保育園という集団の中で遊ぶことは、子どもにとってとても楽しい時間です。
もちろん子どもが自ら遊びを考えて展開していく姿もありますが、その姿がみられるまでは保育士が集団遊びを提案し、きっかけ作りをしてあげることが大切です。
また、一学期はどの子も環境に慣れておらず、緊張して登園してきます。
その緊張を和らげる為にも、集団遊びのネタを沢山持っていると楽しく保育を行うことが出来ます。
誰もが知っている集団遊びでも、アレンジをすれば難易度が上がったり、年代に分けて遊ぶ事ができます。
では集団遊びとは何か、どのようなメリットがあるのか…ということと、具体的な集団遊びの内容をご紹介していきます。
集団遊びとは
名前の通り、複数の子どもが集まり、一つの遊びを皆で楽しむことを示します。
家庭では中々味わうことができない遊びが多く、友だちとの関わりを深めていくことが出来ます。
集団遊びのメリット
これはどの方でもご存知の通り、一人遊びより集団遊びの方が楽しいと感じるはずです。
もちろん一人遊びも様々な発見があり、人間形成の上でとても大切なことですが、集団生活でしか味わえない遊びをすることで、一人遊びでは得られなかった沢山のことを学ぶことができます。
具体的には、集団で過ごすにあたって必ず「喧嘩」は起こります。一人遊びでは相手がいないので喧嘩はなく、自分のペースで遊ぶ事ができます。
しかし、集団遊びになると自分以外の意見がある事を知り、意見がぶつかります。
その際に初めて人と交わり、沢山ぶつかり合いながら楽しく遊べるように考えるようになります。
こうして社会に足を踏み入れていき、子どもたちは成長していきます。
その為、幼少期には「集団遊び」がとても大切だということがいえます。
では、その集団遊びは具体的にどのような種類があるのかご紹介します。
鬼ごっこの種類
集団遊びの代表ともいえる遊びは、鬼ごっこです。
鬼ごっこというものは、鬼の人と逃げる人に分かれて行い、鬼が逃げる人を追うという遊びです。
子どもたちが鬼ごっこを好きな理由は、追われることが好きだからです。
その為、年齢が低い子や集団生活を始めたばかりの頃は、保育士が鬼になり、子どもが逃げるという遊びがとても盛り上がります。
そして保育士が鬼をやっているのをみて、少しずつ鬼の役割に興味を持つ子が出てくるようになり、鬼ごっこを子どもたちだけで行えるようになっていきます。
また、鬼ごっこにもたくさんのバリエーションがありますし、その時クラスで流行しているものをテーマにアレンジしてみると楽しめます。
では園によって異なりますが、実際に流行している鬼ごっこをいくつかご紹介します。
氷鬼(こおりおに)
ルールは、鬼の人が逃げる人をタッチをしたら凍ってしまうが(その場から動かなくなる)、まだタッチされていない逃げている人からタッチしてもらうと氷が溶けて、また逃げることが出来る鬼ごっこです。
単純で分かりやすいことから、親しみやすい遊びです。
色鬼(いろおに)
ルールは、鬼の人が逃げる人に色を指定します。
その指定された色を見つけ、その色をタッチしていればセーフですが、その色をタッチするまでに鬼にタッチされた場合は、鬼の仲間になります。
この場合、逃げている人が多いほどタッチしやすくなるので、鬼は一人から行えます。
手つなぎ鬼(てつなぎおに)
ルールは、鬼の人が逃げる人をタッチし、手を繋いでいく遊びです。
大人数(クラス皆で行う等)で行った方が、より楽しく遊べます。
この遊びは両手塞がってしまうので、年齢が低い子だとコントロールが難しいので、年長児におすすめの遊びです。
高鬼(たかおに)
ルールは、鬼の人が逃げる人にタッチをして鬼になるという内容ですが、唯一逃げる人は高い所に行けば鬼は来ることができない遊びです。
高い所にずっといる子も出てきてしまうので高い所にいる時間を決めて行います。
ごっこ遊びの種類
言葉が出るようになってきたり、コミュニケーションが取れるようになってくると、ごっこ遊びで楽しむ子が多くみられるようになります。
ごっこ遊びとは、ある人物や動物になりきって遊ぶ事を示します。
鬼ごっことは違って、ルールがなく、子どもたちの世界で遊べるのでとても盛り上がります。
また、ごっこ遊びにも様々な種類がありますので、ご紹介します。
- おままごと(父、母、姉、赤ちゃん等、家族構成をしてから遊ぶ)
- 警察ごっこ(警察と泥棒で分かれて遊ぶ)
- 戦隊物ごっこ(ヒーローと悪役に分かれて遊ぶ)
- 動物ごっこ(様々な動物になりきって遊ぶ)
- 保育園ごっこ(保育士と園児になりきって遊ぶ)
ごっこ遊びは、一つテーマを決めれば何でもなりきって遊べるので、とても幅広く遊べます。
また保育士が一つのテーマを決めて、クラス全体でなりきって遊ぶことを増やしていくと、お遊戯会の練習がとてもスムーズに行えます。
物を使って遊ぶ集団遊び
定番の遊びに飽きてきた時には、様々なアイテムを使って遊ぶと、より楽しさが増します。
例えば鬼ごっこの場合、大体の子が鬼役を嫌がり、逃げる人が増えてしまいがちです。
その際には、鬼になった人だけ腕輪や、ベストのような羽織るもの等、ささやかなアイテムを身につけるだけで自信を持つようになります。
またそのアイテムを見て、「私もやりたい!」という声が聞かれるようになり、鬼に対して抵抗が少なくなります。
他にも物を使った集団遊びは沢山あり、物を使うことによって遊びの幅が広がります。
- ドッジボール(ボール)
- リレー(バトン)
- フルーツバスケット(椅子)※床に座って行うのもいいですが、椅子の方が円が崩れにくく、立ち歩きを防ぐことが出来ます。
- 大繩(縄跳び)
- 障害物競争(平均台、フラフープ等)
代表的な遊びを紹介しましたが、少し内容をアレンジして年齢に応じた遊びを提案することが大切です。
例えばリレーは、順番待ちをして一人ずつバトンを持って走りますが、4歳児~5歳児は楽しめますが、2歳児にとっては難しいです。
だからといってこの遊びをやめてしまうのではなく、根本のルールは変えずに、2歳児に合う遊びにアレンジをしていくことがコツです。
例えば、室内で子どもを2グループに分けて向かい合わせます。
親しみのある人形を子どもたちに持たせて、一人ずつ走り、向かいにいる子に渡していきます。
順位を決める遊びではありませんが、物を受け渡し、走るという根本のルールは変わりません。
集団遊びはこのように一つアレンジしてあげると、様々な年齢で遊ぶ事ができます。
年齢に応じて出来る遊びをしっかりと見極め、考えていくこと、そして子どもたちが楽しく遊べるようにアレンジしていくことが大切です。
まとめ
集団遊びは、友だちの輪が広がったり、クラスの絆がぐっと深まったり、保育士と子どもたちの関係も縮まっていきます。
しかし集団遊びを進めていくにあたって、大人が思い描いているような姿ではなく、子どもたちなりの葛藤があり、思うように遊びが進まないことが多いです。
そこで保育士が楽しく遊べるように導くことも大切ですが、集団遊びにはもう一つ子どもが成長していく上で必要な経験があります。
それは「喧嘩」です。
トラブルという表現が保育士の中でよく使いますが、子ども同士がぶつかり合い、意見を言い合ったり、泣いて表現する姿が必ずどの遊びにもみられます。
これは集団で過ごしているからこそみられる姿であり、このような経験をしていくことで他者との過ごし方、必要な我慢を覚えていきます。
その為、トラブルが起きないように防ぐことも必要ですが、ある程度の喧嘩も必要です。
子どもたちが大きく逞しく成長できる集団遊びを考え、絆をどんどん深めていってください。