幼稚園では、新入園児として迎えられる3歳児。

保育園では乳児クラスから幼児クラスへと変わり、環境が変わるところが多いです。

「魔の3歳児」と言われるこの時期。

3歳児とは主にどのような姿なのか、その姿に合った保育とはなにか、具体的に紹介していきます。

3歳児の主な姿

子どもによってもちろん姿は異なりますが、「3歳児」でみられることの多い姿を紹介していきます。

  • 言葉が出るようになり、会話が続く
  • 自分で出来るようになることが増える(身支度等)
  • 「自我」が強くなり、意思がはっきりしてくる
  • 自分の好きな事、嫌いな事がはっきりしてくる
  • 友だちに興味を示し、集団遊びが出来るようになる

他にも様々な姿がありますが、全体的に自分の出来ることが増え、視野広がるようになります。

同時に自我が芽生えてくることから、思い通りにいかないと泣いて訴えたり、気持ちの切り替えが難しく感じる時間が増えます。

3歳児の保育のポイント

園によっては、3歳児から新入園児として迎え入れる場があったり、幼児クラスとして学年を分けずに保育を行う所もあるので、園によって様々ですが、いくつかのポイントをおさえて保育を行うことが大切です。

 パペットを沢山使う

色々な事ができるようになった年齢でも、まだ生まれて3~4年しか経っていない子どもたちなので、まだ幼い時期です。

保育内容は年齢と共にボリュームが出てきたり、複雑になっていきますが、まだこの時期は言葉で説明しても理解が難しいので、パペットを通して伝えてあげると頭に入りやすいです。

また様々なパペットを使用しても良いですが、一年間の定番キャラクターとして、決まったパペットを使用していくと、より親近感が湧き、注目度が高くなります。

またパペットを使用する際は、話を聞いてほしい時だけに使用するのではなく、遊んでいる時、身支度をしている時等、登場する機会を増やし、親しみが持てるように配慮することが大切です。

目に見える導入を行う

言葉が話せるようになっても、まだまとめて製作の流れを理解することは難しい時期です。

また集中力も長く続かないので、長々話しても頭に入りません。

その為目に見えるものということが大切で、視界から入るもので伝えていくことで頭に入るようになります。

例えば製作の導入の場合、作り方を画用紙にまとめて書いておくと子どもたちにとって、分かりやすく取り組めます。

歌の練習をする際も、ピアノで弾き語りをして伝えていくことが多いと思いますが、歌詞カードとして画用紙に書いてあげると、文字に興味を示すようになったり、早く歌詞が覚えられるようになります。

集団遊びを多く取り入れる

3歳のこの時期は集団遊びに興味を示すようになり、遊びの幅も広がってきます。

集団遊びの定番である「鬼ごっこ」を理解できるようになるのも、この時期になります。

その為、保育士が輪に入りながら集団遊びの楽しさを伝えていくと、友だちの輪が広がり、更に楽しく遊べるようになります。

またルールもしっかり理解できる年齢なので、子どもたちに分かりやすく伝えながら遊ぶようにしましょう。

順番は歌で伝える

集団生活を過ごすにあたって、「順番」はつきものです。

製作、身支度、色々な活動に順番通りに取り組んでほしい時は様々な場面でみられます。

その際には子どもたちの頭の中に入るように、手遊び感覚で伝えるようにすると良いです。

例えば、帰りの身支度をする時に着替えや荷物をまとめる等、一斉に伝えても頭に入っていない子が多いですよね。

その際にはやる事に順番をつけて、リズムにのせて行うと良いです。

  • いーちばん!ハンカチ交換!
  • にーばんめ!おーきがえ!
  • さんばんめ!おーにもつ!
  • よんばんめ!おーぼうし!
  • ごーばんめ!お椅子に座る!

このように少しリズムをつけ、更に手をつけながら行うと3歳児は頭に入りやすく、習慣づけることができます。

自由時間を多くとる

保育を行う上で、毎日主活動はありますが、自由遊びの時間も同様に必ず毎日あります。

もちろんどの年齢の子も、自由遊びはとても大切な時間なのですが、この3歳児という時期は最も自由遊びが大切な時期です。

0~2歳児は、自分の好きな遊びをして楽しむことがメインですが、3歳児になると言葉もしっかり出るようになり、自分以外の他者の存在に気付き、集団遊びへと変化していく時期だからです。

また集団遊びだけではなく、自分の好きな遊びの幅が広がっていき、こだわりが出るようになってきます。

このような姿も成長の一つなので、好きな遊びが沢山出来るように時間を作ってあげることが必要です。

また遊び方もまだ上手くいかないことも多いですが、この時期に様々な経験で葛藤していくと、沢山のことを学び、上手に遊べるようになります。

同時に、4歳児や5歳児に憧れを抱く時期でもあります。

お兄さん、お姉さんがやっている遊びや活動、様々なことを真似して行おうとする姿が多くみられるようになります。

真似でもいいので、興味を示したら「お兄さん・お姉さんごっこ」という一つの遊びとして、経験させてあげることもいいかもしれません。

とても好奇心旺盛の時期なので、様々なことに視野を広げていくよう仕向けることが大切です。

約束を作る

保育園でのルール、クラスで過ごすルール等、約束事を決めて過ごすようにしましょう。

3歳児になると、遊びも活動、様々な環境が変わってくる時期です。

変わると同時に、安全に過ごしてもらう為にもルールを作り、意識して過ごせる環境を作る事が必要です。

また伝える際には口頭だけだと伝わりにくい部分があるので、目で見て理解できるよう、壁面で伝えたりと工夫していきます。

約束事を作るということは、どの子も必ず葛藤が出てきます。

理由は、今までは自分の好きなことが出来たり、自分のペースで過ごせたことが多かったからです。

3歳児になって様々な面で視野が広がることで、自分だけのペースではなく、友だちに合わせたり、時には我慢する場面も必要になっていきます。

その為、この時期は「自我」がとても強く出ると言われています。

しかしこの姿は成長している証拠なので、困る必要は全くありません。

あまりルールにこだわってしまうこともよくありませんが、集団で過ごすにあたってのルールを作り、皆で過ごす楽しさを伝えていくようにしましょう。

まとめ

3歳児の保育のポイントとして、いくつか挙げていきましたが、全てが正しいわけではありません。

保育園によって、また子ども一人ひとりによって、対応は異なってきます。

その子どもたちをみて、またこの記事をみて、どういう方法が子どもたちにとって一番良いのか考える事が保育士の役割です。

子どもたちの姿をしっかりと捉えて、保育をしていくようにしましょう。

また、色々なことが出来るようになって楽しみも増えてくる時期ですが、まだまだ甘えん坊の時期です。

何でも経験させるために活動を多くすることもいけないことではありませんが、保育士一人が突っ走ってしまわないようにしましょう。

時には赤ちゃんの時のように抱っこしてもらったり、甘える時間というのはまだ必要です。

沢山時間はあるので、「一日の中で一つ頑張ったらその倍は甘える時間を作ってあげる」という考えを持ちながら保育をしていくと、保育士自身にも気持ちにゆとりを持って保育ができます。

子どもたちにとって、楽しい嬉しい保育をしていけるよう、また様々な経験をしていけるよう、保育計画を十分にしていき、過ごしていってくださいね。