に見つめていると、そのほうが切り替えになったという場合もあるでしょう。

うまく呼吸が合ったとき、ああそうなんだ、こうしたらいいんだと知っていきます。

だんだんと毎日、その関係性で寝るようになります。

肩に力が入っていたり、そりが強くて眠りにくい子は、いつもの歌をお母さんが歌ってくれて、いつもの感じで体に触れてくれたら力が抜けて寝れるんだということがほとんどです。

まとめ

子育ても保育も、一朝一夕にはいきません。

おんぎゃあと生まれて赤ちゃんとお母さんが出会ってから、おっぱいを飲むこと、寝ること、遊ぶこと、ごはんをたべること・・・と、次々に子どもとの関係を作っていく中で、だんだんと親子の絆が生まれてきます。

今は、便利さや効率性が重視される世の中で、そのような子ども向け商品も多く、大人自身もそれらを良しとする価値観の社会の中で生きているので、子育てのなかにも、便利さや効率性を求める傾向があります。

そして、その場しのぎで良ければ、そのような手段もあるのです。

しかし、寝ることひとつをとっても、上記のような一朝一夕にはいかない方法の上には、子ども達の将来にわたるまでの健全さがつみかさなっていくのです。

精神疾患、キレやすさ、体力のなさ、生理の重さなど、精神的にも肉体的にも弱弱しさの

目立つ子ども~大人は、乳幼児期に土台ともいえる全てのものが現代社会のこのような風潮のもとでお手軽で済まされてきたのだと言われています。

寝かせ方と直接関係のないように思える「規則正しい生活習慣」は、全てのことにつながってきます。

ぜひ子どもと一緒に大人も健康になってください。

子どもにとって良い生活をすると、大人も健康になれるといわれています。

子どもが私たちを健康に導いてくれるのです!