チャイルドマインダーという言葉を聞いたことがあるでしょうか?

日本では保育士に比べると歴史が浅い職種なので、詳しくはわからないという方も多いと思います。

チャイルドマインダーは、保育士と同じように子どもと関わり成長を見守る仕事です。しかし、資格の特徴や求められている子どもとの関り方など保育士と違う部分も多くあります。

そこでこの記事ではチャイルドマインダーとはどんな仕事なのか?保育士とはどの様な部分が違うのか?

今後、需要の高まりが期待されるチャイルドマインダーについてご紹介します。

チャイルドマインダーとして働くことを考えた時には参考にしてみてくださいね。

チャイルドマインダーとは少人数保育のスペシャリスト

チャイルドマインダーとは、少人数の子ども達を家庭的な環境の中で保育する、いわば少人数保育のスペシャリストです。

1977年にイギリスで誕生した資格で、イギリスでは国家職業資格に認定されているほどポピュラーな資格です。

日本では、1999年に「日本チャイルドマインダー協会」が発足されました。

保育園が不足している地域や、特に0,1,2歳児の小さな子ども達が家庭的な雰囲気の中でゆったりと過ごすことができる環境を提供できる職業として、需要が高まっています。

主な仕事内容は子どもとの関りです。食事や排泄、午睡の援助。ゆったりと過ごせる室内で発達に見合った遊びを提供したり、散歩に行き自然に触れられるような関りもします。

子どもが安全に過ごせるような環境整備や発達に見合った玩具をそろえたり、季節の製作を行うこともあります。

また、保護者に保育中の様子を連絡帳や口頭で伝えたり、専門家として育児の悩みに対するアドバイスをすることも大切な仕事です。

少人数保育だからこそ、子どもとの丁寧な関わり、保護者へのきめ細やかな対応が可能です。

チャイルドマインダーの資格と保育士資格の主な違い

保育士資格は国が定めた国家資格です。保育士資格の取得方法は2種類あります。

1つは専門学校や短期大学、大学などの厚生労働大臣が指定した保育士養成施設を卒業すること。もう1つは保育士国家試験を受験し、保育士資格を取得する方法です。

一方、チャイルドマインダーは国家資格ではなく、民間資格です。民間のスクールや団体が開講している講座を受講し、各スクールの講座に沿った内容の検定試験に合格することで取得することができます。

講座の受講方法は2種類

  • 通信講座
  • 通学講座

があります。それぞれの特徴をご紹介します

通信講座 

受講期間は2~6ヶ月、費用は13万円~20万円と各スクールによって様々です。

基本的には自宅での受講ですが、中には実技講習があるスクールもあります。

試験場所は、自宅で受験可能なスクールと指定された会場で受験するスクールがあります。

通学講座

受講期間は、30~60時間。週に1回通学をして、全6回から25回ほど受講するスクールもあり幅が大きいです。

費用は15万円~30万円。実技講習がある場合がほとんどです。試験は、通学をしているスクールで行います。

チャイルドマインダーの資格は、保育士資格に比べて短期間での取得が可能であること。そして、試験の合格率も保育士国家試験に比べるとかなり高いことが特徴です。

保育士国家試験は、10~20パーセントの合格率ですが、チャイルドマインダーはスクールによっては合格率95パーセントとかなり高い合格率になっています。講座をしっかりと受講すれば十分に合格可能な資格ですね。

チャイルドマインダーとして働く!保育士との違い

資格の違いからも分かるように、チャイルドマインダーと保育士は違う職種です。そのため、チャイルドマインダーは保育士として働くことはできません。

仕事をする上での保育士との違いを通して、チャイルドマインダーの役割も見ていきましょう。

預かれる子どもの人数や年齢の違い

保育所では、子どもの年齢と人数に対する保育士の人数が厚生労働省の定めにより決められています。

年齢保育士の数
0歳児 子ども3人につき保育士1人
1,2歳児子ども6人につき保育士1人
3歳児子ども20人につき保育士1人
4,5歳児子ども30人につき保育士1人

子どもの年齢は、保育所勤務の場合は未就園児である5歳児までです。ただ、学童保育で勤務をする場合は12歳まで、児童養護施設で勤務をする場合は18歳までの子どもと過ごします。

チャイルドマインダーは少人数保育の専門家という位置づけですので、保育士と比べてチャイルドマインダー1人につき保育ができる子どもの人数が少なく定められています。

年齢チャイルドマインダーの数
0歳児 子ども2人につきチャイルドマインダー1人
1歳児子ども3人につきチャイルドマインダー1人
2歳~4歳子ども4人につきチャイルドマインダー1人

子どもの年齢は0歳から12歳までの子どもの保育が可能です。特に需要が高いのが、大人との密な愛着関係が大切な0,1,2歳児です。

保護者から求められているものの違い

保育士とチャイルドマインダーとでは保護者が求める保育も違います。

保育所は、大勢の子どもが一緒に過ごす集団生活の場です。子ども達の安心できる生活の場であると共に、集団のルールを学んだり、友達同士との関係を学ぶ場でもあります。

保育士はその手助けをする存在であることが求められます。

一方チャイルドマインダーは、少人数の子どもを家庭的に保育ができる存在です。保護者も、保育所よりも子どもと丁寧に関わってくれること期待しています。

子どもと深く関わり、家庭と同じように愛情をかけてもらいたいと思っているのです。

自分がどの様に子どもと関わりたいかということも、保育士かチャイルドマインダーの仕事かを選択するうえでは必要ですね。

チャイルドマインダーと保育士の求人数の違い

保育士不足が騒がれていることからも分かるように、保育士の需要はとても高く多くの求人があります。

厚生労働省の調べによると、平成27年の東京都の保育士求人倍率は5.44。求職者の人数に比べてこんなにも多くの求人数があるのです。

チャイルドマインダーも認知度や需要が高まって来てはいますが、やはり保育士ほどの求人数がないことが現状です。

しかし、求人の探し方や働き方によっては十分に仕事を見つけることが可能です。

求人数に大きく関係する勤務場所の違い

まずは、保育士とチャイルドマインダーの求人数が違う理由を見ていきましょう。1番の違いは、勤務場所の違いです。

保育士の主な勤務場所は保育所です。待機児童問題が騒がれている中、保育所は年々増えていますので、保育士の求人数は増える一方です。

チャイルドマインダーは保育士資格を持っていませんので、保育士として保育所で勤務をすることができません。認可保育所が増えてもチャイルドマインダーの求人が増えないのはこのためです。

しかし、認可外保育所は違います。

保育従事者の3分の1が保育士資格を持っていれば運営が可能です。中には、チャイルドマインダー資格保有者優遇という認可外保育所の求人もあります。

また、2015年に新しく定められた小規模認可保育園も保育士資格を持っていなくても働ける場合があります。6~19名という少人数の施設ですので、少人数保育の専門家であるチャイルドマインダーに適した職場ですね。

保育所以外のチャイルドマインダーの求人としては、商業施設や美容院などの一時預かりの託児施設があります。必須となる資格の中に、保育士資格と並んでチャイルドマインダーの記載も多く見られます。

チャイルドマインダーの求人の見つけ方

チャイルドマインダーの求人を見つけるには、まずはチャイルドマインダーの資格取得のために受講したスクールを利用しましょう。

就職先を紹介してもらえる場合もありますので、自分の希望に合った場所があれば安心して働けます。

ハローワークや保育士転職サイト、求人サイトを利用することも1つの方法です。チャイルドマインダーの資格保有者を求めている求人先を見つけることができます。

特に託児施設はチャイルドマインダーを求めていることが多いので狙い目です。

チャイルドマインダーは開業という選択肢もあり

チャイルドマインダーの働き方としては、すでにある施設で働くことともう1つ、自分で開業をするという選択肢があります。チャイルドマインダーは少人数保育ですので、自宅での開業も十分可能なのです。

平成28年から厚生労働省の定めにより、1人で子どもを預かる事業を行う場合には、都道府県への届け出が義務となりました。開業する際には、必ず住所のある都道府県への届け出をしましょう。

開業の方法は、大きく分けて2種類。在宅託児と訪問託児があります。それぞれの特徴をご説明します。

在宅託児

自宅または専用の施設を借りて、子どもを預かり託児をする方法です。子どもが安全に過ごせる環境を整えために、時にはリフォームが必要な場合も…。しかし、自分でしっかりと安全確認をしたうえで保育ができるというメリットがあります。

発達に見合った玩具や食事に必要な椅子やテーブル、救急セットや連絡帳など保育に必要な物を揃え、保育ができる環境設定をすることが在宅託児の第一歩です。保護者に持ってきてもらう物と自分で用意をする備品を決めておく必要もあります。

子どもにとっては初めての場所で過ごしますので、初めは不安になったり泣く様子も多く見られますが、関わりの中で徐々に慣れていきます。保護者には泣き止んだ後の子どもの様子もしっかりと伝えると、安心してもらえますよ。

訪問託児

依頼を受けたお客様の自宅に伺って託児をする方法です。子どもにとっては、安心できる我が家ですので、慣れるのが早いというメリットがあります。

玩具や保育に必要な物は基本的にはお客様宅の物を使わせて頂きます。散歩中の怪我に対応するための救急セットや連絡帳、製作の材料などは持参しましょう。

在宅託児、訪問託児のどちらにおいても、保育中の怪我や事故はチャイルドマインダーの責任です。まずは、必ず子どもの成長や発達についての情報を保護者から聞いたうえで、保育にあたることを徹底しましょう。

発達を理解せずに保育をすると怪我に繋がります。また、もしもの事故に備えて賠償保険に加入することも大切です。

チャイルドマインダーの平均給与は高い?安い?

気になる給与ですが、認可外保育所や託児施設などのすでにある施設で働くのか、開業するのかによって収入はかわります。

認可外保育所などで働く場合には、パート勤務の求人が多く見られます。時給は900円~1100円と保育士のパート勤務と同額程度です。

中には正社員での求人もあります。その場合には、月収15万円~19万円と、認可保育所よりも少し低い印象です。その他に賞与が支給される場合もあります。

開業する場合には、自分で保育料の設定をします。在宅託児の場合には、1時間1500円程度。訪問託児の場合には1000円から1200円程が多いようです。設備費が掛からない分訪問託児の方が安く設定されることが一般的です。

収入は、預かる子どもの人数と時間に反映されます。仮に、在宅託児で0歳の子どもを2人、1日7時間、週に5日預かったとすると、月に得る保育料は42万円。そこから設備費を引いた額が月収になります。

預かる子どもの年齢や時間数によって、保育料を変えても良いでしょう。開業をする場合には、準備に費やす時間も多いですし責任も重いですが、コンスタントに利用があれば十分な収入を得ることが可能ですね。

保育士の給与に関してはこちらで紹介しているので比較するのも面白いと思いますよ。

保育士の給料は低賃金?それぞれの保育園の平均給料と政府の対策

まとめ

保育士と似ている様で、子どもとの関わり方や勤務場所も違うチャイルドマインダー。日本ではまだ新しい資格ですので、保育士程の認知度はありません。

しかし、チャイルドマインダーには少人数の子どもと丁寧に関わることができるという強みがあります。

保育士資格を持っていても、少人数保育の専門家や開業を目指してチャイルドマインダーの資格を取得する人もいるほどです。

子どもと関わる仕事の1つの選択肢として、保育士と合わせてチャイルドマインダーの資格にも注目していきたいですね。